2015/10/25
古びたアパート。
一階部分が駐車場になっていて、
今にも崩れそうな縦に長い長方形のコンクリートの塊。
その中に俺は一人で立っている。あいつを待っている。
止まっているガラクタに似た車たちを
片っ端から壊していきたい衝動に駆られるが、ぐっと我慢して待つ。
しばらくして、あいつが来る。
頑張って貯めた小銭を渡し、いつもよりちょっとお高い錠剤を買う。
急いで部屋に戻り、乳鉢もって錠を砕く。
粉を机に広げて縦長に並べて、ストローで鼻から吸う。
焦らないように、鼻呼吸で粉を飛ばさないように、ゆっくり。
喉奥に落ちないように、粘膜になすりつけるように。
お姉さんから聞いた通りにやる。
次の瞬間、俺は猫になった。
ボロいアパートを駆け回って、全部の階の奴らにかわいがられて。
最終的に、俺はどこかの部屋の奴。
ちっさいガキと、その母親らしい奴に撫でられて眠る。