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4 庭師から錬金術師?へ

「颯太、今日から錬金術師をやってもらいます」


「嫌です、俺はスン爺と庭師を続けます」


まったく、セバスチャンさんはいい人だったはずだったのに。


俺だって、いきなり変えられても困る。


「ではこの屋敷から出て行ってもらいます」


あれ?そうなの?


「わかりました」


そうそう、素直に錬金術師になってください、お嬢様の為です。


執事のセバスチャンは颯太に無理矢理変えるのも可哀想なのだが、冷たく対応した。


「では、お世話になりました」


あれ?本気で辞める気か?


颯太がスタスタと出ていく。


「そ、颯太、どこに行くきですか?」


「はあ、だってクビでしょ。サッサと出ていき帝都でなんか探します」


「探せるんですか?」


「いや、ないですよ」


「だったら錬金術師をやってください」


「でも、そんなスキルないですし」


「違います、颯太のスキル『変化』を使ってもらえれば良いのです」


「だったらそう言って下さい、遠回しにクビと言われたと思いました」


俺は素直に答えた。


ダメだこの子は、いい歳をして中身は5歳児のようだ。


セバスチャンはまた颯太の扱いを調整する必要を考える事にした。


「でもスン爺だけだと庭師キツイんだよなあー」


「大丈夫です、颯太がスキルで簡単な作業にしたじゃないですか」


「あ、そうですね」


「今後は、この屋敷の中もスキルで変えましょう」


「なるほど、それが錬金術師ですか」


「そうです、颯太なら出来ます」


「ええー、そうですかー。わかりましたやります」


相変わらずのほほんと喜んでる颯太をみて、5歳児レベルの扱いに自信を持ったセバスチャンであった。


▽  ▽  ▽  ▽


あのセバスは言われれば俺が簡単に錬金術師をやるとでも思っていたたんだろう。


俺だってそこまでバカじゃない、今回は結構ムカついた。


でも、俺のスキルを見てクビにはなれないと思った。


ワザと出ていくフリをしたら、直ぐに対応していたザマアミロ、セバス。


今まではセバスチャンさんだが、これからはセバス、いやセバで充分だ。


俺はまず、俺専用の部屋のドアをパスワード付きの金属製電子ドアに変化させた。


次に窓を強化防弾ガラスに床、天井、壁も強化した金属に変化させる。


基本的には元となる物を自分の想像力で変化させる事が出来た、前の世界では電気が必要なのだが、この世界には電気がない。


それなのに芝刈り機やチェーンソーが使えたのか。


よくよく考えればこの世界では魔力がある、その魔力を使えば出来たのだ。


想像力って素晴らしいな、発動機や電気バッテリーが変化させた物の中に魔力のバッテリーに変化していた。


多分、100円ライターのガスも魔力に変化したんだろう。


俺はその事を理解してから次々と変化させていた、なかば調子にのったように。


メイドさんに聞いて、洗濯するタライを見つけ全自動洗濯機に変化させる、石鹸をいい匂いになる中性洗剤のボトルを大量に、干すのは単なる紐だったのでこれを乾燥機に変化させた。


次がトイレだ、最新のオート式のウォシュレットに変化、大事だよなこーゆーの。


当然下水道は難しいので合併処理浄化槽に変化させた。


水は井戸のため水道に変化させた。水を汲む桶を電動式のポンプに変化、水を溜める水窯を塩ビ管とステンレス製の貯水槽に変化させ井戸から建物まで水道を設置し、蛇口やトイレで使えるようにした。


