サイドストーリー **エルザ**
◆氷の玉座に座る理由
エルザは封印される前、
世界一美しく、
世界でいちばん孤独だった。
「誰も私に触れてはならない。
私の存在は、世界を凍らせる」
自分自身にそう言い聞かせ、
感情を閉ざして100年、200年……
やがて900年。
世界が滅びようが、
文明が変わろうが、
エルザはただ、
“独りで在り続ける”ことしか出来なかった。
◆本当に欲しかったもの
エルザは誰よりも“感情”を求めていた。
・笑う声
・泣く声
・怒る声
・誰かに呼ばれる自分の名前
しかし、気持ちを持てば世界を凍らせてしまう。
だから、感情など不要だと言い聞かせた。
そんな彼女が、封印から目覚めた時――
初めて見たのがユウたちだった。
リリアが泣き、
レオンが叫び、
ユウが誰より必死に仲間を守る姿。
胸の奥で、
900年間封じ込めた“熱”がかすかに溶けた。
◆ユウと出会った意味
ユウはエルザにこう言った。
「君は……悲しんでいいんだ」
その瞬間――
彼女の頬に流れた涙は、
900年ぶりの、あたたかい滴だった。
(私……
泣いていいの……?
こんな私でも……
誰かに愛してもらっていいの……?)
知らなかった。
せつなかった。
嬉しかった。
それ以来、エルザは
ユウを本能的に守る存在になった。
氷でも冷気でもない、
“心”そのものを差し出す覚悟で。
◆今、彼女が求めている未来
ユウの新しい“理”が世界を包んだ夜、
エルザは星空を見上げ、そっと呟いた。
「……私は……
今度こそ……幸せになっていいの?」
900年の孤独の果てに、
一筋の恋が芽生えた。




