表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/30

6 『変化ーへんげ』

シルフィーさんと一緒に街道を移動している。


俺とシルフィーさんはM1151 装甲ハンヴィーで移動しているので楽だけど。


団員達は馬に乗って2時間ぐらい、きつくないか?


「シルフィーさん、休憩しないの、2時間ほど走ってるよ?」


「もう、そんなにか、わかった休憩しよう」


街道の脇の川の畔で車を止めた。


シルフィーさんが降りて、団員達に休憩を告げてる。


俺もリリちゃんから貰った軽食と温かいお茶を飲む。


俺や団員達はちゃんとカバンにステンレス製のマグボトルと軽食が入ってる。


それ以外に保温ランチジャーやお菓子が入っている。


俺はリリちゃんやそのお母さん、団員達に細かくケアを行った。


何故かというと、ただ単にモテモテになりたいからだ。


マグボトルや保温ランチジャー、お菓子などは俺が変化させたものだ。


団員達がパクついてるのを見て、シルフィーさんが寂しそうに見ている。


どうやら持って来なかったのか、俺はここ数日団員の詰所に入り浸っていたからかシルフィーさんに渡すの忘れていた。


「シルフィーさん、俺もうワンセットあるから」


カバンを手にシルフィーさんに声を掛けると、彼女は喜んでこちらに来た。


「これどうぞ」


ともう1つのカバンを渡す。


「そ、颯太殿かたじけない」


そんなに喜ぶなよ、単なる予備だから。


ポツンと立ってるセバが俺を見るが、お前にはやらん。第一お前執事なんだからお嬢様の分お前が持って来いよ(怒)


