スターを目指します
主人公は馬ですが、少女として脳内変換してください
サイドBは人の視点から書いています
ワンセットです(二話に分かれることもあるかもしれませんので)
競馬関係者ではないので設定等は大雑把です
出てくる名前は一緒だとしても偶然です!
今日が私のデビュー
さっきから緊張して落ち着かない
じっとしていることができなくて、つい小走りになってしまう
そうしたら薫くんが優しく肩を叩いて声をかけてくれた
「大丈夫。怖くない。俺が一緒にいる。」
その優しい声で少し落ち着いたと思ったら、ライバルの黒髪の子・・・名前なんて言ってたっけ?
その子が馬鹿にしたように鼻で笑う
女の子が鼻で笑うなんてはしたない
わ~んという歓声も聞こえる。
少し落ち着いたのにあの歓声でまた緊張してきた
う~んおしっこしたくなってきたかも・・・でもいましたら薫くんに呆れられてしまう
あ、ゲートインが始まった
速く走りたい
そうすればこのそわそわした感じから抜け出せる
「よしよし。落ち着いて。きっと俺らは一番先にゴールできる。」
そう一番先を走るんだ
牧場の時みたいに
でも、今日は薫くんと一緒に走る
【side B】
今日がデビュー戦
本当に綺麗な子だと思う
桜色の肌に白い毛
青い瞳
少し華奢だけど窮屈なところがひとつもなくてすっきりとしたプロポーション
デビュー前から『奇跡』とか『女神降臨』とか話題になっている
今日がデビュー戦というのにもうファンが、応援しに来ている
協会ではブロマイドをつくろうかという話が出ているくらいだ
だが、勝たなくてはその人気は一過性のものになり、ただの色物に終わってしまう
この子の走る姿と速さは同世代の子の上を行くと思っている
この初戦は絶対に物にしなければ
俺の意識が伝わったのか緊張して入れ込んでいるようだ
気合が乗りすぎると怪我の元だ
俺は首筋を軽く撫でた
「大丈夫。怖くないよ。俺が一緒にいる。」
落ち着けとポンポンと叩く
ちゃかちゃかしていたのが落ち着く
この子は頭も良い
こういう子はこちらの言う事を素直に聞くので乗りやすい
「そいつか?話題の白馬は。やっぱり綺麗だな。走れるのか?」
先輩騎手が声をかけてくる
ジャブだ
「見ててくださいよ。今日のウィナーはこいつですよ。」
「俺の馬の尻を見てるんだな。コイツも結構走るぜ。」
「勝負ですね。」
「まあな。」
笑い合う
仲はいいので冗談交じりだ
ゲートインが近いのを感じ取ったかまたうるさくなってきた
音を拾っているのか?
メンコをさせたほうがいいのかもしれないな
白だからどのメンコも映えるだろうが、真っ白が“ウリ”だと場主が首を縦に振らないかもしれない
ゲートインだ
「よしよし。落ち着いて。きっと俺らは一番先にゴールできる。」
自分にも言い聞かせるように声に出す
東京競馬場 第五レース 芝1600 牝馬限定戦 晴れ 芝状態 良
12頭立て第三ゲート 2番人気
《メンコ》
覆面です。耳までかぶせるので音に敏感な子にさせます。走る前に取る時もあります。
もしわからない語句がありましたら言ってくださいませ
また本当の業界の方がおりましたらいろいろ聞かせてくださいませ