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sinner  作者: 月島裕
9/16

恋色2

斎藤が帰った後、後藤は調書を読み返していた

シュミレーター終了まで二時間

見落としはないか隅々まで読み返した


シュミレーター終了


シュミレーター室の中を監視カメラで確認後シュミレーター室に行った

中からはうめき声が聞こえてくる

「部屋を移動する!拘束ベルトを解除後、後ろを向き両手を後ろに回し両足を開きなさい!」

藍川は震えながら小さく頷いた

拘束ベルトを外し手錠をかけ移動

話しに聞いていたような感じとは違い静かな女だと後藤は思った

調書室に移動し、椅子に固定

「被害者の痛みと苦痛を体験してもらった訳だが今、思う事はあるか?」

「……」

「話す事がないならこれで終了する。」

「あっ…」

「何か言いたい事があるのか?」

「ひどい事をしました…。でも…男は楽ですよね…子供出来ても関係ないんだし…一人で育てていくの大変だった…結婚しようって言ってた男も…帰って来なくなって…子供は泣くし…イライラして…投げつけたら…死んじゃった…また…投げたら…次は死ななかったから…お湯かけたら…泣きやまなくて…やかんで殴ったら死んだ…」

「子供は人間だ。そんな事があったからとしても殺していいわけないだろ。」

「何もかも嫌になったんです…。皆居なくなったの気付いて泣き続けるから首を絞めてみたら、すぐ死んじゃった……。その後、お腹痛くなって赤ちゃん出てきたから…口塞いだら死んじゃった…赤ちゃん居たの知らなかったんだ…。やっと自由になったと思ったのに赤ちゃん出来てたなんて…でも死んじゃったから自由だと思ってたら…警察来て逮捕されちゃうし…本当、ついてない…」

黙って聞いていた後藤が怒りを露わにして掴みかかった

「人の命をなんだと思ってるんだ!産む事を決めたのはお前だろ!人の命を弄ぶ理由になる訳ない!!」

その言葉に藍川は泣き出した

「だって…降ろすお金がなかったんだもん…。男には逃げられるし…。あたしが悪いんじゃない…」

「お前が悪いに決まってるだろ!施設に預ける事も出来たはずだよな!何故しなかった?!悲劇のヒロイン気取りは止めろ!お前の罪だ!受け止めろ!」

「うぅ…うぅ…」

「シュミレーター室に移動する。立ちなさい。」

「いや…嫌です…」

抵抗する藍川の頭を掴みシュミレーター室に連れて行き明日分のシュミレーターを開始した

「ぎゃー…」

藍川は恐怖のあまり失神したが、すぐに目を覚ますがまた失神を繰り返していた


その様子を隣の部屋で見ていた後藤は室長に連絡してシュミレーター室まで来てもらった

「斎藤はどうしたんだ?」

「佐々木の事で疲れていたようでしたので早めに帰ってもらいました。」

「そうか…。それで話しとはなんだ?!」

「藍川なんですが…。とりあえずこの映像を見て下さい。」

調書室での映像を見せた

「そうか……。お前はどうしたい?」

「今日二回目のシュミレーターです。これが終わってみないとなんとも言えません。」

「そうか。後藤に一任する。」

「ありがとうございます!斎藤さんにも連絡してみます。」

「頼んだぞ!」

「はい!」


室長が退室後、斎藤に連絡をいれた

後藤が思った事と被疑者の態度と言動も細かく伝え斎藤の判断を待った

電話では無理だと斎藤が判断し、シュミレーター室に来てもらう事となった


斎藤が到着するまで被疑者を監視カメラで見つめていた

「なんで…人は……」

ポッリと後藤が呟いた


斎藤が到着

「斎藤さん帰って頂いたのに申し訳ありません。」

「それはいいんだが、なんで急に心境が変わったんだ?!お前が死刑は反対だって言ったんだろ?」

「あれは…母親なんかじゃない…。調書を取ってたんです…子供が邪魔だからと何度も何度も…」

「後藤!落ち着け!!」

「すみません…感情的になってしまってました。でも俺は藍川を人だと思えません。死刑でいいと判断しました。なので斎藤さんに連絡しました。」

「……そうか。それじゃ死刑執行だ!」

その言葉に後藤も頷き死刑執行

被害者が受けた痛みをそのまま味わってもらう

第一、頭蓋骨骨折

第二、頭蓋骨骨折、熱傷

第三、絞殺

第四、窒息死

すべてが執行された


監視カメラで全てを見届けた2人は動かなくなったのを確認後シュミレーター室へと移動した

扉を開くと異臭が部屋中に広がっていた

「これは酷い臭いですね…係員を呼びましょうか?」

「いや、その前に遺体を確認する。生きていらた厄介だからな。」

「はい…」

顔に覆われたタオルを取ると目と口が半開きになって息絶えた藍川がいた

「確認完了。係員を呼んで後始末をしてもらえ。遺体はこのまま火葬場へと移動させる。」

「はい。」


火葬場へと運ばれる遺体を見送り2人はその足で室長室へと向かった

「失礼します。被疑者、藍川 里美死刑執行、致しました。」

「そうか、遺体は?」

「今、火葬場へと移動させています。」

「そうか…それでは遺骨は無縁仏に納めてくれ。」

「えっ…遺骨はご家族に引き渡しではなかったのですか?」

「引き取り拒否だそうだ…。自分の子供だと思いたくないらしいし、墓にも入れたくないとの事だ。」

「そうでしたか…」

「ご苦労だったな。続けて担当についたから疲れただろう。2日間休暇を与える、ゆっくり休んでくれ!そのあと結婚詐欺の事件を担当してもらう以上だ」

「はい!失礼致します。」

後藤が退室後、斎藤が室長に事件のあらましを説明し退室していった



「やはり強すぎる力は人を変えてしまうのかもしれないな……」

室長がポッリと呟いた



その言葉を廊下で斎藤が聞いていた




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