第117話 プラムの日常
「今日は何か作りましたか?」
「えっとね、ちゃんと働くなら一から教えるから覚悟しやがれ! って言われて、お皿洗いとか接客とかから習ってるからさ、なかなかお料理に辿り着かないんだー」
「ほ、本格的ですね……。ダギルさん、プラムちゃんに凄く期待してますよそれ」
「そうなのかなぁ。でもね、最近はお皿洗いばっかりしてるから退屈でさ。ダギルさんが何してるのかなーって観察したり、奥さんが接客してるの見てたり、これ洗っといてくれって渡された作業皿についたソース舐めたり、なんか変な所が楽しいの!」
「うわぁ……流石プラムちゃん。しっかり修行してますね」
「これって修行なの?」
プラムが外で働く様になってから、家族内での話題が増えた様に思う。特にレミリアは話を聞く事でそれを自身の力にするのが得意みたいだから、凄く真剣に聞いてるしさ。真剣に聞いてくれたら話す方も楽しそうだし。なかなか良い感じの様な気がする。
「立派な修行ですよ! 何ならその時に舐めたソース、二人で再現してみましょうよ!」
「えー! それ凄いね、楽しそう!」
「次は作り方もこっそり見ておいて下さいね!」
「よーし、何かお皿洗うの楽しくなってきた!」
「私も夜にプラムちゃんの話が聞けるのが楽しみで楽しみで!」
「明日は試してみようね!」
「是非やりましょう!」
二人はすっかり料理人の卵みたいになってしまった。我が家のご飯が日に日に進化していく。嬉しい限りだ。
「ご主人様! そう言えばそろそろ野菜たちが収穫出来ますよ!」
「……え?」
「前に植えたじゃないですか? ……覚えてませんか?」
少ししょんぼりして見せるレミリア。
でもそうじゃなくてね。
「いや、覚えてるんだけど……早過ぎない?」
「多分土が強過ぎるんだと思います。なんかスクスク育っちゃって、もう実がついてます」
「本当に!?」
余りの衝撃にバタバタと植木鉢の所に移動して、苗を見てみると。うん、とても生い茂ってたね。早過ぎない? どんな土渡したんだよマーベルさん。
「この土のお陰でスクスク育つので、菜園するのもとっても楽しいんです! 次は何を植えましょう!」
「今度はタネを買いに行こうか。この間マーベルさんと寄った所だったら買えるよね」
「良いんですか!?」
「凄い、ほんとだ。もう食べれるね」
「……実に、美味そう」
そして遅れてプラムとカミラがその場に現れる。
「明日か明後日には収穫です! その時はプラムちゃんと美味しく調理してあげましょう!」
「うわー楽しみ! 私も一緒に収穫したい!」
「待ってますね!」
「……味見は、任せて」
なんだか色んな楽しみが増えてきたなぁ。
みんな本当に凄いや。