番外編(レオン視点)──今日も俺はツッコミ係──
深淵の魔女戦の“あの日”。
ユウが精神世界に引きずり込まれた直後。
現実世界の地下封印区画では……
「……よし、今日も俺の出番はないっと」
レオンは、真っ二つになった壁を見つめながら腕を組んだ。
「いや、おかしいだろ。
なんで毎回最終局面だけ“精神世界”なんだよ!」
誰に言うでもなく叫ぶ。
「俺だって! めちゃくちゃ戦えるのに!
何なら筋力だけなら学園で一位なのに!」
拳を握りしめたレオンは、
封印区画の前でウロウロし始める。
「でもユウの精神世界だから入れない……
俺の力、物理だから……」
その瞬間――
「レオン様~~~っ!!」
角を曲がったところから
10名ほどの女子生徒が走ってきた。
レオン・ファンクラブ(通称:レオファン) だ。
「きゃーっ! レオン様だ!!」
「今日も凛々しい!!
戦場に咲く金色の騎士!!」
「いやそんな大層なもんじゃねぇから!!」
レオンは全力でツッコミ。
「レオン様、戦わないんですか!?
めちゃくちゃ強いのに!!」
「あー……その……精神世界で戦ってるからな……
俺、入れなくて……」
「え、じゃあ応援してるだけ?」
「かわいい!!」
「かわいくねぇよ!!」
しかし彼女たちは聞いていない。
■ 1 レオファン vs 封印区画(無謀)
「レオン様!! 封印区画の結界を破って
ユウ様たちを助けましょう!!」
「待て、やめろ、どこ行く!?」
女子生徒たちは結界に向かい――
「せーの!!」
ドゴォォォォォン!!!
結界が微動だにしない。
「……痛い……」
「腕折れるかと思った……」
「レオン様の勇気に触れてみたかった……」
「なんで俺の勇気を実演しようとしてんだよ!?
てか普通に危ないからやめろ!!」
レオンは全力で止めに入る。
「中ではユウが命がけで戦ってる。
俺らは……信じるしかないんだよ」
そう口にすると、
女子たちは静かになり――
「レオン様……」
「不器用で……男前すぎます……」
「結婚して!!」
「しねぇよ!!」
■ 2 本気で“裏方”を努めるレオン
「しゃーねぇ。
俺は俺の役目をやるか」
レオンは指を弾くと――
《雷導式・結界強化》
封印区画の入り口を強化した。
「万一魔女の瘴気が現実に溢れたら、
俺たちが食い止めるしかない。
……ユウが“戻る場所”を守らなきゃな」
レオンは静かに腰を下ろし、
入口を見守った。
「……にしても、
リリアとエルザ……行っちまったな」
寂しそうに呟く。
「結局あの二人は……本当にユウが好きなんだよな」
胸の奥がチクっと痛む。
「……ま、俺の好きな奴らが幸せなら、それでいい」
少し照れたように笑い、
レオンは手を握りしめた。
(戻ってこいよ……相棒)
■ 3 ユウたち帰還! レオンの気持ちは…
「光が……!」
封印区画全体が眩しく光り始めた。
「ユウ!! リリア!! エルザ!!」
レオンは飛び込むように駆け寄る。
三人はゆっくりと目を開け――
「ただいま、レオン」
「戻ったよーっ!!」
「……心配かけて、ごめん……」
涙をこぼしながら抱きつくリリアとエルザ。
その光景を見たレオンは――
「……あーもう!!
マジで!! 生きててよかった!!!」
三人を抱きしめるように両腕を広げる。
(……ほんと、無事でよかった……)
ユウは笑った。
「ありがとう、レオン。
ずっと守ってくれてたんだね」
「ばっ……やめろ照れる!!
俺はただ、結界の前で吠えてただけだ!!」
リリアが笑う。
「そんなレオン……大好きだよ!!」
「お、おお!?(動揺)」
エルザまで微笑む。
「……頼りにしてる」
「や、やめろぉぉぉ!!
なんで本番より裏方のほうが恥ずかしいんだよ!!」
その叫び声に、
レオファンの女子たちが飛び出してきた。
「レオン様ぁぁぁぁぁ!!!」
「抱きしめてくださぁぁぁい!!」
「待て落ち着け変態集団!!」
「レオン様~~~!!」
「キャーーーー!!」
ユウたちは大笑いした。
(……やっぱり、こいつらがいると
学園って、賑やかで楽しいな)




