第124話 二度目の土
「レーミリーアちゃーん!」
「いらっしゃいませマーベルさん!」
「はぁぁ今日もマイエンジェルはこんなにも神々しくて……惚れる」
「……既に、惚れてる」
「あら、そうだったわね。今日はお土産があるのよ!」
「……いつも、ある」
「あら、そうだったからしら? 見てみて!」
「今日は重たそうな……重いです!」
「ふふ、驚いた? 中身は土よ!」
「えっ!? もしかしてこの間と同じ……」
「そう、そろそろかなって思ってたのよね!」
「すっっごく嬉しいです! この前の土でとっても元気な野菜たちが育ったので、次もまたお願いしたいなって思ってた所だったんです!」
「勿論知ってるわ!」
「……何故なのか」
入り口の騒がしさから今日もマーベルさんが来た事が容易に伺える。にしても今日はレミリアのテンションが高いな……何貰ったんだろ。何かしらいつも貰ってるけど、今日はまた……ん? 扉がノック?
「どうぞ?」
「入るわよー、これこっちに置いておくわね!」
「……何故こちらに?」
「え、こんな重たい物レミリアちゃんに持たせられる訳ないじゃない」
「……それは一体……何ですか?」
「土ね」
「……抜かりないですね、何故それを求めていると分かったのですか?」
「レミリアちゃんノートに書いてあるからよ! 最初に持って行った日から考えて次はこの辺だって!」
「レミリアノート……」
もう突っ込むまい、この人なら有り得る事だ。
普通の事だ。
「それじゃ順番待ちに戻るわね!」
「あ、はい」
そしてマーベルさんは普通に順番が来たらパッと握手をしてサッと帰って行った。もうホントにベテランにも程があるよね。
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「すみませんご主人様、私の荷物なのに」
「マーベルさんに頼まれてるからね、運んでくれって」
帰り道、肩に土を背負って持ち帰る。これ多分10キロで済まないよね、何キロあるの?
「これマーベルさんどうやって運んできたの?」
「ギルドの知り合いが持ってくれたって言ってましたね」
「成る程、そりゃそうか。これ相当重いからね、僕じゃなきゃキツイよ流石に」
「うぅ、でも私の荷物ですので」
「ならまた一緒にやろうよ? そしたら僕の荷物でもあるでしょ?」
「良いんですか!?」
「そりゃね、僕も楽しみだからさ」
「嬉しいです! 次は何を植えてみましょうか!」
「そうだなぁ……やっぱり食べ物だよね」
「ですね! 野菜かなぁ……果物もいいなぁ……」
何を植えてもめちゃくちゃ育ちそうだからね。次はもう最初から期待値が凄いから植える物を選ぶのも楽しみだ。僕らにはまだ菜園の技術はないけれど、土がフォローしてくれるから大概なんとかなりそうだし……ふふ。
あー、早く収穫したいね。
植える時が一番楽しいかも。