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怪奇!知らない世界の人々  作者: ずび
第九話 クローン
120/123

9−12 戦慄のクローンエスパー

 岩武が車を止めたのはいつか口裂け女が町を騒がせた事件の時と同じコインパーキングであった。そこから繁華街の裏手の方に足を進めていると、驚く程人が通らない。閑散とした空きビルと民家の間を、裏寂れた街灯が照らしていた。

 袈裟姿の坊主と学生服の少年の奇妙な組み合わせの二人組が、屯する野良猫や野良犬を追い払いながら足を進める。

 岩武は既に式神に命令を下し、町中の捜索を開始しており、時折妙に動きが機敏なネズミが数匹、足元を駆け抜けては、また路地に引っ込んで行く。このネズミには岩武の式神が取り憑いており、彼一人で式神十匹を同時に指揮しているのだ。

 自分もいつかはこうならねばと思うと、雲海はどうにも将来が不安である。


「こう思うのはいけないのでしょうが、こうも引っ張り回されるといっそどこかに狐の遺骸でも転がっていないかと思ってしまいますよ」

「随分と正直に言うな」


 岩武は特に咎める言葉を吐かなかった。それが雲海には意外だったが、きっと彼もそれどころじゃないのか……或いは岩武もそう望んでいるか。縁もゆかりも深くない隣町の神社の問題を持ち込まれた立場としては、後者だろうなと雲海はそう見当をつけている。


「む……」


 岩武が不意に足を止める。


「反応が一つ、消えた」

「……ネズミが死にましたか?」

「車に轢かれるようなヘマはしない筈だが……どれ、事情を聞いてみるか」


 岩武は周囲を窺い、人の気配がしないことを確認すると、袂から白紙のメモ帳を取り出し、何かを呼び寄せるように小さく宙に向けて手招きをした。それに呼ばれるようにして小さな光の珠が遥か彼方から飛んできた。取り憑いていた式神だけが帰ってきたのだ。式神が岩武の手元のメモ帳に飛び込むと、白紙だったそのページに炙り出しのような絵が浮かび上がってきた。

 デフォルメがされているが、ポニーテールの女の子が目が×になったネズミに炎の塊を投げつけている絵であった。岩武と雲海はしかめっ面を見合わせた。


「……なぁ。儂はこの少女に見覚えがあるのだが」

「僕も……えぇ、今日会いましたし」


 雲海はメモ帳にデコピンをして、呆れたような草臥れた笑いを漏らした。


「おいおいお前、香田さんにちょっかい出したのか? 式神のくせによぉ」

「待たんか馬鹿者。儂が指揮しとるのだぞ、そんな事をするかっ」


 今度は岩武が雲海にデコピンをかました。重い一撃に雲海は額を抑える。


「しかし、だとしたら香田君はわざわざネズミを殺すのに超能力を使った事になるな……」

「……あの、父さん。何か思い出しませんか?」

「あぁ。伝聞のみであるから今の今まで忘れとったが……」


 雲海と岩武が思い出したのは、居候中の口裂け女である。山田村にて口裂け女はU.F.O.に攫われた。そしてその実行犯の姿形は、香田薫にそっくりであったらしい。しかもその上、超能力まで使ったと言うのだ。


「……その、例の宇宙人だかの所業だと?」

「どうします? 現場に向かいますか?」

「あぁ。くれぐれも、警戒は怠らんように」


 時刻は間もなく七時を迎える。ここから炎裏川までは車で行けば二十分程だ。向かった先にまだ例の宇宙人は居るだろうか。雲海と岩武は踵を返して車に向かった。



  *



 薄ら暗い炎裏川沿いの公園にて、雲海と岩武はネズミの黒焦げた死骸と、ブランコの脇に大の字で横たわって気絶している男子高校生を発見した。

 しかもその男子高校生と言うのが、磯村であった。

 初め見た時は死んでいるのかと思って相当に焦ったが、脈はあるし、細い息もある。日に二度も気絶するなんて、運のない男だ。雲海は同情の挙げ句、頬を叩いて磯村を起こす。岩武の方はそれを見届けると、さっさとネズミの死骸の検分に向かっていった。

 周囲に香田の……宇宙人の姿は窺えなかった。


「……まさか、今日また会うとは思わなかったよ」


 磯村は目を覚まして第一声、顔を引き攣らせてそう言った。

 それはこっちもだ、と雲海が苦笑いをすると、磯村も多少は気を緩めたのか、一つ大きな息を吐いた。


「今日のアレは悪かったよ。お灸にしちゃ少し度が過ぎた」

「……それは俺も、その……不躾だったよな、少し反省してる」

「少し、かよ……まぁいいや。それで君は、どうしてこんな所に?」

「こんな所……?」


 磯村は辺りを見回してようやくここが公園である事を思い出したのか、小さく息を呑み、がたがたと震え出したかと思うと、突然立ち上がって雲海の側から飛び退いた。


「思い出したぞ、貴様! やっぱりあのまま帰す気なんてなかったんだな!」

「……は?」

「君が香田薫に命令したんだろう! 磯村を殺せって! 油断させておいてからの騙し討ちとは、姑息な手を使いやがって!」


 興奮気味に喚き立てた磯村は、ポケットから取り出した改造スタンガンを構えてみせるが、それに電池が入っていないのは既に雲海も承知済みだ。何の脅しにもならない事さえ忘れる程パニックを起こしているのだろうか。


