第177話 謝罪
「ふぅ、何とか収まった……。あ、あの……スザンナさん?」
「ヒィィィィィ!!」
うわー、めちゃくちゃ警戒されてる……。そりゃそうだよね。あんな事したもんね。うーん、困ったな……。
「ご主人様!」
「キュゥ!」
「あ、レミリア。無事で良かった、ミールがいたから大丈夫だとは思ってたけどね」
「キュゥ!」
ミールの魔力がまた上がってる気がする。あーもうちょっと丁寧にコントロールしないとなぁ。ミールに魔力が流れる事、いつも忘れるんだよね……。
「討伐は終わりましたか?」
「あぁ、もう済んだよ」
「流石ご主人様です! えっと……そちらの方は?」
「あ、人が迷惑をかけてしまった獣人の方なんだけど……、僕の戦闘を間近で見せちゃったからさ……」
「な、成る程」
ガタガタと震えるスザンナさん。腰が抜けた様に座り込んだまま後退っている。倒した証人になってもらおうと思っただけなんだけど、悪い事しちゃったかな……。
「あの……大丈夫ですか?」
「ヒィィィィィ!!」
「大丈夫ですよ? この人は怖い人ではありません!」
そういうとレミリアが僕の隣にやってきて、背中から乗っかってきた。おんぶの体勢だね。そのまま顔を僕の顔に並べる様に横からだして、手は僕に抱き付いている。
「ほら、全然怖くありませんよ!」
「キュゥ!」
ミールも僕の足元に擦り寄って来ている。
「あ、あの……大丈夫ですか?」
「はは、はい、だ、大丈夫です……。あの……わ、私……失礼な事を……」
「あ、いえ、それはですね」
レミリアを降ろして、ミールを少し離れさせて。
「ヒッ!?」
僕はスザンナさんの真ん前まで行って、膝をついた。
そのまま、額を地面に。
土下座です。
「人族が、本当に迷惑をおかけしました。お詫びのしようもありません。申し訳ありませんでした」
「え、……いや……その……」
彼らはとばっちりにも程がある。
人が我欲のままに事を為して、その果てに他種族に迷惑をかけるなんてあってはならない。本当に申し訳ない。
「あ、あのまま行けば……集落は滅んでいました」
「原因は人族です、本当に申し訳ない」
「いえ、その……貴方のお陰で、救われました。顔を上げて下さい」
「丁寧な言葉使いは無用です。最初の通り自然に接して下さい」
「え……そ、それは……」
「お願いします」
「わ、分かった。あの……今回は本当に助かった。一族を代表して礼を言わせてくれ」
「礼だなんて……勿体ない」
「いや、人族になどではない。貴方に、感謝を。頭を上げて下さい。……有難う」
頭を上げるとスザンナさんもその場に身体を改め、しゃがんだまま頭を下げている。きっとこれが彼女たちの礼のスタイルなのだろう。
気持ちは伝わったらしい。
よ、良かった……。
「改めて礼がしたい。集落に同行頂けないだろうか?」
……え?