「颯太殿、これはなんだ」


「ああ、それはチョコバーだ、甘いぞ」


お菓子といっても中はポテチや飴玉、スナックや駄菓子だ。


素材があれば変化出来た、後でカレーも作ろう、実は車の中には山ほどレトルト食品があるんだ。


軍事用のレーションとかね。


馬たちも川の水を飲んで元気になってる、休憩も終わったのでまた移動始めた。


▽  ▽  ▽  ▽


「颯太殿、ここだ」


シルフィーに言われて、車を止めた。


街道から外れた草原に所々林が有り、そこから100mほど先に森があった。


騎士団は車の近くで馬を降り、そこにある木に繋いだ。


「白薔薇の乙女騎士団、これから戦闘練習を始める、私とアル、残りはいつものように3人ずつ組んで戦うように、では始め!」


シルフィーが俺を見て。


「颯太殿、ここで留守番を頼む、セバスも頼むぞ」


「あいよー」


「了解です」


白薔薇の乙女騎士団全員が森に入って行った。


俺はみんなが行ってからタバコに火を付けた。


「颯太、それは」


「うん?ああタバコだ」


「それも変化ですか?」


「嗜好品だからな、雑草から変化させた」


「もうなんでもアリですな」


「いや、出来ない物は山ほどあるさ」


「出来ない?」


「例えば戦闘かな」


「・・・・・・」


「私は颯太に何かやってはいけない事をしたのでしょうか?」


「・・・どうかな」


「私はお嬢様の執事として動いた訳です、それがマズかったでしょうか?」


「いや、執事さんの行動は普通じゃないか」


「それでは・・・」


「でも、だからといって俺が納得するわけでもないだろう」


「・・・・・・」


「だからセバスチャンさんではなく、あんたはシルフィーさんの執事だな」


「なるほど、私は既に単なる執事なんですね」


「そうだな」


俺は淡々とタバコをけぶりながらのほほんとしている。


セバもすでに俺に声を掛けない。


時おり森から戦闘している音が聞こえていた。


▽  ▽  ▽  ▽


「アル、右から牽制してくれ」


「了解」


この森の中ではグレーウルフやワイルドベア、ゴブリンなどがいる。


低レベルのモンスターが多く、白薔薇の乙女騎士団の戦闘練習には全然問題がなかった。


シルフィーとアルは次々と屠っていく、他の団員も簡単に勝っている。


「団長、レベル差がありすぎです、練習にもなりません」


「そうだな、アル。ただミスリル製はどうだ?」


「軽いし、剣も簡単に切れます。颯太殿は凄いです」


アルが颯太殿を褒めているのはいいのだが、最近2人が一緒にしているのは納得出来ないとシルフィーは思っていた。


ただ単にアルが副団長であるため、変化する時に対応しているのだが、シルフィーが乙女になっているためか判断出来ていないだけだが。


その上アルは団員命の百合であった。


「ねええー、だんちょー、まだやるのー、もーつかれたー」


凄い巨乳の30歳前後の金髪碧眼のエロイお姉さんが団長に近づいて来た。


「クリス姉さん、勝手にこっち来て、ちゃんと戻りなさい」


「だってさー、よわすぎてーつまんないのー」


彼女は元伯爵夫人であった、通常は伯爵が亡くなってもそのままだが、勝手に実家に帰ったため扱いが困っている、ルーゲルダード公爵の第5王女。


つまり未亡人のシルフィーの姉であった。


団員達は次々と奥に入って行く、ほとんどの魔獣を一発で屠っていく。


戦闘して1時間ぐらいになったであろうか、上空から黒い影が見えて来た、1匹ではない複数だ。


「だ、団長、今のは?」


「マズいぞ、ワイバーンだ。多分颯太殿の方面だ、急いで戻るぞ!」


「はい」


マズい、間に合うか。


あちらには颯太殿とセバスしかいない、1匹ではともかく複数では対応出来まい。


シルフィー達は急いで走りだした。


▽  ▽  ▽  ▽


「颯太、逃げろ」


俺は直ぐにハンヴィーの中に戻った、目の前ではファンタジーというか10mほどの飛龍、ワイバーンとセバが戦闘している、その上4匹もいる。


セバは防御一辺倒で守っているが、このままでは殺されるのがわかる。


俺はセバに補助魔法を掛けた。


身体強化、防御強化、攻撃強化。


それでも無理だ、セバが負ければ次は俺だ。


急いでハンヴィーに付いてあるブローニングM2重機関銃で飛んでいるワイバーンに向いて打ち出す、凄い威力だ、次々と徹甲弾が当たっていき3匹はすぐに倒れたが、残りの1匹はセバと戦闘しているため機関銃を使えない。


「執事、逃げろ。それなら機関銃で倒せる」


俺はセバに声を掛けるが動かない、もしかするともう移動出来ないのか。


「私のまま打ちなさい、それで終わりです。颯太殿色々すいませんでした」


死ぬつもりか、あのクソジジイ、最初からそうするつもりか!!!!


俺は頭の中に真っ赤な炎の様な怒りが入り、殺したくなった。


「クソジジイ、勝手に死ぬなあああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」


俺はハンヴィーから出ていく、すると次々とワイバーンが飛んできていくのが見えた。


俺が一番好きだった映画の主人公、二ヒルで女好きで酒好きででもみんなに愛された俺のヒーロー。


自分の手にその愛剣よ来い、戦ってやる、セバを助けてから文句を言うんだ俺。


何回も見た、その映画を。だから愛剣よ来るんだ俺は『柳生 十兵衞三厳』愛剣三池典太光世よ!!!


その瞬間、俺が光り輝く、手に刀が現れた。


俺はそのままクソジジイと戦っているワイバーンを一刀両断に切り捨てる。次々とワイバーンが向かってくるが、全部叩き斬る。


まだまだワイバーンが増えていく。


「クソジジイ、車の中に入ってろ」


「私ですか」


「そうだ、クソジジイ、後で説教だ」


「は、はいーー」


「おら、こい」


ワイバーンを挑発しては一刀両断。


次々と叩き斬る。


30分ほどになるとワイバーンはすべてが骸となっていた。


「颯太殿、大丈夫かーー」


ようやくシルフィーさん達が到着だ。


「颯太殿、颯太殿」


「颯太殿?」


「ん、俺だよ、これは変化させた愛剣三池典太光世だ」


「いや、なぜ隻眼?それに顔が違う・・・」


「何だと、か、鏡はあるか」


「は、はい」


おどおどと団員が鏡を渡す。


俺が自分を見ると、『柳生 十兵衞三厳』に変化へんげしていた。


俺のスキルはへんかとへんげの2種類だったのか。


俺が呆然としているとシルフィーだけが近寄ってきた。


「私は前の颯太殿でも今の颯太殿でも変わらない、好きよ」


「え、好き?」


俺は改めてシルフィーの顔を見た、確かに隻眼だな、見づらい。


その瞬間元の俺に戻ったのがわかった、だって見やすくなったんだから。


しかし、俺の右手には愛剣三池典太光世がそのままだ、それに俺は真っ赤だ、ワイバーンの返り血であろう。


「このワイバーンどうするの」


俺が聞くと、セバが出て来た。


「そうですね、1匹分は持ち帰り、残りは業者に売りましょう、この森に近い業者が知っております」


「そうか、セバス頼む」


「わかりました、では馬を借りて私は業者に行ってきます」


「うん」


「颯太殿」


「なんだ」


「私は今後クソジジイで結構です」


「わかったよ、クソジジイ」


「ははは、それでは」


セバ楽し気に出ていく。


「颯太殿、クソジジイって」


「俺とセバの話だ」


「でも、私の執事がクソジジイだと困るんだが」


「いいんじゃないか、俺を好きなシルフィーさん」


「あ、え、えーと、ダメかな?」


「いや、構わんよ」


「そ、そうね、じゃあ帰ろうか」


「そうだな帰ろう」


俺達はワイバーン1匹をハンヴィーに載せて、シルフィーの私邸に帰って行った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