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第18話 お友達は冒険者

「いらっしゃいませ、順番にお待ちいただければ順次お声かけさせて頂きます!」

「うわー綺麗なお店だね、僕こんな素敵な場所だなんて思いもしなかったよ!」

「私も少しお手伝いさせて頂いきましたが、全ては店主の意向ですわ」

「店主さん凄い人なんだねー」

「そうですの! こちらの店主様は私の様な跳ね返り貴族に悪意を向けられて尚、優しくしてくれる度量をお待ちの素敵な殿方ですのよ」

「じゃなかったら君が足しげく通うなんてあり得ないもんね、僕本当に驚いたんだから」

「私自身もまだ信じられませんわ」


 店に来た瞬間に扉を隔てていても誰が来たのか分かるのが凄いな。まぁ会話の中でヨイショが過ぎる気がするのだけれど本人がそれでいいなら良しとしておこう。僕のセンスはダメダメなんだけどね。確か今日は友人を連れて来るって言ってたけど……あの雰囲気、間違いない。彼女は魔力を扱う冒険者だ。


 かつて僕が所属していた軍と対をなす、ギルドと呼ばれる団体に所属するフリーの何でも屋って感じの人たちで、実力はピンキリ。


 診察室から顔を出したが最後、すぐに捕まってしまった。あーやっちゃったね。


「彼女は私の昔からの友人、ニーナですの」

「冒険者やってますニーナです! 普段は沈黙の狩人って小隊(クラン)でやってるんだけど、今日はたまたまオフでさ。旧友に会いにきたらそのままここに連れて来られたって訳さ。友人がいつもお世話になってます」

「あ、いえこちらこそ。ひとまず順番をお待ち頂けますか? 他のお客様がお待ちですので」

「そうだねゴメンゴメン、気にせず行ってよ?」

 

 そう促してくれたニーナの言葉に従って、僕は通常業務へと帰還した。結構強そうな人だな……。


 それから滞りなく、診察は進んでニーナの番が訪れた。



 ______




「いやーゴメンね本当、迷惑かけたでしょ?」

「いえいえ、それに貴女が謝る事ではありませんし」

「昔っからそうなんだよねー、自分がこうだと思ったら是が非でも通そうとするからさ、やり過ぎだって何度も言ってるんだけどね」

「た、確かに……」


 否定のしようもない、そのままでしたね。


「でもさ、それがこんな事になるなんて今までなかったからそれも驚いてる。君さ、クラリスに何したの?」

「……クラリス?」

「……え? まさかあの子、名前もまだ名乗ってなかったの!?」

「はぁ……今知りましたね」

「もーこれだから……本当にゴメンね。根は良い子なんだけど幹と枝と葉が凶悪で……」


 大体ダメですねそれ。


「僕はなかなか此処には来れないんだけどさ、あの子暫くこっちにいるみたいだから、クラリスをよろしくね?」

「えっと……、は、はい」


 僕は何かを押し付けられた感覚を拭えないまま、彼女と握手を交わした。まぁ……悪意さえ向けられていなければ確かに根は良い人みたいだし、大丈夫だとは思うんだけど。……きっと大丈夫だよね。


「……こ、これが噂の。ちょ! トイレどっち!?」

「あっち」

「ありがと! 失礼するね!」

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