怒りと絶望
扉は自動ドアになっていて斎藤は分からずに扉の前に行き開いた瞬間にビックリしている様子だった
「あっ!自動ドアなんだな……」
「上とは違う作りになってるんだ。逃げられたら困るからな……」
「そうか…」
「あそこの中に上山は眠っているんだ」
「眠ってる?」
「冷却保存に成功してな。解凍も一分ぐらいだ。今から用意するから待ってろ」
斎藤は半信半疑で話しを聞いていた
変に身体が冷たくなるのが分かった
震えが止まらなくなっていた
怒り、憎しみ、悲しみ、喜び、すべてが入り乱れていた
「斎藤?大丈夫か?!」
「あぁ…興奮してるだけだ……殺したい男が生きてた…こんな嬉しい事があるか」
「あっほら解凍し始めた。動き始めたぞ。」
斎藤は上山が入っている箱に食らいついた
斎藤が高らかに笑い始めた
「あはははは!早く出てこい!くそ野郎!」
解凍が終了し箱の扉がゆっくり開いた
男はゆっくり出てきた
「…………」
「話すには少し時間がかかるんだ。」
「話しなんかないから大丈夫だ」
そう言って男に歩みより右手を大きく振り下ろした
《ドンっ》
上山は床に倒れ込んだ
仰向けにさせ斎藤が殴りかかる
「くそ野郎!お前のせいで娘は未だに目覚めないんだぞ!なんで、あの子だったんだ!なんで、あんな酷い事が出来るんだ!殺してやる!」
無抵抗の上山に罵声を浴びせながら殴り続けていた
神崎はただ見つめているだけだった
心なしか微笑んでいるようにも見えた
「……す……」
上山が何かを発した
胸ぐらを掴み顔の近くまで持っていった
「なんか、言いたいのか?!」
「…す…み…ま…せ…ん」
「謝っても娘が治る訳ないだろ?!」
上山の目から涙が流れ落ちた
殴られたせいもあり顔が腫れ上がりうまく話せないようだった
斎藤は、その姿を見て上山を突き飛ばした
「あ″ーあ″ー!」
斎藤は叫び声を上げながら頭をかきむしり始めた
上山は床に這いつくばりながらさっきまで入っていた箱の方へと進んでいた
気付いた斎藤は上山の足を思いっきり踏みつけた
《ゴキッ》
「ぎゃー……」
斎藤は何度も何度もふみつけた
「やっと見つけたんだ…この手でいたぶって殺してやる……」
《ガンっ》
斎藤の目が血走っていた
その時、神崎が静かに話し始めた
「斎藤、コイツを殺せばお前の怒りは収まるのか?」
「………」
斎藤は何か考えているようで答えなかった
「俺は収まらないと思うぞ…」
「分かっている…俺だって分かってるんだ…でもコイツを前にして正気にはなれない……」
「そうか…」
そう言って神崎が上山に銃を向けた
「何する気だ!」
《バンっバンっバンっバンっバンっ》
頭、腹、腕、足、口と次々撃った
「……」
斎藤は言葉を失い上山を見つめていた
「殴ってスッキリしたろ?お前に可笑しくなられたら困るからな。ほら!死んだぞ。」
「なんで……なんで…」
「コイツを殺した段階でお前の精神は持たないと決断したからだ。」
「なんで…俺の獲物に手を出した!」
斎藤は神崎の胸ぐらを掴み叫んだ
神崎の言葉は斎藤には届いていないようだった
「なんでだよ……」
床に倒れ込み斎藤は泣き叫んだ
床を殴り続け赤く染まっていった
「斎藤…お前も、もうダメなのか?」
斎藤は手を止め神崎を睨みつける
「ダメってなんだよ…」
「やっぱり斎藤だな。悪かったよ手を出してしまって。次にコントロール室に行こう。そろそろ佐々木を横にさせてやりたいからな。」
斎藤はなんとか自我を保っていた
佐々木の話しをされ頷き神崎の後ろについて行った
さっきまでとは違い一方的に神崎が部屋の説明をしながらコントロール室に向かった
斎藤は何かを考えているようでボーッとしていた




