第112話 お礼の気持ち
「いらっしゃいませ、順番にお待ちいただければ順次お声かけさせて頂きます!」
「御機嫌よう、レミリアさん」
「クラリスさん! この間はありがとうございました! お肉ほんとに美味しくて、それにみんなとっても楽しそうで。幸せな時間を沢山頂きました!」
「……あれは、至高」
「ふふ、カミラさんも喜んでくれたみたいで何より。私としても使い道の無い物がこの様に使って頂けたのなら嬉しい限りですわ」
「いつもありがとうございます!」
「ふふ、では待たせて頂きますね」
「ではまたお声がけさせて頂きます」
どうも入り口がいつもよりやや賑やかで、耳を傾けてみればクラリスさんがご来店の様だ。最近ちょっと来店頻度が落ち気味なんだよね。前に聞いていた件以外にも何かあったのかな?
「お次は……クラリスさん! どうぞ!」
「では失礼します」
扉を開けてクラリスさんが診察室へ。何処と無く……表情が暗い気がする。
「最近、顔を出せる頻度が落ちてしまっておりまして、私としても不本意なのですが……」
「いえいえ、無理のない様に。先日の件、本当にありがとうございました。いつもながらみんな大喜びで、僕としても本当に幸せな時間を過ごさせて頂きました」
「それは何よりですわ」
「何かあったのでしたら、僕に出来る事ならお手伝いさせて頂きますよ?」
「……!?」
「やっぱり……何かはあったのですね」
「ええ、あまり大きな声では言えない事ばかりなのですが、近頃あちらもこちらも大変で。特にコーラルカーンでの用が多いのでなかなか」
コーラルカーン、この街から北西に三日ほどかけていけば辿り着ける要塞都市。北側は魔族領にも近いので、王都を守る最後の砦とも言われている屈強な街だ。
「やはり……勇者が?」
「えぇ、最初はグランバインで下積みをするとか何とかだったのですが、どうも間もなくコーラルカーンで受け入れるらしく……」
「あぁ、もしや炎将ガンディス様が……」
「そうなのですわ、彼の方はお熱い人なので……」
ガンディス様はコーラルカーンを治めるXXの将軍、国軍を支える要の一人だ。良い人なんだけど……めちゃくちゃ熱いからなぁ。あの人の訓練は兎に角苛烈極まりなかった。
「ガンディス様に何か問題が?」
「いえ、寧ろ活発になった街の方に色々問題がありまして、特に……貴族側の」
「あぁ……成る程」
「そんな折に、私の身内の一部が病に伏しておりまして、私の家での重要度が上がっておりますの」
身内の病気? それでクラリスさんの重要度が上がっているのなら……両親とかかな? 大丈夫なんだろうか。
「本当に大変なら教えて下さいね、あまり堂々と何かは出来ませんが、こっそりとなら……」
「そうですわね、ナビリス様であれば……もしかすると頼る日もくるかもしれません。その時は……お願い出来ますか?」
今までになく不安そうな顔をするクラリスさんの手を握り、目を見つめてハッキリと答える。この人には助けられてばかりで、全然報いれてないからね。あまり大事には関わらないけど、こっそりくらいならね。
「遠慮なく言って下さい。家族に迷惑はかけれないので僕に出来る範囲で、とはなりますが」
「当然です……。立場上、敵も多いので。ナビリス様の存在には正直救われておりますわ」
「それなら良かった、僕も貴女には沢山救われていますからね」
「ふふ、本当、不思議なお方です事。ではこれで……」
「離しませんよ?」
「!!?」
「ほら座って下さい。後はそうですね、この間のお肉がどうかったかの話をしましょうか」
「今から!?」
どうもクラリスさんはなかなかに思い詰めてるみたいだな……。まだ大丈夫ではあるみたいだけど、もしかするとどこかで手助けが必要になるかもね。
それまでに……暗躍出来る様な能力の使い方に慣れておかなきゃね。
沢山の感想ありがとうございました。
改めて自身の作品に向き合う事で色々な事が見え、今回の事で益々この作品が好きになり、もっと頑張りたいと思った次第です。
作者としてゴールはここだと決めている場所があり、またそれは遥か先となりますので、そこに至る道中は皆様と共に歩めれば嬉しいと考えるヘッポコ作者です。
表現はまだまだですが、可能な限りみなさまの日常を【ちょっとだけ良くする物語】を目指して精進致しますので、これからもよろしくお願いします。
適度に助けてください(`・ω・´)ゝビシッ!