「おいおい、ちょっと待ってくれよ……一度落ち着こうか。僕がそんな事をする理由は……いや、説いても無駄だな。ただ一つ言えるのは、君を襲ったらしいソイツは香田さんじゃないぜ」

「どうしてそんな事が言い切れるんだ!」

「あー、詳しくはちと説明が面倒でなぁ。でもさ、僕は嘘をついてる訳じゃなくて」

「僕に向けて緑色の炎の塊を投げつけたんだぞ! 肝試しの時に見た! あの緑色だ!」

「それはそうなんだろう。君は襲われた。それは間違いない。ただ僕が言っているのはそれじゃなくてだな……」

「おい、ちょっとこっちに来い」


 口論を見かねたのか、岩武が口を挟みつつ、手招きをした。公園の砂場の隅っこに黒い塊が転がっている。よくよく見ればそれはネズミの死骸だった。完全に炭化してしまっている。この分では蝿も鴉も寄り付かないだろう。


「……念入りに焼き殺されとる」

「……完全に殺意を持ってやっていますね。まるでドラえもんみてぇだ」

「冗談を言っとる場合か! そもそも式神の媒体にネズミを選んだのは、目立たず、気にされぬ存在だからだ。それをここまで丁寧に焼き殺す……これは厄介だぞ。このネズミを殺した奴は、少なくともこのネズミがただのネズミではないと気がついていた、と言う事だ」

「単なる迷子探しって訳には行かない、と」


 狐の捜索を妨害する何者かは、やはり存在していた。それはどうやら、口裂け女を連れ去った奴らと同一らしい。一体何の目的があってこんな事をしているんだろうか。不気味さに苛立ちが募るが、それを考えるのは後回しだ。


「お前は一先ず、彼から話を聞いてこい。儂はこの周辺を索敵する」

「……索敵、ですか」

「敵を捜す。間違ってはおるまいて」


 憂いと焦りの入り交じった表情の岩武。事の深刻さに嫌気が差しているようだった。それを尻目に、雲海は咳払いを一つしながら、睨みつける磯村に向き直る。


「さて……香田さんに殺されかけたって話だったっけな」


 磯村は身を震わせながら小さく何度も頷いた。幾らオカルトマニアの磯村相手でも、流石にここで「実は彼女は香田さんではなく、宇宙人なのだ」と言って理解が得られるとは思えない。


「あー……単なる見間違いじゃないかな? もう夜も遅いしな」


 と、そんな風に諭してみたが、磯村はかえって怒りに燃えた。


「確かに君の言う通りだよ……俺はこれでも、自分の性格ってのが分かってる。見間違いの可能性だって認める……けど!」


 そう言って磯村が雲海に手渡したのは、デジタルカメラであった。


「普段から、UFOを見た時の為に持ち歩いているんだ。……そこの最新の写真を見てみろ」


 言われるがまま、アルバム機能を起動してみる。

 薄暗くて良く見えない、解像度が悪くて良く見えない、ピントが合ってなくて良く見えない。……そんな言い訳が通用すれば良かったのだが、生憎と磯村と言う男は写真撮影に関しての腕前は一流であった。

 そこには香田薫が、緑の炎を纏った右手を思い切り振りかぶってこちらを睨みつけている姿が映し出されていた。服装は黒のパーカー、フードを被り、夏場だと言うのに黒革の手袋、下も黒のカーゴパンツに黒のカンフーシューズと恐ろしいまでに黒尽くめであった。

 なるほど、これは確かにそっくりだ。そっくりを通り越して同一人物としか思えない。とは言え、瞳に滲む殺意が、剥き出しの犬歯が、香田薫の本来の持つ気質とは全く異なっている。


「……この女が君に襲いかかってきた?」

「何度言わせるんだ!」

「本当に君を狙っていたのか?」

「俺がそう言ってるんだぞ! 狙われた本人が!」

「君を殺そうとしたんなら、なんで君は今生きているんだい? ネズミ一匹原型も無いまでぶっ殺す輩が、君に限っては気絶させるだけなんて有り得るか?」

「それは……」


 磯村は反論の余地がないらしく、悔しそうに口を噤んだ。

 磯村が下手人に気絶させられていたのは間違いないだろう。邪魔な目撃者の殲滅は目的ではないようで、雲海は心の底で安堵した。ここに炭人形がもう一つ転がっているよりは遥かにマシである。


