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怪奇!知らない世界の人々  作者: ずび
第五話 ミステリーサークル
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5−7 反撃の狼煙

 再びバイクのタンデムシートに跨がる薫は、田んぼの畦道のど真ん中をエンジン全開でかっ飛ばすユリアンの胴に必死にしがみついていた。速度計が時速百三十キロを指しているのをユリアンの背中から垣間見て、薫は顔を青くする。


「Bravoooooooooo!」


 テンション高く雄叫びを上げて、砂埃を巻き上げながら農作業中の爺婆の間を縫うユリアンは、絶対に正気ではない。不安定なデコボコ道を走るせいで時折尻が浮く。薫は最早命をかなぐり捨てた心持ちでユリアンに問う。


「ねぇ! どこに向かってるの!?」


 ヘルメット越しに尋ねる。一応声は届いているらしく、ユリアンはエンジン音に負けない大声で薫に返事をする。


「明日に向かって走ってるのさBaby!」

「………………」

「じょ、冗談ですの!」


 胴に回っている薫の細い腕が、女の力とは思えない締め付けをしていた。ユリアンは、慌てて速度を落とし、念動力ベアハッグの刑を回避する。


「元々、この村の周辺には結界が張ってあるのでーすが、少しそれの様子を見に行かねばならぬのだ」

「……昨日、玄米さんも言ってたけど、結界って何なの?」


 薫は素朴な疑問をぶつける。


「界の隔てを作る事でーすね。

 空間を隔てるものならば、障子やドアもある種の結界と言えるのだぞ。

 最も、我々陰陽師の間で言う結界とは、穢れあるものと無きものを選別する……概念的Filterですの」

「フィルターって……ろ紙みたいな?」

「That's right! 不純物として妖怪を通せんぼうして、人間は素通りできる……。

 単純にして強力、それが陰陽師達の結界でーす」


 それならば、結界で村を隙間なく取り囲んでいれば、妖怪が侵入してくる事はないのではないか。薫はそう思って尋ねるが、ユリアンは横に首を振る。


「手を突っ込めば障子の紙は破けてしまいまーす。鍵を壊せばDoorは開いてしまいまーすね? 力のある妖怪なら、結界を破って無理矢理突入してくる事もあるのよ。村を覆う結界で追い払えるのは雑霊ばかり。大抵の妖怪は少し頑張っちゃえば、突入してくるのでーす」

「もっと結界を強くした方が良いんじゃない? あんまり意味ないよ、それじゃ」

「Limitっちゅーものがあるばい。土玉家で働けるのは実質我のみ。結界を張るのだけでも精一杯なのだぞ?」


 それに、とユリアンは少し申し訳なさそうな顔で言葉を続ける。


「結界を強くして妖怪を追い出すと、それはそれで問題ですの。妖怪と言う存在は、いわば意志を持つNature。見方を変えれば八百万の神なのです。無闇に追い出せば、人間の為にもなりませーん」


 妖怪、と言う存在については雲海からの伝聞で聞いただけの薫は、口を噤む。どうやら陰陽師の事情、と言う奴らしい。


「それに管轄地区から流れ出た妖怪は、他の陰陽師のTarget。

 その土地の妖怪を退治できるのは、その土地の陰陽師だけ。

 それが現代の陰陽師の不文律、なのだよ」

「クーちゃんから聞いた時も思ったけど……お役所仕事だよねぇ、本当」


 現に薫は、管轄違いだとされて空峰家から土玉家にたらい回しにされた。雲海もユリアンも少し不満げではあるが、その不文律を破る気はないらしい。いや、不文律を持って、自分達の領域を主張し合うのは、お役所と言うよりもどちらかと言うと。


「ヤクザ……?」

「HAHAHA……否定できませんな。実際はもっと酷いものですぞ?

 先に言った通り、我々の仕事は歩合制。戒めた妖怪の数、質、予測被害や実害によって、自治体から出る金が決まるのでーす。

 だから我々も妖怪退治をせねば、生活もままなりませぬ。

 完璧に妖怪を遮る結界を張る力があっても……Hmmm……張る陰陽師が居るかどうか……」

「わざと自分の土地に招いて、そこで退治する奴もいる……って事?」

「Yes。近隣住民の迷惑も顧みずに、ね。ま、そんなのは極々一部の陰陽師でーすが」


 ユリアンは、力無く笑う。これ以上陰陽師の現状を聞いても仕方ないと考えた薫は、話を元に戻そうとする。


「それで、結界の様子を見に行くって言ってたけど?」

「Oh、Yes。金庫を破られたら警報が鳴るように、結界を破られたら、知らせる仕組みがあるのでーす」

「……じゃ、昨日のうちに口裂け女が村に入ってきた事は分かってたんじゃ?」

「実は、結界を破かれたときの警報装置……我とゲンマーイの家にあったのだぞ。

 昨日、我らの家は潰れちゃったやんか」

「………………」


 薫は閉口する。突っ込む気力も失せた。仕事の領域は分ける癖に、ギャグとシリアスの領域を分ける気はないらしい。首を項垂れる薫に、ユリアンは振り向いてヘルメットの向こう側から頭を撫でる。


