第121話 肩の荷
あれからその場にいた五人に事のあらましを説明した。奥さんだけは流石に危険だからと言ったんだけも、死ぬ時は旦那と一緒だから気にすんなと言われてしまい、話す事に。
説明に関してはこんな感じで済ませておいた。
僕の能力は腹痛を起こして排便を促進する特異魔法、とみせかけて。排便に関わる体内の調整能力に近い機能があるという事。
そしてその力にかかれば体内の不純物は速やかに浄化され、快適な状況へと戻す事が出来、またそれを維持する事も出来るという事。
更に維持するに当たって、僕の預かり知らぬ所で浄化されたとしても僕はそれを察知する事が出来、今回はその特性でここの違和感に気がついた事、またその違和感から原因が特定出来たので、その発生源を追った事。
事が解決している事。
出来る限り【毒】という単語を抜きで説明する事で、本日は何とか隠せている筈だ。その場にいた全員は一応それで納得してくれている。
「どうして言っちゃダメなの? 凄い事なんじゃないの?」
「プラムよぉ、スゲェからダメなんだ。特異魔法ってのは並みのモンじゃねぇ、一種の化け物だ。それが世間に知られようものなら……普通には生活できねぇよ」
「化け物とは中々の言われ様だけど、そういう事なんだ。きっと色んな所から引っ張りだこになった上で、邪魔になれば殺される危険すらある」
「えっ……そんなにですか?」
「あぁ、治せるっていうのは壊すのよりも貴重だからね」
「壊す人には驚異という事ですか。怖いですね」
「だからなるべく関わらせたくなかったんだけどね。こういう事があったら僕は迷わずみんなを守るからさ。だから……知っておいて欲しくて。他言無用で頼むよ」
「分かりました! 絶対言いません!」
「……秘密、厳守」
「怖すぎて言えないよ……」
「そうだな、俺も聞いたは良いが手に余りそうだ。他言は絶対にしねぇ。店を救ってくれた事、感謝する。犯人はもう追求しねぇよ。そういう事だろ?」
「えぇ、まぁ」
「なら何も言う事はねぇ、感謝する!」
ガシッとダギルさんと握手し、みんなも頷いてくれている。これは本当に言うべきか否か迷ったんだけどね。どうも僕の性格上、言わずにずっといるのは無理みたいだから、誰かが本当の危険に晒される前に知っておいて貰おうと思ったんだ。
家族に危害が及んだのなら、いくら秘密でも絶対能力使っちゃうからね……。
でも上手く伝えられたみたいで安心した。
そこは本当に良かった。
少しだけ、肩の荷がおりた気がするよ。