第155話 良いのか悪いのか副作用
何事もなく旅路は進み少しずつルルリさんも感情が戻って来たように見える。また後で改めて謝罪しよう。仕方なかったとは言え、まさかあんな悲惨な状況になるとは思ってなかったから、事前に伝えられていればまた違っていた筈なのに……普段から試さずに土壇場で使うからこうなるんだよね。
ここは本当に反省しなきゃならない。もう少し……試しておくべきだった。対魔物において、軽くならまだしも全力で攻撃しようとしたらどうなるのか、という事を僕自身が知らないなんて、とんでもない無責任な話だ。
今回の事で痛感した。
やはりこの力は異常だ。使い方を間違ったらとんでもない事になってしまう。コントロールも含めて、今後はより気を付けて扱っていかなければならない。
悶え苦しむやつも、すぐ動かなくなった奴も、ブクブクに膨れていた奴も、頭から溶けていったやつもいた。正直複合毒過ぎて何が起こってたのか僕自身にもよく分かっていない。
ただ、あの時撒き散らした毒は全て回収した。そこだけはきっちり、抜かりなく。
残ってたら通行人に被害が出かねないからね。
分かってはいたけど……とんでもない能力だな。
「キュゥ！」
「お前は大人しくしてたんだな、ミール」
「キュゥ？」
「やれやれ、なんでこうなったんだか……」
「キュゥ！」
そしてもう一つ、ミールに異常事態だ。どうも預けていた魔力が特異魔法の開放時に底上げされていたらしく、内包魔力が更に大きく増えてしまっている。というか爆発的に増えている。
もう既にちょっとしたレベルになっているだろう。元々危険度だけならＧクラスの魔物の筈なのだけど、今はＤクラスくらいにはなってるんじゃないかな？
移動速度だけなら元々Ｂクラス以上と言われるウイングラビットだ、捕獲難易度だけなら元々それなりの高さだった筈、でも今は下手したらもうそこらの冒険者じゃ捕らえられないレベルの速度になってるかも。捕まえるならＡクラスの任務になるんじゃないかな。多分、普通に捕まらないと思う。
「でもお前は可愛いな」
「キュゥ！」
フカフカで羽のような耳が柔らかくて気持ちいい。
それにめちゃくちゃ人懐っこいし。
あ、そうだ。
「ルルリさん、この子見てて貰えませんか？」
「……え？ ミールちゃん？」
「キュゥ！」
「ちょっとレミリアと話す事もありますので」
「……分かりました、こちらへどうぞ？」
「キュゥ！」
僕の肩からルルリさんの膝の上へと移動するミール。
レミリアと話さなければならないってのも本当だし、ついでにミールをルルリさんに預けてる間に癒されてくれると良いんだけど。
頼んだぞミール。
「キュゥ！」
……なんか合図返されたんだけど。
聞こえたのかな？
