第113話 プラムに提案
あの日の焼肉パーティから、実はずっと考えてる事が一つあるんだ。悪い事なんかじゃなくて、でも少し決断が必要な事。
うーん、あまり話すのは得意じゃないからなぁ。
上手く伝えられると良いんだけど。
「プラム、ちょっといいかな?」
「……私? 何かあったの?」
今はまだ仕事中で、プラムはサラッと店の中をチェックするタイミング。この子はたったこれだけの事でそのまま発注を寸分狂わずしてくれるんだから、本当に大したものだ。
「この間のダギルさんの所でのパーティから考えていた事があってさ」
「……何かな?」
うっ、やっぱり少し不安そうな顔をさせてしまった。順番間違えたかなぁ……。
「ダギルさんの所で、少し働いてみない?」
「え!?」
そう、実はダギルさんにも声はかけられてたんだよね。もし手が空いていたのなら、一人雇わせてくれると助かると。出来れば調理に関われる人材をと。
その中でプラムは、比較的時間に余裕のあるポジションで、今は買い出しや各ご飯の準備、みんなのサポートに殆どの時間を割いている。在庫管理はお手の物だから時間かからないしね。
「どうして私なの?」
「料理を出来る人材でなければならなくて、うちでいま一番熱意を持って取り組めるのがプラムだから。プラムにしか任せられないかなって」
「私にしか?」
「それに、ダギルさんから……料理教わりたくない?」
「習いたい! でも……私なんかで良いのかな?」
「プラムじゃなきゃダメなんだ」
「……嬉しい」
僕の足にしがみついて、ギュッと、喜びを表現するプラム。正直、ダギルさんにこの提案を聞いた時から僕は賛成だったんだよね。プラムからしたら……願ったり叶ったりだろうし。
「でもさ、ここのお仕事は?」
「在庫の管理はプラムなら毎日する必要もないだろ?」
「うん、多分大丈夫だと思う」
「だから朝、一緒に家を出てさ。プラムをダギルさんの所に送って、夕方に迎えを頼むからさ。そこから買い物に行ってくれればそれで大丈夫」
「おうちのご飯は?」
「レミリアと相談しながら二人ですればいいさ。お昼はレミリアに任せればいい」
「……それなら、良いのかな?」
「良いんだよ。ダギルさんに返事してもいいかな?」
「うん! 私頑張るね!」
とても良い顔で返事をするプラム。料理も最近、行き詰まってた感があったし、生活にも精神的にかなり余裕が出てきていた。
きっと頃合いだったと思う。
だからダギルさんからの提案には、こちらからも頭を下げてお願いしたいくらいの有り難い気持ちがあった。
「……楽しみだなぁ」
ふふ、良い顔してる。
【アンケートの結果】
沢山のご協力ありがとうございます。感想を書くのはかなり敷居が高いので、5.6件貰えたら嬉しいな……くらいに考えていたのですが、なんと【23件】もの作品への思いを頂き、その中に沢山の素晴らしい考えやアイディアが詰まっておりました。
全て私の骨身にさせて頂きます。沢山の暖かいお言葉ありがとうございました。
【結果】
①ほのぼの 7
②ポイズン 6
③どっちも 10←!??
という、まさかの幻の第三の選択肢が覇権を握るという、作者の考えの甘さが露呈する結果となりました。もうほんと、やって良かったです。
思いを伝えて頂いた皆様のお陰で、皆さまの求める正しいルートへと進めそうです。危うくドップリとほのぼのするところでした。
本当にありがとうございます。
では今週もよろしくお願いします。