「まぁまぁ、過ぎた事はしゃーないぜよ」

「それ私の台詞だし……って言うか、前! 前見てよ! 危ないってば!」


 後ろを向いて器用に走るユリアン。彼と一緒に居るとどうしてこんなに疲れるのだろう。薫は、ツッコミ役を強要される辛さを実感し、自分は向いていないらしい事を再認識した。




  *




 元土玉家の瓦礫の山からユリアンが持ち帰ったものは、二つだった。一つは山田全域の地図。もう一つはチョーク入れにしているらしいプラスチックケース。どちらも単なる地図やチョークではないらしい、と言う事は薫にも分かっていた。市の地図は至る所に光の点が散りばめられている。青い光が主だが、所々が赤色に輝いている。


「この地図と張った結界はLinkしとるのだ。

 結界が健在なのはBlue。破れたらRed」

「信号機みたいね」

「Exactly。壊れた結界の場所を見るに、昨日口裂け女は……西の海側から入って隣の市を三つ跨いでここまで来たようでーすね」

「市街地……誰かに見つかったりとか、しなかったのかな?」

「妖怪達にしちゃ、姿を消す事なぞ造作もない事なのよ。……まぁ、破れた結界を見るに、寄り道せずに真っ直ぐここまで来たようだぜ。完全にカオル狙いですわ」

「どう入ってきたかは良いけど……今アイツは何処にいるの? 遠隔透視をしてみようとしても、全然見つからないのよ」


 目を強く瞑っている薫がユリアンに尋ねる。口裂け女の、思い出すのも嫌な程不気味な顔を決死の思いで思い浮かべても、彼女の瞼の裏には何も浮かんでこない。最近覚醒した遠隔透視能力を使ってみても、口裂け女を捜索する事が出来ずにいた。


「恐らく気配を断っているのでしょう。視覚的情報を頼りにしても、見つけるのは無理だべ。

 だが……見つけるのは簡単だぞ。我も探そうと思えば、いつでも見つけられる」

「え。ど、どうやって?」

「まず、Ms,ミウラの陥っている状態をご説明致しましょう」


 プラスチックケースと地図をジャケットの胸ポケットに突っ込みながら、ユリアンは言う。


「Ms,ミウラは言うなればOut of body……幽体離脱しているのでーす」

「眠ってたら、自分の体を見下ろしてた、とかそういうの?」

「Yes。彼女の魂は、口裂け女に連れ去られてしまっているのだぞ。

 だから、彼女の魂を口裂け女から取り戻せれば、Ms,ミウラはWake Up」

「…………それは分かったけど、肝心の口裂け女の居場所は?」


 急かす薫を、手で宥めるユリアン。説明が長い、と思ってしまう。


「幽体と肉体の間には魂の緒、というものが存在しまーす。

 赤ん坊とお母さんの間にある、臍の緒みたいなもんですな。

 But、Ms,ミウラの魂の緒はまだ千切れずに伸びています。故に彼女はまだ生きていられる。

 ……我々陰陽師にはその魂の緒を感知する術が有る故、彼女の魂が連れ去られた場所が分かるのでーす」

「じゃ、じゃぁ急いでその場所に」


 今にも駆け出さんばかりの薫。ユリアンは冷静な声で彼女を止める。


「Stop、カオル。今行動するのは得策でないぜ」

「なんで?」

我々(土玉家)の陰陽術は、強襲には向いていないのでーす。

 術の準備に時間がかかる故、妖怪を迎え撃つ場合にこそ真価を発揮出来るんですの。

 恐らく今夜また、口裂け女は村に現れる……そこが絶好のチャンスなんやな。

 幸い下準備の時間はたっぷりある。今度こそ、真の土玉家の陰陽師の実力をお見せするのだ」

「……ううぅぅぅ」


 夜まで待て、と言うのがユリアンの意見だ。いても立ってもいられない、今すぐ口裂け女を退治して三浦を助けたい、と言うのが薫の意見。ハンカチでも噛みそうな程苦悶の表情を浮かべている薫は、ユリアンを睨みつける。ユリアンは彼女の視線の槍を避けるように颯爽とバイクに跨がる。


「これからちょっと村内を回りますぜ。早く乗れYO!」

「……分かった」


 不本意だが、妖怪に関してはユリアンに任せた方が良い。エンジンを吹かすユリアンに急かされて、薫は慌ててヘルメットを被り直し、タンデムシートに跨がる。最早、彼女は殆ど彼の言いなりであった。




