第123話 初めての収穫
「で、ではいきますよ……!!」
「うーん、これはまた美味そうなトマトだな」
「はぁー緊張しました。なんか嬉しいですね!」
「……こっちも、美味そう」
「どれもおっきく育ったよね。見てこの茄子、一つで一食分になりそうだよ?」
「まだ食べてみないと上手に出来たか分からないんでドキドキします……」
「……味見は、任せて」
「ダメです、私が食べます!」
「あぅ、……そこは、当然」
今日は天気も良かったので実った野菜たちの収穫の日となった。どれも大きく育っちゃって……いや育ち過ぎだから。なんで茄子が30センチもあるの? その重さに耐えれる本体の強さもどうなの?
「これって収穫したらどうなるの?」
「普通は次のシーズンを待つのですが……なんかもう一回くらい取れそうですね」
「取れるだろうねぇ……」
「……絶対、取れる」
妙に強いオーラを放つ家庭菜園達は、一度で終わりだなんて言わせないと言わんばかりの力強さで存在を主張する。こいつらまだまだ身をつけそうだ。
「見てくださいよご主人様! このおっきなトマト! 何か笑ってるみたいです!」
「こっちのピーマンもすごいよ!」
みんながこぞって手に取った野菜を僕に見せようとしてくるけど、そんなことしなくても、この野菜たちはどう見ても凄い。普通じゃないなこれ。
「さて! 料理しよっか!」
「しましょう! 美味しくしてあげましょう!」
「……片付けは、やっとく」
「だね、僕らはここを纏めておこうか」
「ではお願いします!」
「よーし、腕がなるね! これは美味しくしてあげなくちゃ!」
二人は籠の中に野菜をつめて台所へ。うーん、楽しみだ。どうなるんだろ、あの野菜たち。
「楽しみだな。見た? あのはち切れそうな茄子」
「……絶対、美味い」
二人で雑談しつつテキパキと場を片付けていく。
それと、残ってるまだ収穫できそうな野菜も収穫しておく。取っても取ってもまだ実が付きそうだから、これはもう土のパワーとしかいえないよね。
この土、もっと欲しいな。
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「じゃーん、茄子はミンチ肉で肉味詰めのチーズとじ、トマトソース煮込みにしてみたよ!」
「ピーマンもお肉と炒めてます!」
「で、このトマト。サラダ用のは切っただけなのにめちゃくちゃおいしそう……ねぇ早く食べよ!」
「待って待って、そう慌てないで。料理は逃げないからさ」
「でも冷めちゃうよ!」
「冷めちゃいます!」
「……確かに」
「……一本、取られた」
テーブルに並べられた料理が凄く良い匂いを放っている。特に茄子。こう来たか、凄いな。
茄子の内側がくり抜かれ、そこが容れ物になっており、ミンチ肉が詰められている。そこに茄子の中身も混ぜ込んでるみたい。で、その上からチーズをかけて、それがトロッと溶けて全体を覆っている。最後にフレッシュトマトソースでそれを煮立ててしまえば、茄子トマトの肉詰めチーズって訳。とんでもなく良い匂いを放ってる。
「ピーマンたちもさっと油を通してるからシャキシャキなんだよ!」
「うわぁ、綺麗に炒めたね……美味そう」
「強火でサッとだね!」
プラムがどんどん料理に強くなっていくから、レミリアがそれにつられて引き上げられて。なんというか、最近本当にご飯が贅沢な……。うん、我慢出来ないな。もう食べよう、ヨダレが酷い。
「じゃ、食べよっか」
「「「いただきます!」」」