次に厨房、火関係は全部薪だった、だから薪を変化させようとしたが無理だった。


最終的に竈を変化させた、電子レンジ、オーブントースター、オーブンレンジ、 IHクッキングヒーター、給湯器に変化させた。


だいたい変化させたのでメイドさんに執事のセバを呼んでもらった。


「執事さん、だいたい終わったよ」


「おー、颯太、どんな感じでしょうか」


俺は変化させた物を教える。


「ふんふん、なるほど、凄い状況ですね、ではお嬢様に報告しましょう」


「ええ、お願いします、ではまた変化したい物がある時は呼んでください」


「ん?颯太はお嬢様への報告に来ないんですか」


「ええ、執事さんが報告すれば問題ないと思いますよー」


「・・・そうですね、わかりました」


「ではお願いします」


俺はすたこらさっさーと部屋に戻ったのであった。


▽  ▽  ▽  ▽


セバスチャンはお嬢様に報告するために歩いていた。


先ほどの颯太の態度に違和感があった。


何故だろう、のほほんとしているのは変わらない。


変化した物は今まで見た事もない物ばかりだ。


確かに錬金術師の仕事を行っている。結果は一流だろう。


トントン


「お嬢様、颯太の作業についてご報告に来ました」


「そうか、入ってくれ」


かちゃ


「失礼いたしまします」


「うむ、ん?颯太殿は?」


「報告は私だけで構わないと思いまして」


「そ、そうか」


お嬢様はどう見てもガッカリしている。


「お嬢様、今回颯太が変化させた物は次の通りです」


セバスチャンが滔々と報告するが、お嬢様は上の空だ。


「ということで、充分以上の変化と思われます」


「・・・・・・・」


「お嬢様、していかがいたしましょう」


「・・・はあ、会いたい」


「どなたとですか」


「颯太殿」


「お嬢様?」


「セバス、颯太殿を呼んで」


▽  ▽  ▽  ▽


「お嬢様、何でしょう」


いきなりセバに呼ばわれて、俺はシルフィーの団長室にいた。


「ソータ殿、何でお嬢様と呼ぶ。私はシルフィーで構わないと言ったろう」


「いや、従者から庭師になった時に、そう言われたんだが」


シルキーはセバスを睨んでいる。


「ソータ殿、私はシルフィーと呼んで欲しい」


「わかりました、シルフィーさん」


バーカ、セバ後で怒られろ。


「それで、何でしょうか?他にも変化したい物がありましたか」


「あ、会い・・・」


「あい?」


「えーと、あれだ、そ、そうだな、団員の武具や防具だ」


「シルフィーさん、それは、俺がしっている物にしか変化できませんよ」


「ダメなのか?」


「そうですね、例えば1つだけ高級というか高品質な防具があったとします」


「うむ」


「それ以外は碌な防具が10個あります」


「そ、それで」


「その高品質な防具を元に残りの碌な防具が10個を変化させて11個の高品質な防具に変化する事は可能だと思いますよ」


「「え?」」


シルフィーとセバは驚いている。


「出来るのか?」


「ええ、多分」


シルフィーはじっと考えている。


「セバス、私専用の防具とお父様の魔剣があったな」


「お嬢様、公爵様の魔剣はお借り出来ません」


「ダメか」


「はい」


「では私専用の防具を使って団員全員の防具に変化してくれ」


「いーですよー」


「じゃあ、こっちだ」


俺はシルフィーとセバに連れられて行った。


▽  ▽  ▽  ▽


「おい、みんないるか」


「だ、団長」


シルフィーの私邸の右側に白薔薇の乙女騎士団の建物があった。


住んでいる団員は全員で7人か、前に見た時は5人だったな。


「アル、全員いるな。私専用の防具と武具、それと全員の物をここに出してくれ」


「団長、それはいったい・・」


「大至急だ、早く」


「「「「「「「了解です」」」」」」」


そこは騎士団の休憩室兼食堂なんだろう、向かいは厨房なんだろうな。


30歳ぐらいのお姉さんと10歳ぐらいの少女がいる、似ているから親子か。


「シルフィーさん、急がなくてもいいよ、俺、厨房行ってくる」


「え、ソータ殿、なにを・・」


俺はぼんやりと周りを見ながら中に入っていく。


