第171話 ミールの様子が……?
「今回は馬を管理する余裕がない、走っていくから……レミリアはひとまず僕の背中で頼む」
「も、申し訳ありません……」
「いや、森の世界との諍いは僕も望んでいない。森の世界の関係者はレミリアとライバックさんしかいないからね、よろしく頼むよ」
「分かりました。ではまずは食料を?」
「だね、急がないと」
ルルリさんには言伝を頼んで先に行ってもらっている。多分出入りの仕方がおかしいからそろそろ目をつけられると見るべきだ。次に会う時はもう堂々と会うしかないか。
さて、とはいえこっちはまず魔獣の討伐だ。ここから森の世界との境目までは急いでも半日はかかるだろう。ましてやレミリアを背負いながらの移動、彼女の体力も含んで考えるなら一日かかると見た方が良いかもしれない。
二人で近くの食料品を取り扱う店で保存食と飲み物を確保しておく。軽くて高カロリーな物を五日分。水がどうしてもかさ張るのは仕方ないよね。
うーん、これでレミリアも背負うのか。荷物の存在がネックだな。いっそ逃すつもりで馬を連れて行くべきか……。
「キュゥ!」
「お、早かったねミール。お勤めご苦労様」
「キュキュゥ!」
荷物を目の前にモジモジしているとミールが帰還。本当行動が早いなミールは。
「キュゥ?」
「あぁ、荷物とレミリアの連れて行き方を思案していてね、何か案はあるかい?」
「キュゥ!」
元気よく返事はしてくれてもミールには流石にちょっと難し……え?
「ミール?」
「キュゥ……」
ミールが光に包まれて……え?
サイズ感が変わって……。
嘘でしょ?
馬とまでは言わないけど、明らかにレミリアが乗せられそうなサイズに巨大化した。ミールがだよ。
「うわーミールちゃん凄いです!」
「いや凄いというか、もうね……」
「キューゥ!」
風をなびかせる長くて綺麗な耳は健在で、フワフワとした感触も撫で心地の良い毛並みもそのままに、サイズ感と手足が伸びたね。
ミールさん? いつのまにそんな事を? 確かに最近魔力保有量は爆発的に増えちゃったけどさ、そんな事まで出来るの?
「キューゥキュ!」
「あぁ荷物も……レミリアも?」
「キュゥ!」
腰の辺りにベルトを固定して両サイドにバランス良く荷物が乗る様にミールに設置。そしてレミリアはミールの背中の辺りに乗ってもらう。
「重くないですかミールちゃん?」
「キュゥ!」
ミールが荷物を担当してくれるなら僕もバリバリ走れるから助かるね。これなら半日で追いつけるかもしれない。事前に運動してて良かったよ本当に。
にしてもミール凄いな……。