第101話 ダギルのお願い
「プラムー、いるかー?」
「……向こうに、いる」
「お、済まないが呼んで来てもらえる?」
「……了解」
どこからともなく現れるカミラが、さり気なくフォローしてくれてプラムを呼びに。間も無く顔を出してくれた。
「カミラちゃんが呼んでるって言ってて、何かあったの?」
「ゴメン、頼みたい事があってね」
「頼み?」
「ダギルさんの所、覚えてる?」
「覚えてるよ?」
「ダギルさんに伝言を頼みたいんだ、サリファさんと一緒に行ってもらえないかな?」
「今発注も済んだから! いつでも行けるよ!」
最近はプラムも僕に対しては全く物怖じしなくなってくれて。むしろやや積極的なくらいだ。嬉しい事だね。それに慣れと言えば、プラムが一番サリファさんと仲良しだしね。
「何を伝えたらいいの?」
「例の肉を仕入れられそうなので、使って欲しいと。朝一に届けるって伝えて貰える?」
「うん、分かった! ついでに買い物もしてくるね!」
「ん、よろしく」
ひとまずこれで連絡は大丈夫かな。プラムが手すきで助かった。ダギルさん、喜んでくれると良いんだけど。
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「おい! 院長の奴はいるか!?」
「わわ、えっと……ダギルさん?」
「そうだよ見りゃ分かんだろ! 院長はどこだ?」
「えっと、今は多分カミラちゃんと向こうで点検を……」
「ありがとな!」
その日の店を閉めた後、嵐がやってきた。
「おい院長! 話は聞かせて貰った! マジなのかよ!?」
「ちょっ、え、えぇ……? ダギルさん?」
「見りゃ分かんだろ! どう見ても俺だ!」
「……ですね」
じゃなくて、勢いが凄過ぎて圧倒されてるんですよ。
「お前、またあの時の肉が?」
「そうなんですよ、確かお店でイベントするんでしたよね? なので良かったらと思いまして……」
「こんな嬉しい差し入れ他にあるかよ! ありがとな!」
バンバンと両肩を叩かれる。鍛えてるから痛くはないけど勢いが凄い。圧がね。
「まさかこんな事になるとは……こりゃ大忙しだ。もっと規模を上げよう!」
「えっ」
「店の前までテーブルを並べてよ! 食べれる台ならなんでも良いから布かけとけば大丈夫だろ! そうなるともっと食べて貰える。前は残っちまったけど、今度は使い切るぜ!!」
「えぇ……でもそれ……」
「そこでだ!」
パシーンと、両手を合わせて、頭を下げるダギルさん。
「頼む、手伝ってくれ!」
うん、そうくると思ったよ。チラッと、カミラと、その奥にいるプラムに目をやる。
プラムの目が……キラキラしてる!?
よし、引き受けよう。
「カミラも良いよな?」
「……タダ飯より、打ち上げ」
「だよな、あれめちゃくちゃ美味しかったからなぁ。よし、いっちょみんなで手伝いますか! レミリアにも伝えくれる?」
「……了解」
「助かる!!!」
こうして、ダギルさんのイベントを全面的にバックアップする事が決まった。もうあと数日しか無いからなぁ。準備急がないとね。