第118話 早過ぎる反応
「!!?」
「……? ご主人様、どうかしました?」
「いや、これは……」
仕事中、今は昼休憩の直後。これから午後診という時に突然、特異魔法に反応が出た。これは……間違いない。何かしらの毒にプラムが接触した。
「すまない、今日は午後は休みだ」
「……? 分かりました! 片付けしてきますね!」
空気を察してレミリアはすぐに片付けに入り、カミラは何を疑う事もなくそれに同調。この辺りの順応スピードは本当にありがたい。
にしてもこれは……恐らく食べ物から。経口摂取した毒、となると……場所は店だろうから、急がないと何かが起こる可能性がある。
毒自体は既に消滅させている。けど、ダギルさんや奥さん、店のお客さんまでは……今ここからではどうする事も出来ない。すぐに動くべきだ。
「プラムに何かあったみたいだ。大丈夫ではあるけど心配だから様子を見に行く。すぐに出よう」
「分かりました!」
「……了解」
二人に簡単に状況を説明し、ダギルさんの店を目指した。
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「なんだなんだ急に!? オメーら揃いも揃ってよ!」
「いえ、ちょっと顔が見たくなってですね、こんにちはダギルさん」
「……? ……おぅ」
「こんにちは、奥さん」
「……? ……こんにちは」
半ば強引に二人と握手を済ませ、体内を探る。ここまで距離が近ければ更に正確な情報を得る事が出来る。……やはり毒が体内に。これは……腹痛を伴うタイプの毒……食中毒か。
「何なんだよ、いくらオメーでも作業場であまりウロウロすんじゃねーよ」
「少し失礼します、それなりの事態ですので」
二人の毒素は共通していた。特定の素材があるはずだ。感覚を研ぎ澄まし、空間内にある同じ毒を探す……あった。この野菜……全部か。
「この野菜って、何か変な事ありました?」
「いや? 何もねーよ、いつも通りだ」
「なら……どう保管してました?」
「あ? 保管ってお前、ずっとそこにあるっつーの」
「人の出入りは?」
「こんな所誰もいれねーよ、オメーだよオメー」
「では……入荷時は?」
「そりゃ……、今日はちょっと外に放置してたな」
成る程、多分店内に入る前を狙ったか。
「これ使いました?」
「昼飯用に少しな、そこのは夜に使う食材だ。昼間は昨日の残りで賄うからまだ大して使っちゃいねーな」
「それでか、良かった」
「……何がだよ」
「この野菜、微量ですが食中毒に関わってますね」
「洗いはするぞ?」
「消毒は?」
「……そりゃしねーだろ」
「なら……今日は毒消しのポーションで十分なので、少し混ぜた方が良さそうです。三人も少し飲んでおいて下さい」
「……なんで分かんだよ?」
「……何も話せません。その上でこれはかなり危険を伴うので、内密にお願い出来ますか? 勝手ながら信用して話をさせて貰ってます」
「……マジなんだな。分かった。他でもない恩人の言葉だ。他言しねーし、信じよう」
真剣な表情を崩さずに話をしたら、どうやら分かって貰えたみたいだ。良かった。
さて、問題はここからだ。
僕の家族に手を出して逃げ切れると思うなよ?
予約投稿が11時になってた事に今気づきました。
くぅ、やっちゃった(´・ω・)