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第115話 街の商人

「いらっしゃいませ、順番にお待ちいただければ順次お声かけさせて頂きます!」

「レミリアちゃぁぁぁん」

「マーベルさ……ぐむぅ」

「太陽よ! 太陽の匂いがするわ! なんて暖かい光なのかしら……」

「……既に、夜」

「あら、そうだった?」

「ぐむむぅー」

「レミリアちゃん……今日はパンを持ってきたの。最近あそこのパン屋さんのバイトが休みがちらしくて、パンが売り切れ続出でね。予約しなきゃ買えないのよねぇ」

「ぐむぅー!」

「……レミリアが、窒息」

「つい抱きしめ過ぎちゃったわ」

「ふはー! マーベルさんお疲れ様です!」

「いやぁぁぁ可愛いぃぃぃ」

「ぐむむぅー!」

「……繰り返される、悲劇」


 入り口の騒がしさから、もう声が聞こえなくても誰が来たか分かると言うのに、声まで筒抜けだからもうすぐ分かるよね。マーベルさんが来店されたのか。


「カミラちゃんの分のパンもあるわよ!」

「……!? 早速……」

「カミラちゃん、今はお仕事中ですよ!」

「あぅ、……とっとと、終わらせる」

「凄い目をしてるわね……あら、もうあんな所に。というか仕事早いわねカミラちゃん」

「普段も凄いんですけど、ご飯がかかるともっと凄いんですよ」

「喜んで貰えたみたいで何よりね!」


 どうも何か貰ったらしく、僕の横を走り抜けていくカミラの様子から、それが食べ物だったと判明。動くスピードからして、きっと食べ物を目の前にしながらレミリアにお預けにされたに違いない。


 カミラは放っておいたら欲望のままに食べるからね。素直というか何と言うか。


「お次は……マーベルさんどうぞ!」

「はーい、お邪魔しまーす」


 扉を開けてマーベルさんが部屋に入ってくる。相変わらず元気そうで何よりだね。


「最近コーラルカーンが大変だって噂ですけど、ギルド的には問題ないんですか?」

「あぁ、勇者召喚? 今はまだ私たちには余り関係ないわね。この後かしら」

「この後?」

「魔族だなんだって動きが始まっちゃったらどうしても戦いになるでしょ? そうなったら対応は変わるから……多分今はまだ準備中ね」

「なら特に動きはなしですか?」

「アズライールさんがかなり頻繁にあちこちに働きくけているみたいだけど……それくらいかしら」

「奴隷商の?」

「そうそう、あの人がいないとこの街潰れるわね」

「そんなになんですね」

「そうよ、奴隷が今この街でギリギリ人権に近いものがを認められているのは、彼の働きかけがあってこそなのよ?」

「……有力者とは理解してましたが、そんな方だったのですか」

「まぁギルド職してると関わりもあるけど、軍だとね。ライバックさんくらいじゃない?」

「え?」

「ライバックさんが唯一信頼してる奴隷商人って、アズライールさんよ? 知らなかった?」

「知りませんでしたね」

「まぁ機会があれば話してみるのもいいかもしれないわね、あの人に分からなければこの街では誰にも分からないくらい、奴隷には詳しい人よ」


 奴隷に詳しく、その制度にすら影響を及ぼして、街での奴隷の扱いに貢献する商人、アズライールさん。


 あの奴隷商人との一件から、信用ならない人種だと避けていた奴隷商人だけど、やはりレミリアのお姉さんを探すにあたっては関わらない訳にもいかない。


 その人なら……お姉さんについて何か分かったりするのかな? いや、でもライバックさんが繋がってるなら、連絡が無いのならそう言うことなのだろう。


 でも機会があれば……話を聞いてみたいかな。

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