あー、私邸とそんなに変わらないな。


厨房にある窯をどんどん変化させていく。


電子レンジ、オーブントースター、オーブンレンジ、 IHクッキングヒーター、給湯器。


「えっと、料理してるのは2人かな」


「は、はい」


「じゃあ、教えるから使ってね」


全部、教えた、意外と少女の方がわかるの早いや。


「もう、薪いらないから。わかったかな?」


厨房にいる2人は頷いている。


「お嬢ちゃん、この中にトイレとか洗濯する場所ある?」


「あります、でも」


「何かな?」


「あたし、おじょうちゃんじゃなくて、リリです」


「ああ、ゴメンな、リリちゃん教えてくれる?」


「はい、こっちなの」


俺はリリに案内してもらった。


「おい、セバス、あれを見たか」


「はい、お嬢様」


「あれがソータ殿のスキルか?」


「そうですね」


「私は初めて見た、あっという間だぞ、錬金術師以上だな」


「はい」


「セバスよ、颯太殿に私をお嬢様と呼ぶように言ったな」


「はい、申し訳ありません」


「颯太殿が私の私邸から居なくならないようにするんだぞ」


「了解いたします」


リリに教えてもらい変化させてから、やり方を教えた。


きゃああああああーーーーー


トイレだけは驚いていたな、オート式のウォシュレットだもんな。


終わって休憩室兼食堂に戻るとみんなが待っていた。


「シルフィーさん、じゃあどれからやろうか?」


「そうだな、アル持ってこい」


「は」


赤毛のお姉ちゃんか。


「こちらが団長専用の防具です」


手に持って確認する。


「シルフィーさん、これ軽いね?」


「全部ミスリル製だ」


「ふーん、これがミスリル製なんだ」


「でも硬いんでしょ」


「そうだな、それにわざわざ魔法も掛かってる」


「その魔法は?」


「身体強化、魔法防御、攻撃防御」


「結構掛かってるね、でこっちアルさんのは?」


「私のは普通の鉄製の防具です、魔法も掛かってないです」


「あ、そうなの。じゃあ始めるよ」


「ソータ殿、それでいいのか?」


「うん、聞きたいことは聞いたから、あ、魔法っていつまで使えるの?」


「これは、それほど掛かってないと思う、5年ぐらいかな」


「うん、了解」


俺は初めて見て、能力を聞いた。


それを元に片方の防具を変化させ始めた。


あーちょっと重いな、時間もかかりそうだ、それに魔法かな。


よし、光ってきた、もうちょっと、もうちょっと、よし、OKだ。


見ていたみんなが光り輝くのに気付いていた。


そして治まる、変化、完了。


「シルフィーさん、出来たよ」


俺がシルフィーさんに渡す。


「そ、ソータ殿、本当に同じ物に見える」


「違うよ」


「え?」


「多分10年分くらい魔法掛かってるよ」


「え?」


「5年分追加しといた」


「そんな、やってもらう時は物凄い金額だぞ」


「あ、そうなの?聞いときゃ良かったよ」


「だ、団長、これは」


「アンの防具がミスリル製に変化したんだ、それも魔法も掛かってる」


「わ、私はそれほどの金は持っておりません」


アンさんは対応出来ない為か俺を見て困っている。


「あー、いいよ、お金は。体で返して」


「そ、ソータ殿?」


驚きながら俺に対して殺気が。


「じょ、冗談だよ」


「では」


「俺はシルフィーさんの部下なんでしょ、賃金聞いてないけどね」


「それでは団長」


「構わん、後は私が対応する」


「よろしいのですか」


「ああ」


「それよりシルフィーさん」


「なんだ、ソータ殿」


「ゴメン、今日はもう無理だわ、魔力使いすぎたのよ」


「だ、大丈夫か?」


「多分、このレベルだと1日に2個ぐらいかな」


「わかった、みんな、他は後日でかまわんな」


「「「「「「はい、団長」」」」」」」


「悪いね、もう眠く・・・て・・」


「ソータ殿、ソータ殿」


俺は寝てしまった、白薔薇の乙女騎士団達がいっぱいでいい匂いではなかったのが不思議だった。

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