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魔王と呼ばれた女剣闘士を買った少年の物語Ⅰ  作者: 飯塚ヒロアキ
第二章 アレー・ソリスの登場
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犬猿の仲 その3

捜索隊がトロールに悪戦苦闘していた時、坑道の入り口付近から、地面を駆ける音が聞こえて来た。


それに反応した隊長は青ざめる。


「新手が来たのか?!このままでは挟み撃ちにされる……」


「隊長?しかし、かなり、軽めの音です」


「確かに……誰だ?もしや、援軍か?」


援軍と推測した探索隊の予想は少し違っていた。


暗闇から、誰かが現れ、探索隊の真横を素通りしていく。


隊長は一瞬、何が起きたのかが、理解できなかった。


しかし、はっと、気がつく、その颯爽とすり抜けていった背中を目で追った。


薄暗い坑道だった為、たいまつをその方向へ向けた。


「女?!」と声が漏れる。


しかも、大人ではない。


少女だったのだ。


再び、探索隊の背後から、誰かが素通りした。


「な、今度は少年?!いや、子供か」


その二人が、トロールの前に立ち塞がる。


隊員の一人が声を言葉を投げかける。


トロールにではない。目の前にいる年端もいかない少年、少女にだ。


「おい!こら。二人とも危ない。下がっていなさい」


「ここは我々の仕事だ」


その言葉に男の子が振り返る。


「その割にはやられてんじゃんか」


「ハルト。ちゃんと、前を向いて。」


「へいへい」


「ハルト。危ない」と少女が言った途端に、トロールが、男の子にこん棒を振り下ろした。


それ、右側へダイブして避けた。


「わぁぁぁぁぁぁ。っと。いたたた。あぶねぇだろ!このデカブツやろう」とまるで、恐怖を知らないような言い方をする。


「グルルルルル。ガァァァァァ」


トロールが今度はか弱そうな少女に攻撃を仕掛ける。


しかし、それをいとも簡単にひらりと避ける。


「なんなんだ?彼らは……」


「いや!今がチャンスだ!矢を放つんだ」


突然現れた、謎の二人にトロールは気を取られていた。


その隙に、探索隊が弓で攻撃をし始める。


トロールはそれに驚き、少し後ろにのけぞった。


それを見逃さなかった少女は、トロールのすね辺りを斬りつける。


「グァアアアアア!」とよろめいたのである。


そして謎の子供が、近くに落ちいていた槍をトロールの顔面に向かって投げつける。


しかし、トロールはそれを避けた。


「下手くそです……」と少女がつぶやく。


だが、投げた槍が坑道の天井に突き刺さった時、何処からか、軋む音がした。


トロールが上を向いた瞬間、大岩が頭上に落ちてきたのである。


まさに、ピンポイントで落ちてきて、トロールは大岩に押しつぶされたのであった。


「へっへん。おいらの手柄だぜ!」


もうお分かりだろうが、この二人は、ミネルヴァとハルト


探索隊が驚いた様な顔でハルトに尋ねた。


「もしや、大岩が落ちてくる事を計算にいれて、投げたのか?」


すると、ハルトは深く頷くと胸を張って言った。


「その通り!トロールが避ける事なんかお見通しだったんだぜ!そして、あの大岩が落ちてくることもな」


「おぉ。誰かは知らんが、それは凄いな」と探索隊の隊員は顔を見合わせ、納得するかの様に頷き合った。


しかし、そこに、水をさす様に、ミネルヴァは言った。


「これだけは言っておきますがさっきのは偶然です。彼にはそんな戦闘能力はありませんので」と完全にハルトの結果に納得がいかなかった様である。


「なんで、そうおいらには冷たいんだ?」


「貴方が、邪魔だからです」


「おいらはミネルヴァのいつ邪魔したんだよ?!」


「私にではありません!」と痴話喧嘩を始めた。


いつもの事だろうが、探索隊はどうしたら、良いのか分からず、とりあえず、その痴話喧嘩が終わるのを待つ事にしたのであった。

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