第104話 二人のお迎え
ダギルさんの店を目指して、レミリアと二人で店を後にする。まだ少し名残惜しそうにするレミリアだったから、また手を差し出したら喜んで握り返してくれた。可愛いやつめ。
でも今日はプラムはダギルさんのトコに缶詰めだっただろうし、ご飯の用意もこれからになっちゃうから、あまりのんびりもしていられない。
レミリアと今日の忙しかった話で盛り上がりつつ、レギルさんの店へと急いだ。
「へいらっしゃい! ……おぅ院長さんじゃねーか!」
「お疲れ様です、大丈夫でしたか?」
「大丈夫もクソもねーよ、全く」
あれ? ダギルさんがやれやれといった顔で首を左右に振っている。何かあったのかな?
「荷物はあっという間に片付いちまうし、気付いたら明日に向けてスタンバイが進んでるしよ。何ならもう終わってるしよ」
「……抜かりは、ない」
「プラムはプラムで料理の腕が格段に上がってやがるから、こっちの手伝いが捗って捗って」
「て、手伝えてましたかね?」
「あたりめーよ。凄ぇ助かったっての。それで手が空いたカミラが客への配膳を手伝ってくれるから、うちの嫁が仕込みに専念出来てな」
「本当に助かったよ、まさかこんなに捗るなんてね」
「そんな訳で、今日の仕事は終わっちまったって訳よ」
そ、そっちか。何か問題があったのかと思ったけど、問題が無さ過ぎて驚愕してる、って感じなのか。捗ったなら良かったけど。
「今日のうちに仕込みたかったサラダやスープやソース、全部終わってるからな。まさかの事態だよ」
「それは良い誤算でしたね」
「本当にな。お、飯できてるから食ってけよ!」
「ふふ、ではご遠慮なく頂きましょうか」
皿の場所から水まで、既に把握を終えているカミラがパキパキと準備を進めて、奥からプラムが料理を持ってきて並べてくれる。
うーん、ここのベテラン従業員みたいだね。
「このままウチで働いて欲しいくらいだよ」
「えっ!?」
いや、僕でもそう考えると思う。プラムは驚いた顔をしてるけど、こんなに捗っちゃったら普通はそう考えるよね。
夜通しの仕込み、と意気込んでたそれが、この時間に終わってるんだからね。そりゃ逆にため息も出ちゃうかもしれないね。嬉しいため息だ。
「これプラムが?」
「分かるの?」
「並べ方にクセがあるからね。そっか、こんなのも作れる様になったんだ」
それはハンバーグがソースに沈んだ煮込みハンバーグ。添えられているのは鮮やかなサラダ。凄く良い匂いのドレッシングがかかっている。
「二人もまだなの?」
「……二人を、待ってた」
「よしこれで全部だよ!」
「そっか、ありがとね。そしたら食べようか! いただきます!」
「「「いただきます!」」」