今後の展開について。
活動報告の方にも触れたのですが、今後この小説を完結まで連載させる事が出来ないと思われますので、この第九話を持って『怪奇!知らない世界の人々』は終了します。
今後の展開についてはプロットは一応組んでありましたので、結末が気になる方がいらっしゃいましたら、そちらを御覧になって下さい。
今までお付き合い下さった読者の皆様、本当にありがとうございました。
同時に、完結まで連載出来なかった不甲斐なさを深くお詫び申し上げます。
第十話 空亡
過去の話。
かつて利休は谷潟県全域の水妖を配下におく大妖怪であった。利休は周辺の住民に盗賊行為を働く等、危険な妖怪であった。彼を調伏するために、京都から新人の陰陽師である山気光輝が使わされた。光輝は現地の陰陽師であった空峰岩武と共に利休に立ち向かいが、為す術無く敗北。それからは二人で修行し、一年後にこれを撃破。山気と岩武はそれが縁となって、やがて結婚した。
舞台は現代に戻り、岩武の見舞いに来た利休がそんな思い出話をする。利休の放つ殺気の意味を理解した岩武は、抵抗も出来ずに利休に殺害される。
利休は肝試しの日以来、既にヘドロのような怪物(改造を施された元口裂け女)に取り込まれていた。利休になりすましていた怪物は、自らを『空亡』と名乗り活発に行動し始める。
第十一話 修羅
岩武が殺害されてから数日後。雲海はいつもと変わらぬ日々を過ごしていたが、ある日突然、小森と共に失踪。
薫と天心が白水に協力を扇ぎ、雲海を捜索。雲海は金竜丸の家の地下に幽閉されている事が判明。実は雲海は肝試しの日以来、急速に妖怪化が進んでおり、それまで雲海として薫達と過ごしていたのは変化妖怪のエイエスであった。
治療の甲斐も虚しく、雲海は既に異形の化物へと変貌。見舞いに来ていたエイエスと小森を取り込み、同化しかけていた。
それを見た薫は怒り、雲海と全力で戦う。壮絶な果たし合いと小森が発した必死の言霊によって、雲海は正気に戻る。
第十二話 タイムトラベル
冬の日。
力を蓄えた空亡は、自らを更に完全な存在に近づけるべく、かつて自分が口裂け女であった頃に魂の一部を薫に預けていた事を思い出し、薫を襲う為に行動を開始する。
それを察知した雲海は、薫と空亡が遭遇するのを阻止する為に空亡と対峙。しかし善戦する事も出来ずに敗北。吸収されるのを防ぐ為に、自害した。
件の予言を覆す事が出来なかった薫の前に、第三話にて屋上に居た一人の男子が現れる。彼は薫の子孫を名乗り、母の無念を晴らす為に超能力によって過去にタイムスリップしてきたのだと言う。彼からタイムスリップの力を授けられた薫は、雲海と空亡が対峙する以前までタイムスリップ。空亡に魂の一部を返還してしまう。
より強大になった空亡から薫は雲海とともに逃亡するが、姉の叶が率いるクローン軍団に襲われ、雲海は殺害されてしまう。叶は妹の薫を救う為に、既に人間の枠を超えた改造人間と化していた。
そしてクローンの素体となったオリジナルの薫は現在も宇宙人達の手元にあり、実は薫はクローンのプロトタイプである事を告げた叶は薫を殺そうとするが、駆けつけたユリアンと雹裡によって庇われ生き延びる。
最終話 タイムパラドクス
雲海を救う事が出来ず、宇宙兵器に侵略されていく世界に絶望する薫。しかし天心と小森が、雲海が己の魂の全てをかけて作り出した折り鶴型のお守りを託す。薫は再び立ち上がり、過去の全てをやり直す為に、薫がU.F.O.に誘拐される日まで遡る。単身でU.F.O.に乗り込んだ薫は、雲海のお守りで増幅した超能力を発揮して暴れ回り、難なく撃破。
オリジナルの薫が誘拐されクローンが生み出された、と言う事実をクローンである薫が書き換えたため、『親殺しのパラドクス』が発生。宇宙が整合性を保つため、時空が歪み歴史の再編が行なわれる。
全てが無かった事になったが、再編後の世界でも薫は結局杵柄高校に転入して来る事になった。そこでオリジナルの薫は雲海と初めての再会を果たす。
一方でプロトタイプの薫は、本来誕生し得ない存在であるため歴史再編の際に消滅する筈だったが、雲海のお守りが薫の消滅を阻止し、生存する。
薫と雲海が打ち解けている様を微笑みながら遠巻きに見つめつつ、折り鶴型のお守りを大事そうに胸に抱いて、時空の彼方と消えて行った。