「放課後の三角関係」
放課後、ユウは研究塔の屋上で風に吹かれていた。
ようやく世界が落ち着いたとはいえ、学園は復興作業で忙しい。
「ユウ、こんなところにいたの?」
軽やかな声。振り返ると、リリアが息を弾ませて駆け寄ってくる。
「今日も補習、無事に終わったよ!」
「そっか、よかった」
ユウは微笑む。
その柔らかい笑顔に、リリアの心臓がほんの少し跳ねる。
……そこへ。
「なに二人でいい雰囲気になってるわけ?」
冷たい風とともに、エルザがひょこっと顔を出した。
「ゆ、ユウに用があるなら言いなさいよ。べつに、わたしが見張ってるわけじゃないけど!」
「見張ってるじゃん!」
リリアが即ツッコむ。
「べ、別に好きとかじゃないし! ただ……その……ユウが変な女に絡まれたら困るから……護衛……よ……!」
「完全に好きな人守る言い訳だよねソレ!」
「違う!!」
二人のワチャワチャにユウは苦笑する。
「……あの、二人とも。ちょっと静かに──」
「ユウはどっちが好きなの?」
「「──ッ!?!?」」
突然の質問に二人がフリーズした。
そして、同時にユウへ詰め寄る。
「どっちよ!? わたしよね!?」
「ちょ、ちょっとエルザ!? ユウは私の──!」
「いや、決めてないってば!!」
「……ほんと?」
「……嘘ついたら凍らす」
二人のキラキラ(ギラギラ)した瞳に挟まれて、ユウは後ずさる。
しかし。
「ねえ、二人とも……」
ユウはふっと笑った。
「僕は──二人とも、大事だよ」
「「……っ!!!!」」
恋心を見透かされたように、二人は顔を真っ赤にして固まった。
結局この日は、
リリアとエルザが両側から腕を奪い合い、
ユウが挟まれたまま夕暮れの廊下を歩くことになった。
──平和になった世界には、
こんな“放課後の時間”も戻ってきていた。