  *




 それからはひたすらに単調な作業が続く。村のあちこちをバイクで駆け抜け、たまに停止し、チョークで地面にパターンを描く。また出発し、少し走ったら停止して、地面にパターンを描く。描くパターンに統一性はない。五芒星と丸だけの簡素な陣の他にも、筆記体アルファベットで描く何か。使う色も様々で、白と黄と赤と青と……やる気に満ちあふれた新任教師が描く黒板よりも派手な色使いで、ユリアンは数々のパターンを迷いなく描いていった。場所そのものにも統一性はない。ある時は田んぼの畦道のど真ん中。ある時は、犬小屋のど真ん前で、吠えられながら。酷い時には人様の庭に侵入しかけたりもした。ユリアンは不法侵入する気満々だったのだが、流石に薫がそれを止めさせた。結局家の人に、水道整備の業者だ、等と言う山田村程の田舎以外だったら到底通用しないであろう稚拙な嘘をついて庭に侵入したのだが。


「……本当に、これは必要なの?」


 作業着すら来ていない水道整備業者なんて居ない。流石にかなり怪しまれた。お邪魔した家の人の不審な視線を背に浴びながら、薫は肩を落としつつ家の門を潜り出た。隣のユリアンは、村の地図とにらめっこを続けたままで、薫の方は見ずに説明する。


「今我が組み立てている術は、非常に強烈ですの。

 But、日や星の位置に左右されるDelicateな術なのでーす。場所をずらすのは得策とはいえませぬ」

「一体何をする気なの? また昨日みたいなデカい悪魔でも呼ぶつもり?」

「Oh、近いでーすな」


 皮肉を肯定された薫は眉を顰める。昨日の惨事を忘れた訳ではなかろうに、と考えてみるが、ユリアンなら有り得てしまうのが問題だった。それを問う意味でも、薫は聞き返す。


「……何を呼ぶの?」

「ん〜……ちょいと説明が面倒でーすが、聞くんですの?」

「聞いておかないと、またあんな化け物に襲われちゃうかもしれないじゃん」

「了解し申した。我が召喚するもの、それは……古都、京都でーす」

「……ん? …………ん、んん?」


 全然分からん。薫の率直な意見としては、何を言ってるのか全然分からん、である。京都とは、列島中央に位置する歴史ある日本文化の発信点である。陰陽師なども、元々は京都で宮仕えをする官職だった、と言う事を薫は漠然とではあるがテレビ番組で見て知っている。陰陽師と京都と言う土地は、なるほど確かに関係が深い。

 しかし、ユリアンはなんと言った。

 京都を召喚すると言った。悪魔でも式神でも十二天将でもない。実在する土地だ。山田村の狭い土地に、京都の碁盤状の町並みが空から振ってくる。トドメに、三浦が眠る小さな病院に五重塔が逆様に突き刺さる様を幻視した薫は、ユリアンを怪訝な目で見る。


「歴史上類を見ない大惨事になるんじゃ……」

「……何か勘違いしておるのぅ。京都Townそのものがここに現れる訳じゃないんですの」

「じゃぁ、どう言う意味?」

「だから説明が面倒だと言ったのでーす」


 面倒くさがりながらも、ユリアンは頭の中で説明を組み立て、停めておいたバイクに寄りかかって身振り手振りで説明を始める。


「京都そのものではありません。京都、と言うConceptを御借りするだけでーす」

「……余計に分からない」

「古都京都は、陰陽師発祥の地。アベノセーメーはご存知で?」

「あ、それは知ってる!」


 かつて知り合いからそう言った小説の類いを借りた事のある薫は、諸手を上げた。アベノセーメーもとい、安倍晴明とは十二の式神を操って、京都の町を妖怪から守ったと言う恐らく日本で最も有名な陰陽師である。様々な脚色をされているが、彼が天才的陰陽師であったと言う部分は、どんな逸話でも共通している。と言う話を得意げにする薫。


「大体合ってるでしょ?」

「案外ミーハーなのね、カオル。

 俗に言われている通り、セーメーは極めて優秀な陰陽師だったぜ。

 最初の陰陽師である山気光明さえも凌ぐ程の、Geniusだったと噂されたるわ。

 彼の守護していた京都は、未だに彼の式神の加護によって守られておるんですの。

 故に今も京都は、妖怪の近づけぬ強大なSanctuaryなんだぞ。

 対妖怪に関して言えば、これ程強力な領域はございますまい?

