第114話 出勤初日
「今日からよろしく頼むな、プラム!」
「は、はい! あの……まだまだなんですけど、い、一生懸命頑張ります!」
「おぅ! まぁ、一から教えてやっからよ。あまんまり心配すんなや!」
「あ、ありがとうございます!」
「ダギルさん、よろしくお願いします」
「いや、こっちがお願いしてんだ。責任持って預からせて貰うからよ!」
「アタシもいるんだ、大丈夫だよ!」
「ありがとうございます。じゃ、また後でなプラム」
「また後でね!」
「……無理は、禁物」
「ありがとカミラちゃん!」
「また私にも教えて下さいね!」
「教えられる様に頑張るねレミリアさん!」
とても活き活きするプラムをダギルさんの店に預けて、僕らは三人で店を目指す。ちょっと寂しかったのか、今日は二人が手を繋ぐ事を要求してきたので。右にカミラ左にレミリアの状態で店を目指す。
「今日からはまたレミリアにお昼を頼む事になると思うしさ、今のままじゃ効率悪いと思うんだよね」
「お昼は任せて下さい! 効率って、何か困ってましたか?」
「お店にあるキッチンって、ただの流し場でしょ?」
「そうですね……あ!」
「そうそう、あそこをもっとしっかりしたキッチンに出来たら、そもそも色々捗るんじゃないかってさ」
「確かに、職場なのであまり意識はしませんでしたし、プラムちゃんが居てくれたんで何の問題もありませんでしたからね」
「最初は二人だったから問題なかったしね」
「でも……そうですね、キッチン嬉しいです!」
「よし、それなら少し改装しようか」
「……お昼が、クラスアップ」
家で料理してるだけで充分だったけど、これからはそれだと少し時間が勿体無いし、プラムの負担が急に増えた以上、余裕はどこかに作りたい。
そこでキッチン、という訳なんだ。多分これだけの事で結構楽になると思うんだよね。
「今日すぐに頼むからさ、近日中には使える様にするよ」
「良いんですか!? すっごく楽しみです!」
レミリアは元々ご飯作るの好きだったみたいだし、多分これはみんなにとって良いタイミングだったと思うんだ。
レミリアもプラムも嬉しそうなら、言う事ないよね。カミラはお昼がより美味しくなる事で頭がいっばいみたいだし。
ダギルさんには本当に良い提案をしてもらったなぁ。
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「さて、そろそろ帰ろうか」
「……こっちは、完璧」
「いつもありがとね。プラムは大丈夫だったかな?」
「ちょっと遅いですよね」
「ただいまー!」
「……影が、立った」
「影?」
「おかえりプラム、今ちょうど噂してたらかさ」
「そうなんだ! 買い物寄ってきたら遅くなっちゃった」
「お疲れ様です、どうでしたかプラムちゃん!」
「楽しかったよ! やっぱり量が違うと楽しいね!」
「また色々教えて下さいね!」
「うん! まだまだだけど、伝えられる様に沢山覚えてくるね!」
「……飯レベル、アップ」
「だね、我が家のご飯がどんどん美味しくなるなこりゃ」
「頑張る!」
今日の帰り道は珍しく興奮気味のプラムが殆ど一人で話しながら、それをみんなが聞いては質問しながらの帰路となった。
楽しかったみたいで何よりだね。