表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/67

調査報告

タイトル通り、おまけです。

一応、奴隷監視委員会がどんな仕事をしているかを書きました。

ちょっと、独特な書き方になりますので、混乱されたら、申し訳ありません。


私の名前はグラリス・アレイシア


奴隷監視委員会、第十一保安部隊所属。


大隊長殿の直々の命令により、とある任務を遂行する為、現時刻をもって行動を開始する。


今回は対象者を三日間監視し内容をここに書文として、記録に残すことである。


早速、書くとする。





一日目


対象者が奴隷として所属するのは、キンブレイト家である。


朝、八時頃、対象者の主人である、ヨハンネ殿は奴隷である対象者により、担がれた状態で屋敷から出て来た。


この時、私はヨハンネ殿が殺されたと感じ、直ちに、報告するつもりであったが、よく見ると、ヨハンネ殿は生きており、静かにして抵抗をしなていない様だった。


その後、中庭に行き、対象者は主人であるはずのヨハンネ殿を物の様に放り投げた。


様子をしばらく、うかがった所、朝の剣術稽古をし始めた。


が、教える側は主人ではなく、奴隷である対象者だった。


この不思議な光景に、私は浅はかにも、身を乗り出してしまい、思わず、音をたててしまったのである。


通常、この距離とこの小さな音であれば、気がつかないはずなのだが、対象者は即座にこれに反応した。


「ん?」


「どうしたの?」とヨハンネはミネルヴァに聞いた。


「……あそこに誰かがいます」とグラリスの方を向き、指差した。


まるで、目を光らせる狼のように見えた。


私は急ぎ、臨機応変に動物の真似をした。


「ワン!ワン!」


今思えば、恥ずかしいかぎりだ。


「なーんだ。犬だったみたいだね」とヨハンネ殿は私のモノマネに騙されたようだ。


「……そうみたいですね」と後味悪い様な顔をした。


(間一髪。どうやらごまかせたようだ)


奴隷監視委員に成ってから、こんな緊迫した場面に直面したのは久々だった。






一日目の昼十二時


対象者とその主人は庭のテーブルに移動し、ヨハンネ殿は椅子に座り、おもむろに本を読み出した。


対象者については、主人の背後に立ち、ヨハンネ殿の姿をずっと眺めている。


この時、私は、ヨハンネ殿をどう殺そうかを考えているのではないかと思ってしまったが、本が読み終わるまで、何もなかった。


どうやら、主人が本を読み終わるのを待っていた様である。


ここで、忠誠心及び勤めるべき任務を全うしているようである。


その後、対象者はメイド服に着替え、キンブレイト邸の隅々まで、掃除した。


特に力が入っているのが、ヨハンネ殿の寝室である。


さすがに中までは確認できない。






一日目の夜


食事の時、対象者はヨハンネ殿の背後に立ち、食事が終わるのをずっと待っている。


この時から、対象者となぜか、目が合う様な気がするが……


(まさか、私の存在がばれているのか?!)


(いや、待て待て)


(見よ。この完璧なカモフラージュを)


グラリスは自分に言い聞かせるように言うと、再度自分の服装を確認した。


彼女は落ち葉を集めて作ったマントに覆いかぶり、両手には小枝を持っていた。


その後、就寝の時、対象者は屋敷から出てこず、明かりが消されても、動きは無かった。


どうやら、屋敷内で寝ているようである。


(かなり、珍しい)


通常ならば、馬小屋、倉庫など、隔離された場所で寝起きするはずであるのだ。


私はなぜか違和感を感じた。


これまで、監視した奴隷とは格段に違い、今回の対象者は反抗心、殺意が全く見られない。


奴隷としては優秀であると評価する。


今後、残り二日間の監視を継続する事にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