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第12話 不幸さえも楽しんでしまえば。

「今日も暇ですね、ご主人様」

「うーん、理由が分かっちゃったからなー。でもどうしたらいいんだろ」

「貴族に知り合いの方はおられませんか?」

「いないね」

「はぅ、ごめんなさい」

「いやいや、気にしないで。それより対策だけどさ」

「はい」

「思い切って休みにしちゃおっか?」

「え!?」


 お客様の来ない昼下がり。理由もすっかり判明してしまって店に籠るのもバカらしくなってきた。お金は少し困るけど、生活に困窮する程ではない。むしろ数ヶ月くらいは営業しなくても生きていけるくらいの蓄えはあるんだ。丁度働き詰だったし、たまには休むのもいいよね。


「ほらこれ」

「あ! 手作りの休診日のお知らせですね!」

「入り口にかけてきてくれる?」

「はーい! 行ってきます!」


 パタパタと走っていくレミリアは、そのまま箒を片手に戻ってきてお店の中の掃除を始めた。折角だし僕も手伝おう。


「今日はちょっと凝った晩御飯でもしようか?」

「そうですね、時間もありますし!」

「何か食べたい物ある?」

「え? 私ですか?」

「えーっと、この間何か言ってたよね、カレー?」

「カレー!? 良いんですか!?」


 そんなこんなで晩御飯はカレーに決まった。材料を仕入れて家に帰って、二人で野菜を切ってしっかり煮込んで、レミリアの笑顔を堪能して、今日も穏やかに一日が過ぎていった。


 うーん、こんな日も悪くないんだけどなぁ。




 ______




「これは……困ったな」

「あぅぅ、どうしてこんな事……」


 翌日お店にくると入り口の周りが凄く荒らされていた。物が壊れたり投げ込まれたり、変な臭いがしたり、液体が付いていたり。


「酷い臭い……」

「ま、暇だし丁度良いよね。暇つぶしには最適じゃない?」

「……!? ご主人様流石です! 確かに!」


 そんな事にも特にめげる事なく二人で楽しく掃除して、壊れた所は修理して、前にも増してピカピカにしておいた。


「ふぅ、他にはどこかありますかね、ご主人様!」

「うーん、もう十分じゃないかな?」

「それなら道具を片付けてきます!」


 テキパキ働いてくれるレミリアの助けもあって、どう見ても昨日より綺麗になってしまった。考えてみれば入り口の余計な物を捨てたり不要で汚れていたり捨てるに捨てれなかった物も多かった。


 それらを纏めて処分する機会になったと思えば何てことはない。実際綺麗になったしね。お客様も来ないけど、いつきても良いようにピカピカスタイルでスタンバイ。


 お客様早く来てくれるといいんだけど。

 どうしたらいいんだろ。

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