これが私の手に入れた歪んだ幸せ
私の好きな人は普通の家庭で普通の人生を送っている。私はそれとは違う。親同士の会話など私の食卓では起こることのない出来事を楽しそうに話す私の好きな人は苦手だ。今まで付き合ってきた人たちは自分たちの親ってこんなくだらない話をすると楽しげに語ってくる。私にはそれが苦痛で堪らない。絶対に実現できない現実を突き付けてくる。私の幸せは過去にしか存在せず、十何年も過去に縛られている。それを昔好きな人に打ち明けたことがあるすると「私と楽しい思い出を作ろう」と言った。私の幸せは過去にしか存在しない。私はそんな幸せを望んではいない。「ただ過去を踏みにじらないでくれ関わらないでくれ」とそう言いたかっただけだ。だが、彼女には理解されない。普通な幸せを望み普通に生きていきたかっただろうから。それを打ち明けてからの彼女の私に対する態度は変わっていった。私は怖かった。彼女と話すのが苦痛で苦痛でしかたない。だけど、彼女にはそれが理解できない。だから放置して事実上別れよう。簡単に自分が傷つくことなく関わらずに関係を終えることができる。これが私の手に入れた歪んだ幸せ。