第102話 事前の準備
「プラム、こっちは程々で良いよ。多分ダギルさん困ってると思うからさ。今の時点だと管理できるプラムがそこに居てくれた方が助かると思うから、頼んでいい?」
「……力になれるかな?」
「なれる、プラムはこういう時にこそ強い。うちで一番だと自信を持ってお願いするからさ、頼むよ?」
「うん! 分かった! それじゃサリファさんと行ってくるね!」
今日はまだイベント当日ではない。まだ日にちはもう少しあるのだけれど、イベントをするとなると物の数の管理が変わってくるし、発注のかけかたもきっと変わってくる。
普通はその辺りで戸惑うのだが、プラムならそうはならない。今ある個数、そして予定している来客数から割り出される必要個数、その後の営業に差し支えの無い様に余裕を持って算出し、全てにそれを適用しなければならない。だがプラムが居たならば、これがあっという間に終わってしまう。あの子には、物を管理する才能があるから。
僕らもここが終わったら顔を出して行こうかな。
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「お疲れ様です、ダギルさん」
「お、院長か! プラムを寄越してくれてほんっっっとに助かった! 頭抱えてた所だったんだ!」
「それは良かった。凄いでしょ? ウチのプラムは」
「いや本当に凄ぇよ。なんで割り箸の数まで正確に把握してんだよ」
「で、発注関係は?」
「あっという間に終わっちまった! プラムは家のご飯ってすぐに帰ったがな。礼もまともに言えてないっつのに」
ふふ、恥ずかしかったのかな? やっぱりこういう方面は本当に強いね、頼りになるよ。
「あら院長さん、久しぶりね」
「奥さん、お久しぶりです」
「またお世話かけるみたいで申し訳ないのだけど、多分二人じゃ無理だからさ、頼むわね?」
「任せて下さい。みんなも楽しみにしてますから」
「それは有り難い。さ、準備準備!」
イベントを控えてるとは言ってもその日も普通に営業はしている。そんな中であんな無茶な企画までやろうってんだから、絶対人手は足りないよね。
「雑品の搬入はいつになりそうですか?」
「前日だ、あまり早くても邪魔なだけだからギリギリにして貰ったな」
「成る程……カミラ」
「……了解」
「という訳で、前日にカミラとプラムに来て貰いますね」
「んん、どういう事だ?」
「カミラは物を効率的に動かす為にはどう整理すれば良いのかに強いんで、届いた雑品は彼女に任せて下さい」
「マジかよ、凄ぇ助かるなそれ」
「あとプラムは前日の仕込みを手伝えますので」
「良いのかよ、二人も預かっちまって。営業してんだろ?」
営業はしてますね。でも……僕には心強い家族がいますから。
「ま、レミリアがいますので」
「ご主人様と二人で、最初はやってましたからね!」
「そういう事なので、こちらは問題ありませんよ?」
「マジかよ……何か何まで本当にすまねぇ。その代わり、ちゃんと楽しいイベントにするからよ!」
ちょっと涙目になるダギルさん。大変な時の助けって、やっぱり嬉しいよね。少しでも手伝えるといいんだけど。
何せ、当日は僕が一番足手まといだからね。
やれやれ。