──レオン、学園祭で散る(?)──
ざわつく学園祭のメインストリート。
人混みを縫うように、レオンが汗を拭って歩いていた。
「……いやぁ、ユウたち三人は花火に行ってんだろうけどさ……」
手に持った紙袋には屋台で買った食べ物が大量に詰まっている。
「なんで俺は……
毎回こう……
“空いた席を埋める係”みたいになってんだ……?」
孤独な背中である。
■ 1 “伝説の焼き鳥屋台”に挑む男
と、そのとき。
「さぁさぁ! 挑戦者求む!!
“炎帝焼き鳥チャレーーーンジ!!”」
マッチョな店主が腕を組んで叫んでいた。
「制限時間1分! 超激辛“ドラゴンズ・フレイム串”を5本食べきれたら——無料!!
さらに! “真の炎の戦士”の称号を授ける!!」
周囲からどよめきが起きる。
レオンの目がキラリと輝いた。
「……炎の……戦士……?」
その瞬間、脳内に響く謎のテーマソング。
(※実際はただの錯覚)
『レオン・ブレイカー、ここに降臨——!』
「……やる!!!」
店主「ちょ、決断早っ!!」
レオンは卓に座り、串を手に取る。
「いくぜ……“試練”ってやつを乗り越えるのは……男の宿命なんだよ!!」
「※ただの焼き鳥です」
1本目——
口に入れた瞬間。
*****激辛獄炎爆発******
「ぎゃあああああああああ!!??
なんだこれぇぇぇぇええええ!!?」
周囲の客たち:
「出た!今日4人目の犠牲者!!」
「いやこれは無理だって……人間の食べ物じゃない……」
レオン(涙目):
「ま、まだだ……まだ終わらん……!
俺は“炎の戦士”になる……!
ユウォォォォォォ!!!」
※仲間の名前を叫ぶ必要はない
■ 2 “地獄の巨大スイカ割り”と遭遇する男
瀕死になりながらも歩いていると、次のアナウンス。
「はーい! 筋肉に自信がある人、おいで!
“巨大スイカ割りコンテスト”の時間だよー!」
巨大スイカ。
デカい。
重い。
絶対割れない。
(つまり……燃える、ってことだな?)
また目が輝く。
「出る!!!」
「ちょっとお兄さん!? 顔辛さで真っ赤だよ!?大丈夫!?」
「大丈夫だ!!むしろ今なら気合が乗ってる!!」
棒を握りしめ、目隠しをして構える。
「いくぞ……!!」
レオン、全力のスイング!
──ガンッ!!!
観衆「石割ったァァァァァァ!?!?」
レオン「場所間違えたァァァァ!!!!」
スイカではなく、屋台の飾り石像を粉砕してしまった。
店主が青ざめる。
「お、おい兄ちゃん……あの石像……高かったんだよ……」
「す、すみません!!!!!」
その後、彼はしっかり弁償した。
■ 3 恋愛三角関係の隅で、悟りを開く男
祭りの端の石段に座り、レオンはどっかりと腰を下ろした。
「……俺……なにやってんだろうな……」
あの三人は、今ごろ花火を見ている頃だ。
「ユウ……お前の周り、なんであんなに騒がしいんだ……
エルザもリリアも……
俺の“青春ポイント”全部吸い取られてるんじゃないか……?」
遠くから花火が上がる。
「……おお……綺麗だな」
火薬の光が夜空に咲くたびに、レオンはひとり微笑む。
「ま、でも……あいつらが幸せならそれでいいか」
そして——悟りを開いたかのように空を見る。
「……そうだよな。
俺も俺で、楽しみゃいいんだ」
そう言って立ち上がると、どこかで女子たちの声がした。
「あっ、あの人スイカ割りの人じゃない?」
「え、めっちゃ強くない? かっこいい……」
「辛い串チャレンジした人でもあるよね?」
「すごーい!」
レオンの眉がぴくり。
「……え、もしかして俺、今日……
隠れ人気者……?」
肩が少しだけ誇らしげに上がった。
「よし。屋台……もう一周してくっか!」
ステップ軽く、レオンは走り出した。
なんだかんだ言って、
祭りを一番楽しんでいたのは、レオンだった。




