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序文
第一章 ヴァンの一生
その男は、英雄と呼ばれた。
邪神に創られ人々を襲い、喰らう魔獣を狩り、邪神に心を囚われた者たちを屠り、愛の女神の民達を救った。
しかし彼とて、常に英雄であった訳ではない。
一人の人間として、迷い、悩み、戦ってきたのである。
まずは、その男が如何にして英雄となったかを語っていこう。
彼の人生を辿れば、この物語の序章は完結する。
何故ならば、彼の存在が数多の人々の人生に変遷を与え、時に狂わせてきたのだから。
彼の名は、ヴァン=ヘイデン。
女神が民を守る為、特別な祝福を受けた人間、魔人。
その魔人の中でも、さらに特別な祝福を受けて、彼はこの世に生を受けた。
生まれながらにして、彼は英雄になる運命だったのだ。