──レオン・ファンクラブ、暗躍す──
学園祭の翌日。
教室の隅では、毎朝恒例の“謎の女子集団”が集まっていた。
「……今日もかっこよかったわね……!」
「ねぇ見た!? 焼き鳥チャレンジの男気!!」
「スイカじゃなくて石像割ったあのパワー!!」
「惚れるわ!」
興奮気味に囁き合う女子たち。
テーブルの上には、
“レオン・ブレイカー様ファンクラブ 月例報告書”
という直球すぎる書類。
表紙には豪華な金文字。
《LEON BRAVER OFFICIAL FAN ASSOCIATION》
(※本人非公認)
■ 1 ファンクラブの脅威的な組織力
ファンクラブのリーダー格・アンナが立ち上がった。
「はい、みんな! 昨日の学園祭レポ、まとめたわ!」
華麗にホログラムを展開する。
☆ レオン様・昨日の輝かしい功績☆
① “炎帝焼き鳥チャレンジ”に単身挑む勇姿!
→ 辛さで悶絶する姿もキュート!
② 巨大スイカ割り……からの石像粉砕!
→ パワー型の尊い事故!!
③ 一人で花火を見る孤高の背中!
→ 孤高の騎士!!!
「なにこれ!?!?!」
「全部尊いッ!!!」
「石像粉砕の瞬間のスロー映像見せて!!」
大盛り上がり。
机が震える。
「レオン様……今日もきっと素敵ね……」
「あの無自覚な格好良さが罪……!」
「いっそ……あの鈍感さも推せる!!」
■ 2 レオン登場 → ファンクラブ崩壊
「おーいリリア、いるかー?」
扉が開く。
レオン、登場。
その瞬間。
女子たち「!!??!?!?!?!?!?」
まるでアイドルの出待ちに遭遇した一般人のリアクション。
「あ、あの……レ、レオン様!?!?!?」
「やだ……近い……!!!」
「呼吸が……呼吸ができない……!」
「ちょっと待って誰か……落ちる……(気絶)」
パニック発生。
教室の空気が一瞬でバラの香りに変わった(気のせい)。
だが——
当の本人は全く気付いていない。
「……なんかここ今日暑くね?」
「いや……あなたが熱源なんですよ……」
ファンクラブの中の誰かが小声で崩れた。
■ 3 レオン、ファンクラブの存在を知る(誤解)
アンナ代表が震える声で近づく。
「あ、あの! レオン様、その……学園祭の、かっこよかったです!!」
「お? ああ、石像壊したとこ見られたのか?
いやぁ、恥ずかしいとこ見せちまったな……!」
女子たち「恥ずかしいどころか最高なんですけど!?!?」
「いや、あれ普通に金かかったし……
店の人に土下座したし……」
ギャップが逆に刺さる。
ファンクラブ全員、胸を撃ち抜かれる。
「レオン様ぁぁぁぁ……!!」
「土下座する勇気まで尊い……!!」
レオンはさらに困惑する。
「……お前ら、なんで俺の周りで泣いてんだ?」
アンナ、意を決して言う。
「レオン様……!
わたしたち、あなたの……!」
(ついに言うのか……!?
本物の告白か!?
ファンクラブが公式に名乗りを上げる瞬間か!?)
「お、お前たち……?」
「あなたの……あなたの……」
「……あなたの……」
「養護委員会です!!!!!」
「………………は?」
教室の空気が爆発した。
■ 4 ファンクラブは“養護委員会”として偽装していた
「ちょっと! なんでそんな嘘つくの!?」
「言えるわけないでしょ、“ファンクラブです”なんて!!」
「レオン様にバレたら活動停止よ!!」
「うわあああああ!!」
混乱するファンクラブ。
レオンは完全に固まっていた。
「俺……そんなに怪我しそうだったか……?」
本人、全く理解していない。
「よーしわかった。
ありがとな。気使わせて悪かったな」
レオンは笑顔で頭を下げた。
その笑顔にファンクラブの誰かが倒れた。
「………………っっっ(悶絶死)」
■ 5 レオン、結論を出す
去り際に、レオンはこう言い残す。
「ま、なんだ。
応援してくれるのは嬉しい。
俺なんかでよければ、また祭りとか行こうぜ」
女子たち「えええええええッッ!!!!!!?」
ファンクラブ、全員昇天。
「れ、レオン様とデートの約束ィィィ!?!?」
「ちょ、これ歴史的事件!!!」
「書記っ! 早く記録して!!!!」
そして彼が去った後。
ファンクラブの誰かが震える声で呟いた。
「……ねえ。
レオン様……」
「もしかして……“気付いてないだけで”……」
「……めちゃくちゃモテてるのでは……?」
その言葉に、全員が深くうなずいた。
(何を今さら!?)