「この女の目的は君を殺す事じゃない。んでわざわざ、このネズミを狙って殺した。まさか……こちらの動きが読まれていたりは」

「おい、お前達!」


 岩武が叫ぶ。何事かと振り返れば、岩武の周囲には九つの光球が不規則な軌道を描きながら浮かんでいる。ネズミに取り憑いていた式神達が、全て集っていた。岩武は明らかに焦っている。脂汗が滲んでいる。表情も強張っている。


「今すぐここから離れろ!」

「え?」

「待ち伏せだ、囲まれとる! 奴ら、狙いを儂らに絞って」


 言い終える前だった。

 音も光も前触れもなく、突如岩武の体が炎上した。

 ネズミが一瞬で焼き殺される、恐ろしい火力で。足の先から頭の先が一瞬にして緑の炎に覆われ、松明と化した岩武の体が地面に倒れ伏す。雲海は弾かれたように岩武に駆け寄ると、宙に浮いている式神を一つ鷲掴みにし、あろう事か口の中に突っ込んでそのまま飲み込んだ。


「水よ!」


 雲海の絶叫と共に、地面から大量の冷水が噴き出し岩武の体に降りかかる。火は瞬時に鎮火し、雲海は更に式神を、今度は三つ掴み取ると、それもまとめて飲み込んだ。


「治せ! 護れ! 隠せ!」


 矢継ぎ早に三つの命令を下す雲海。

 焼け爛れていた岩武の皮膚がうっすらと色を取り戻し始め、その体を薄い光の膜が覆ったかと思えば、その姿は宵闇に吸い込まれるように消えた。

 背後で見ている磯村は雲海が何をしているのか全く分かっていなかったが、必死の形相の雲海が残った五つの式神の光球を掴み取ったかと思うと磯村を振り返り、脇に抱えて持ち上げて駆け出した時点で、まだ自分は日常の世界に帰れていない事を悟った。世界の全てが高速で後方にかっ飛んで行く。町の景色の全てが残像となって流れていく。人間の出せる速度ではない。


「何が起きてるんだ!」

「さぁな! 死にたくなけりゃ大人しくしてろ!」


 磯村は後ろを振り返る。遥か後方が、緑色に燃えているのが目視できた。そしてその炎に、同じ背丈の黒尽くめの何者かの三つの影が映っている。待ち伏せ、囲まれている。岩武の言葉を思い出し、雲海の焦りの表情が濃くなった。


「持ち玉は五つ……一人頭一つで仕留めればなんとか……!」

「ダメだ空峰!」


 叫ぶ磯村。雲海がたまらず後ろを振り返ると、三つの影の他、後ろから等速度で追い縋る五つのパーカー姿が見えた。その先頭を走っていたパーカーのフードが捲れると、見た事のある童顔女がゴミ虫を見るような冷たい視線でこちらを睨んでいるのが分かる。

 そしてその女が手をかざしたのを見て、雲海は苦虫を奥歯ですり潰して飲み込んだような苦渋の表情を浮かべた。


「加速しろ!」


 雲海の足は、もう残像しか見えない程素早く回転している。

 宵闇さえ振り切ってしまいそうな速度に、磯村は目を白黒させつつも、後方を窺った。あっという間にパーカーを引き離し、もうその姿は見えなくなっていた。

 それを雲海も見届けると、彼はようやくその足の速度を緩めた。周囲は暗く、碌に街灯もない山間の道である。


「……帰りが大変だな、ったく」


 軽口を叩いてみせる雲海だったが、身を地面に投げ出して荒い呼吸を整えるのに必死であった。


「……あの連中はなんなんだ? 全員同じ顔なんて……日本政府はいつからクローン兵士の開発に着手していたんだ?」

「詳しい事は僕も知らん。むしろ調査中の連中だよ。だけど、父さんが殺されかけたんだ。少なくとも、友達にはなれそうにねぇな」

「そう言えば、君の父さんは……」


 目の前で人間が火を上げると言う衝撃的な映像がフラッシュバックし、磯村はフラついた。人体に火がついた瞬間なんて、今や動画サイトでも覗けばそこら中に転がっているものなのに。温度を感じる程近くで人が傷つけられる瞬間をリアルに体感した。死が身近なものの様に感じる。雲海はしかし、表情は険しいが取り乱している様子がない。

 彼や岩武は、普段からこんな日常を送っているのだろうか。だとしたら自分はやっぱり。


「父さんは連中の手の届かない所に隠した。傷は式神が治してくれている。……意識の有無が確認できなかったのが気がかりだ。手遅れになってなければいいけど……そんな事は今はどっちでも良い」

