第110話 夜の部、その締め
「仕込み肉、これが最後だよ!」
「良いタイミングだ、問題ない!」
「では取り分けるのは私がやりますね」
「よろしくね、レミリアさん!」
「プラムはちょっとこっちを頼む!」
「はーい!」
肉塊は既に消失し、全てが皆のお腹の中へと収まってしまった。あんなにあったのに凄いよね。
「……各テーブル、そろそろ終わる」
「だろうな、読み通りだ! おーい。アレは大丈夫か!?」
「はいはい、大丈夫。それ用にちゃんと残してるから安心しとくれ!」
「カミラちゃん、これで最後です!」
「……了解」
「レミリアちゃんは私を手伝ってくれるかい?」
「はい、奥さん!」
肉を楽しみ、料理に浸って酒に酔い、みんなが凄く良い顔をしながら満足そうにしている。もう料理も残り僅か。そろそろ終わるのかなと思っていた時。
「オメーら、最後に楽しんでいってくれや!!」
「「「「「うぉぉぉぉ!!!」」」」」
締めに、肉茶漬けが全員に振る舞われた。
食べやすいサイズにしつつもその良質な旨味を匂いで表現する肉は存在バツグンで。そこに温かいダシ汁と野菜を添えて、それはそれは美味しそうな肉のダシ茶漬けに。
もう満足そうだったその場の全員が再び目を輝かせながら、嬉しそうにハフハフする姿を見て、ダギルさんもプラムも、奥さんもレミリアも満足気に微笑んでいる。
因みにカミラはこの時もせっせと皿を下げ、水を足してと上手く立ち回ってくれており、お陰で僕の皿洗いも捗って仕方ない。
これなら場が終わる頃には皿洗いにも目処が立てられる。正直、もう手がふやけて仕方ないからね。
「いつの間にあんなの用意してたんですか?」
「昨日のうちにプラムにベースは頼んでおいたんだ、後は肉を混ぜて終わり、ってなる様にな」
「流石プラムちゃん!」
「わ、私は言われた通りにしただけだから……」
お茶漬けを食べ終わった人たちは口々に【ご馳走さま】と、そして【最高だった】と皆に礼を伝えてその場から去っていった。
あれだけの料理を食べて、まだ最後にこんなの出てきたら、そりゃ嬉しいよね。
みんなすっごい素敵な笑顔だったよ。
時々皿を下げに来てくれる人もいて、わざわざ僕にまでありがとうと伝えてくれて。僕は洗い物しかしてないけど、ちょっと嬉しくなるよね。
いつも似た様な言葉は言われてるはずなのに、場所が違うだけでこんなに響き方が変わるものなんだと実感する。
ふふ、これだと明日からの仕事にもどこか新鮮さを感じられそうな気がする。ほんと、良い影響だよね。