 あの口裂け女も、ひとたび足を踏み入れれば、瞬く間に屈服するでしょう」

「……京都って、そんなに凄い町なんだ」


 精々八つ橋が美味くて寺が一杯あって舞妓はんが綺麗、位の認識しか持っていなかった薫としては反省しきりであるが、ユリアンは彼女に構わず話を続ける。


「その京都と言う聖域を守る、アベノセーメーの式神をこの村に模倣する。それが我の術のFinal Stepだべ」

「……そんな事、出来るの?」


 そんな事が出来るのであれば、ユリアンは安倍晴明並みの天才陰陽師となるのだが、昨日の失態を見る限り、そんな馬鹿な話はない。薫の疑うような目を見て、ユリアンも彼女の思考を察知したようだった。


「HAHAHA! 無論、我にはそんな呪力はないのだ。

 But、我がそんな力を発揮せずとも、力の拠り所はあるのでーすな、これが」


 ユリアンが足元を指差す。釣られて首を下に向ける薫の目に飛び込んでくるのは、舗装されて随分時間が経った色あせたアスファルトだけだ。しかし、薫は思い出す。昨日の玄米の言葉を。土玉家の陰陽術は、この星そのものから力を借りるのだ、と言う言葉を。目を見開いて顔を上げる薫は、ユリアンに確認の意味を込めて問う。


「じゃぁ、ユリアンはこの土地が持ってる自然の力を利用して」

「ブッブー! 惜しいけどちょっぴりちゃうねんぞ、カオル!」


 胸の前で腕を交差して×印を作って口を尖らせるユリアン。薫は盛大にズッコケた。今までの伏線から考えれば、ここは黙って頷くべきではないのか。そんな薫の心配をよそに、ユリアンは解説を続ける。


「それも良いのですが……この術には莫大な力が必要ですの。この土地が痩せてしまいますわ。

 今年度の村の作物の収穫量に影響が出るような術を、個人の一存では使えませぬ」

「……そうかもしれないけど……じゃぁどうすんのよ? って言うか質問ばっかだね、私」

「詳しくは知らないのだが……少し前、この村で大規模な事故が有ったやんか。

 村の中央にある山田村高校が、全壊すると言う恐るべき事故が」


 ユリアンの言葉に、薫の顔が凍り付く。間違いなく、薫が三浦を巻き込んでしまった事件の事だった。しかしユリアンは特別彼女の顔色の変化には気づいていない。どうやら、事件の事は詳しく知らないようだ。だが、それは仕方のない話かもしれない。


「原因は不明なのですが、あの巨大な山田村高校の校舎が木っ端微塵、全壊。

 放課後だった事もあり、怪我をしたのはたまたま残っていた高校教師、M'sミウラのみだったとか。

 今回の事と言い、彼女も中々Hard Luckの持ち主だのぅ」


 超能力が原因だ、なんて報道がなされる訳がない。事件の真相を知っているのは当事者だけなのだ。薫は暗澹たる顔色を隠してユリアンの話を聞き続ける。


「中々大変な事故ではありましたが、同時にそれはそれは、巨大なEnergyが生じたのでしょう」

「……それで?」


 薫は少し顔を俯けるが、ユリアンは気にした風なく述べる。彼女の顔色が段々と悪くなっていくのが、ユリアンには分かっていないようだ。


「あの大事故は、この土地に、『土地の記憶』として深く刻まれています。

 これを利用しない手はない。我が用いる術は、この『土地の記憶』の再現なのだ。

 土地が記憶している過去と現在の境界を曖昧にすることで、あたかも過去の出来事がもう一度起こっているかのように、再現する術なのだ」


 ようやく説明が纏めに入ったユリアンは、少し俯いている薫が聞いているかどうか少し不安を覚えつつも続ける。


「あの大事故の『土地の記憶』を呼び覚まし、この土地そのものに、あの事故を再現してもらいまーす。

 再現された記憶は現実との狭間が曖昧。そこで起きた事象は事実であり空想。

 But、現実を限りなく完璧に再現する事でそれは一時的に現実の出来事に等しくなり、我々も触れる事が出来まーす。

 だからそれを利用して再現された事故で発生した大量のEnergyを回収し、京都の式神の模倣を行なうのでーす。

 ちょいと面倒な手順ですが、これが最善だろうよ。Do you understand?」


 ユリアンの問いに、薫は答えない。顔を俯けたまま、拳を堅く握って震えている。髪の隙間から見える向こう側では、歯を食いしばっていた。薫は、どうしていいか分からなかった。ユリアンは知らないのだ。あの事故が招いた悲劇を。あの事故が、薫の心をどれだけ抉ったかを。ユリアンに悪気はない。むしろ、彼は最大の功労者だ。誰にも迷惑をかけない方法を模索して、まさしく最善の案を提案している。

 薫は頭を振る。これ以上、ネガティブになっては駄目だ。

 決めたじゃないか。先生を、助けるって。なら、こんな事でクヨクヨしていられるか。

 薫の握り拳が緩む。決意を秘めた瞳は静かに燃えていた。


「分かった。それで、上手くいくんだね」

「勿の論じゃ。さぁて、まだ仕事は終わってないぞ! 行くぜ、カオル!」

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