第100話 偶然は重なる
「いらっしゃいませ、順番にお待ちいただければ順次お声かけさせて頂きます!」
「お邪魔しますわ」
「クラリスさん! こんにちは!」
「御機嫌よう、レミリアさん。待たせて貰いますわね?」
「どうぞ!」
どうやらクラリスさんが来たのかな? 最近少し顔を見てなかったから忙しいのかなって心配してたんだけど。まぁ元気そうで何よりだよね。
待ってたらそのうち入って来てくれるし、慌てる事もない。順番を待とう。
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「失礼しますわ」
「お久しぶりです、クラリスさん」
「日を開けてしまって申し訳ありません、ちょっと立て込んでましたので」
「そうなんですか?」
「あら、巷の噂には疎いので?」
「え、えぇ……そうですね」
うっ、確かに自分の周りの事は気にしだしたけど、巷の状況までは把握してなかったな……。
「ここではまだ大した事はありませんが、コーラルカーンでは大騒ぎですのよ?」
「大騒ぎ? 何かあったのですか?」
「グランバイン王国にて、勇者が召喚されたとかなんとか」
「へぇ……勇者。お伽話ではなかったのですね」
勇者? うーん、あんな昔話みたいな眉唾ものの話を何で今頃? 確かに魔族側の動きは活発になってたから……成る程。その対抗策にって事か。またとんでもない所に手を出したものだなぁ。
「勇者が魔王を倒す、これは昔から伝わる只の物語。だと思っていたのですが、どうもそうでもないらしいのですわ」
「それでコーラルカーンが。あそこは軍事に秀でてますから、魔族排斥を進めるならいつか勇者もきますよね」
「そうなのです、なので私も一旦向こうに戻らざるを得なくて……大変でしたのよ?」
「まぁ、僕らには余り関係ありませんからね」
「そうですわね。本当に何もご存知なくて?」
「……えぇ、そうですね」
うーん、やっぱりもう少し気にした方が良いのかな……。まだ家族で手一杯だからなぁ。
「勇者は姉妹で、二人で召喚されたそうで」
「二人? そんな事もあるんですね」
「どうなるかは分かりませんが、どうも穏やかではありませんわね」
「今に始まった事でもありませんがね」
「そうですわね」
これは昔から言われてる事だ。世界のバランスで何とか人族はその領地を守れているけれど、魔族が本気で動けば間違いなくやられると。僕が産まれる前からそうだったんだから、今更どうこう言われてもピンと来ないよね。
「その上で、今日はお願いがあって来たのですわ」
「お願い?」
「また……肉を、貰ってしまいまして」
「えっ」
ま、まさかこの流れは……。
「こういう時はどうしても物が動くので、集まってしまいまして、もし宜しければ……」
「えっ、まさか……」
「貰って頂けませんか?」
「喜んで」
「ふふ、では日を改めますわね。順次送られてくるので日は選べますが……休診日にした方が?」
「助かります、出来れば朝一に頂けますか?」
「ではその様に、今日はこれで失礼しますわ」
「離しませんよ?」
「!!?」
いやーまさかこのタイミングで肉を……。これはすぐに連絡しなきゃね。ダギルさんに。