「そんな……自分の父親が死ぬかもってのに『そんな事』って……」

「今日言っただろう、磯村君。僕達はこの理不尽な世界に『そう言うもの』として産まれてくる。……もしも父さんが死んだのならば、僕はその骨を拾って仇に立ち向かうのみ。その覚悟を教えてくれたのは、他ならぬ父さんだ」


 磯村は雲海に何も言い返せなかった。

 言いたい事は言った、とばかりに雲海は立ち上がって、屈伸をして足の具合を確かめている。呼吸は既に整っていた。走ってさえいない磯村が興奮で息が上がっているのに。


「さて……逃げてばかりもいられないし、反撃の手を考えなきゃならんが……」

「何とか、香田薫と連絡を取りたいな」


 磯村の意見には雲海も同意した。

 直接対峙した彼女から、少しでも情報を引き出したい。携帯電話は圏外だった。山を上り過ぎてしまったらしい。

 かと言って下手に移動するには、少々リスクが大き過ぎる。

 あのパーカー集団がどこまで迫っているのかが把握出来ない以上、この場に留まっている事自体が危険だ。


「持ち玉は残り四つ。……仕留めるのはキツいか?」

「あぁ、相手は八人だ」

「八人じゃすまねぇよ。奴さん、まだまだ兵隊残してる」

「……何故そう言い切れるんだ」

「匂いで分かる……なんてな」


 雲海は冗談めかして立ち上がり、辺りを見回したかと思うと、磯村の奥襟を掴んで引っぱり、ポケットに仕舞い込んでいた光球を一つ飲み込んだ。


「磯村、可能な限り呼吸を抑えろ。鼓動を落ち着けろ。何があっても絶対に動くな」

「え? あ、あぁ」

「もう喋るなよ? ……透過せよ」


 雲海の一言で、雲海と磯村の姿が夜の闇に解けるようにして掻き消えた。磯村は透明と化した自分の体を見下ろして叫びそうになるが、雲海の忠言を思い出して必死に堪える。そして、それどころではない。


「居たか?」

「ダメだ、見失った」


 同一人物が一人芝居を打っているようにも聞こえかねない会話が磯村達の耳にも届いた。パーカー姿の女……香田薫そっくりの女が、険しい顔で山道を登って姿を現した。彼女達の掌には緑色の炎が揺らめいている。夜行灯代わりなのだろう。


「どうする? 目撃者の殺害は最低限度で良いと言われている」

「優先度切り替えの指令が出ている。狐を狩ってる場合じゃない」

「我々は、陰陽師の殺害を禁止されていた筈だろう」

「よりにもよって『オリジナル』の仲間の『空峰』に見られている。ただでさえ『オリジナル』に存在がバレてるんだ。これ以上の露呈はマズい」


 どうやら雲海は余程見てはいけない物を見てしまったらしい。磯村の襟を掴む雲海の手の力が少し強くなる。


「岩武はまだ見つからないのか? 捜索班は何をしている」

「雲海が隠している。発見は困難窮まろう。殺すのは隠し場所を吐かせてからだ」


 すぐ目の前を二人の少女が通り過ぎていく。目が乾く。息を止める。体が恐怖で震える。今すぐここから逃げ出したい。家に帰って、何も見なかった事にして。だが現実がそれを許さない。


「拷問は苦手だ。出力デバイスの調整が面倒だ。改良の申請を出そう」

「無理だろう。我々の開発は上も消極的だ。廃棄を免れたければ成果を上げるぞ」

「掌返しも良いところだな。間もなく日の目を見ると言う所でまさかあんな物が……」


 二人は雲海達に気がつかないまま、山道を上って行く。その話し声が聞こえなくなった所で、止めていた呼吸が限界を迎えた磯村は、思い切り息を吸い込んで肺を満たした。


「……なるほど」


 雲海は何かを心得たように呟き、磯村同様深く息を吐く。その姿は未だに見えないが、声色を聞くにまだ絶望している訳ではないらしい。


「狐を狙っていたのが奴ら。奴らは透明な物の姿を認識出来ない。僕らの術の限界も把握していない。火力の調整も困難。僕は見つかってもすぐには殺されない。そしてすぐ近くに敵が居るかも知れない可能性も考えずに自分達の事をベラベラ喋る程度にマヌケ共の烏合の衆。……十分な成果だ」


 忍び笑いを押し殺す雲海。それを背後に感じる磯村は、雲海の気が触れているのかと一瞬勘違いしてしまった。もしかしたらあながち間違ってもいないのかも知れない。


「楽勝だよ、磯村君。今日は逃げるだけにするつもりだったけど……止めた。思い出した事が一つあるんだ。……ここでアイツらを一網打尽にしてやる」


 その時の雲海からは、明確な殺意が感じられた。残忍な彼の本性を垣間見た磯村は、それを少しだけ頼もしく思ってしまった自分を罵りたい気持ちになった。

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