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KYOU:2011  作者: 梛
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2.あり得ない再会

「ん……」



目を覚ますと視界いっぱいに、見慣れた白が広がっていた。

――まだ生きている。朝このことを最初に考えるのは、もう日課になってしまった。

生きていたいと思う一方で、早くハルのところへ逝ってしまいたいと思うのだから、私の頭の中は矛盾だらけだ。



上体を起こして棚に置いてある時計に目をやる。4月1日、AM7:00。 あぁ、今日はエイプリルフールなのか。ハルはこういった何気ない行事が好きだったから、きっと空の上のそのまた上の、セレストブルーで溢れているところで、私の知らない誰かに嘘をついている頃だろう。



「ハル――」


呼んだって返事が帰ってくる訳ではないのに、口が勝手にその名前を呟いていた。



「どうしたの。キョウちゃん」



ついに私の耳は可笑しくなってしまったらしい。聞こえる筈なんてないのに、ハルの声が聞こえてしまうだなんて。起きたときは今日も生きているなんて思ったけれど、


「幻聴が聞こえるだなんて、案外死期が近いのかもな――」


「幻聴?何のことを言ってるの、キョウちゃん」


「えっ……?」



声がした方を振り向くと、そこには少し大人っぽくなったハルがいた――。



え、ちょ、は? どういうこと?!

え、ハルって10年前に死んだはず?だよね……?

じゃあここにいるハルのそっくりさんって一体――。



「やだなあー、キョウちゃん。ちょっと時間が経って、ちょっと大きくなったからって忘れちゃったの?」



えっ……?



「ほんとうに、ハル、なの……?」


「うん、そうだよ。何なら触ってみてもいいよ」



ハルが差し出してきた手をおそるおそる触る。昔 握っていた手は小さくてあたたかくて柔らかかったけれど、今では私の手をすっぽり包めるほど大きく、少し冷たい。


「ハルは幽霊なの……?」


「うーん、まあそういうことになるのかな? こうして触れたりできるから違うのかも知れないけど」



自分でもよくわかんないや、と続け昔のようにへらっと笑った。



「そっか……」


「えぇ、何その微妙な反応~。キョウちゃんは僕に会えて嬉しくないの?」


「いや、嬉しいけど 何がなんだかさっぱりで、混乱しちゃって……」



突然の出来事にいっぱいいっぱいで、俯きながらそう返す。



……?



「ハル……?」



何も言わないハルを不思議に思い、おそるおそる顔をあげると、にやにやしながら こちらを見ているハルと目が合った。



「?!ちょっ、なんでそんなに にやにやしてるのよ……!」


「だって いつもはツンツンのキョウちゃんから『ハルが居なくなって寂しかったから、また会えて嬉しい!』なんて言葉が聞けたら誰だってこうなるよ~」


「そこまでは言ってないでしょ?!!」



このままだとハルのペースに持っていかれそうだ…。話題、話題……。あ、そうだ!



「ところでハルはなんで ここにいるの?」



ずっと抱いていた疑問をハルにぶつける。



「あ、そうそう!僕キョウちゃんと1日と2日を一緒に過ごしたくて来たんだった!」


「えっ、そんなことなの……?」


「そんなこととは何さ!僕が神様を必死で脅s…お願いして来させてもらったのに!」



今コイツ"脅して"って言いかけてなかったか……?まぁ、いいか。面倒臭いから触れないでおこう……。



「それで、ハルはその2日間で何がしたくて来たの?」


「エイプリルフールと トゥエイプリルフールをキョウちゃんとしたくて……」



やっぱりか。


そして顔を赤らめながら言うな。気持ちが悪い。


区切りが微妙ですが、一旦ここで。

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