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第133話 テイムの特性

「お、もう閉めてくれたの?」

「はい! お片付けもあらかた完了してます!」

「いつもありがと。ミールは大丈夫だった?」

「寧ろ凄く可愛がって貰ってましたよ! ね?」

「キュゥ!」


 その日の仕事終わり、ひとまずミールが気になったので様子を聞きに来たのだけれど、思っていた以上に杞憂だったみたいだね。レミリアに抱っこされているミールがめちゃくちゃ可愛い。


 あれ? 何か違和感があるな。何だろう。


 ……そう言えば僕の与えていた魔力が少し減ってる?


「ミール、ちょっとこっちにおいで」

「キュゥ!」


 レミリアの元から僕の腕の中へと移動してきたミール。腕の中から至近距離で見つめられると本当に可愛い。……おっと、そうじゃなくて。


「……やっぱり、総体的には変化ないのに減ってるなぁ」

「キュゥ?」

「何かあったのですか?」

「あ、いやこっちの話」


 そう、ミールの魔力量には特に変化がない。つまり、僕の魔力が吸収されているって事だ。元々ミールの魔力量が10だとする、そこにコントロールする為の僕の魔力を5与えた。つまりミールは15の魔力を保持していた事になる。とは言え、当たり前だけど僕の与えた5の魔力は本来ミール自身には使用不可能な魔力だ。だから別に何かが変わった訳でもない、筈だった。


 ところが今気付いたこれは、ミールの魔力が13になって、僕の与えた魔力が2に減っているという事実。


 つまり、僕の魔力がミールに吸収されている。うーん、益々もって困った存在だなぁ。


「なぁミール、分かる範囲で教えてくれないか?」

「キュゥ!」

「今さ、僕の魔力を吸収してるのは分かる?」

「キュ?」

「うーん、それなら……そうだな。僕の与えた魔力がミール自身の力になってる感覚はある?」

「キュ? ……キュゥ!」

「あるんだ……。これって僕の魔力が無くなったらミールはどうなるの?」

「キュ?」

「分かんないか。でもこれは流石にちょっと試しておかないとなぁ」

「何かミールちゃんに問題があるのですか?」

「まぁ、まだ分からない事だらけだからさ。ちょっとレミリアにも手伝って貰うかもしれないから……頼むよ」

「勿論です! 何でも言って下さい!」


 これで何かの拍子に全部吸収しちゃって、自由になって逃げる、ならまだいいけど、自由になって暴れる、とかだとマズいからね。


 様子を見よう。




 ______





 あれからミールを観察して、判明した事がある。魔力吸収問題に関して。


 ウイングラビットは元々逃げるのがメインの魔物だから危険は少ないかなと、あの日帰ってから家の中でミールに与えた僕の魔力が尽きるのを待ってみた。


 万が一に備えて全員で出入り口を封鎖しつつ様子を見ていたら、その夜中に僕の魔力は完全に吸収された。


 結果、やや言う事を聞かなくなった。特にレミリアやカミラの言う事はほぼ聞かず、僕の声にのみ反応する程度。待てと言ったらビクッとキュゥ? と言いながら恐る恐る止まる、みたいな。そこでひとまず追加で魔力を与えると、また従順な状態に戻った。


 そしてミールが元々保持していた魔力を10だとして、僕が11の魔力を与えた時点でその現象は無くなった。つまり、ミールの中にある魔力の過半数が僕の魔力となった時が、テイムの完了の基準になるらしい。


 もう僕の魔力が切れた所で、ミールはミールのままレミリア達と楽しく過ごしている。


 次は、どこまで吸収出来るのか問題だ。端的に言って、ミールは既に初期値から倍の能力を保持している。魔力とはそのまま戦闘能力。僕みたいな戦闘技術を磨いていないタイプならまだしも、ミールは純粋な魔力結晶。魔力が上がれば強くなる。


 どこまで強くなるんだろう。


 次はその辺りが観察対象になるかな。

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