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第108話 昼の部

「本日はお日柄も良いので、丁寧な話はここらで置きまして。テメーら!! 今日は満足いくまで食っていってくれぇぇぇ!!」

「「「「「うぉぉぉぉ!!!」」」」」


 昼の部が、始まった。


 外まで設置された簡易の会場に所狭しとお客さんが集まっている。見れば常連の人たちから、明らかにお金を払えなさそうな子供たちまで。


 奥さんは夜分のご飯を用意しつつ、その辺りを丁寧に誘導している。子供達には、気兼ねなく参加出来る様に専用のテーブルを。そして各テーブルにテキパキと肉を運ぶカミラと奥さん。


 加工済みサラダや焼き用野菜は別のテーブルに一角設けられており、そこから自由に取れるセルフサービス形式に。時々レミリアが補充に向かっている。


「プラム、この肉を頼む!」

「分かった!」


 プラムは溶ける様に消える肉の補充要員としてその力を遺憾無く発揮。その包丁捌きはまだまだダギルさんには劣るものの、そのサポートとして素晴らしい働きを見せている。


 それらの生産速度と消耗速度から配膳のタイミングを決めてテーブル管理をしているのがカミラだ。お陰でどのテーブルにも肉は切れる事なく楽しそうな声が凡ゆる方向から聞こえてくる。


「すまねぇ、助かるぜ!」

「任せて下さい!」


 そして、そのバランスにおいて追いつかない箇所を素早くフォローするのがレミリア。カミラとレミリアがいるお陰で、どんなに状況が複雑化したとしても安定した供給を続けていられる。


 普段、僕の店がこの二人にどれ程支えられているのかを実感せざるを得ない。


 ダギルさんも奥さんも、目の前の事に集中していればそれが最速。であれば補填や補助、管理を出来る存在さえいれば余程の事がない限りは不備は発生しない。


 そしてその不備は、事前にプラムが封殺してくれている。起こる筈もない。


「ほら、アンタたちもどんどんお食べよ!」

「……!!」


 お金を持たない子供たちは徐々にその数を増やし、でも一角以上に場を主張する事なく、入れ替わりながら上手く場を楽しんでいるみたいだ。この辺りは奥さんのコントロールの賜物だろう。


「やべぇ……肉が減らねぇ……なんて肉だ……」


 ダギルさんはニヤニヤしながら嬉しそうに肉を切りまくっているが、まだまだ余裕はありそうだ。昼だけで五十人分くらいの規模で食べ放題だからね。この店のサイズで考えたらあり得ない量だ。


 因みに昼の参加者は夜は遠慮して貰っている。少しでも多くの人に、という店主の意向だと伝えると、みんな快く理解を示してくれる。


 ダギルさんの日頃の徳が伺えるね。


 さて、僕もボケっとしてられない。洗い物が山程あるんだ! 働かなくっちゃね!

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