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第148話 一本道の主

「カサビム!」


 ニーナさんが声を上げて振り返る。だがカサビムさんは直進を指示。ここが最も有効な道だと判断したらしい。


「ならルルリ、道を! 馬車は頼むよ!」

「分かりました!」


 ルルリさんがカサビムさんの隣に移動してくる。そして魔力を練り始めた。かなりの量だ、大掛かりな事をするらしい。


 と同時に。


風刃乱舞(ふうじんらんぶ)!」


 目の前に幾重もの風の刃を発生させ、そのまま直進するニーナさん、その後ろをダリアさん。


「道を作ります!」


 ルルリさんが魔力を解放する、馬車の両サイドの土が壁の様に盛り上がる。そして前方に向かって塀の様に真っ直ぐと連なる。成る程、これなら簡単には敵も接近出来ない。


 土にオークが群がる様に集まってくるが走り続ける馬車には壁を登るというタイムラグがあっては追いつけない。


 敵は多い。だけどここまできたら……直進して【橋】を目指すしかない、そういう判断だ。状況は明らかにイレギュラー、森に入った段階でこの流れになる事は恐らく誰にも出来なかっただろう。なんせ、見たこともない様な魔物だ。こんな場所に生息してるなんて聞いた事もない。


 そしてこの先には大きな川がある。森の世界から流れてきた大きな川はそのまま海世界へと繋がっている。これを越えるには橋を渡るしかない。


 けれどこのオークの群れの中でそんな事出来るのか? いや、もう引き返す方が危険という判断なのだろう。活路は前だ。


 ……!? 何だ、この気配は。


「……分かってる、これは避けては通れないんだろ?」


 振り返るニーナさんにカサビムさんが小さく頷く。当然、全員気付いてるみたいだ。


 この先に……とんでもない強力な魔力を発する何かがいる。さっきまでのオークとは比較にならない様な……何かが。




 ______





「な、何なんだよこいつ……」

「分かりません……オーク……が原型なんでしょうか」


 道の形上、どうしても避けては通れない岩場があり、そこはまるで崖の底を走っている気分になる様な立派な岩壁が両サイドに構える一本道。そして、そんな逃げ場のない道にそいつは待ち構えていた。


 腕は……恐らくミノタウロスの、そして斧も。だがサイズ感がおかしい、ミノタウロスは三メートル程の魔物だが、あの腕は原型を留めていない。ふた回りは巨大化している。


 身体は膨れ上がり腹部からはいくつもの顔が浮き上がっている。足は……トロールか?


「つまりアレか、このオークは何らかの手段で周りの魔物の力を吸収出来る訳だ」

「だからそれを恐れて森のラベルカーン側に魔物が逃げて来ていたんですね……」

「で、こいつはその中でも、この一本道っていうみんなが通る場所で陣取る事で、他の奴らより沢山食べた暴食の化身って訳だ」


 ニーナさんとルルリさんが見解を示しているが、僕も同じ考えだ。それに……どうあれここは通るしかない。


 戦闘は……避けられないだろう。

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