図書館。方策。解剖。原因。
ああ良かった。まともな話し合いが出来そうだ。
まだ暗くなるような時間ではないが窓際の木々は伸び放題になっていて差し込む光は少ない。薄ら寒いように感じられて僅かな隙間風も気になる。
対面に座るアルマは腕組みをし、小さなうなり声を漏らしながら自身の考えを述べてくる。
説得して協力者を増やす、この学園にとどまり続けるのではなく街中まで逃げる、朝になると振出しに戻るのであれば夜通し起き続ける。
この終わらない『今日』から逃れる為の方策を提案されるが、アルマがまともで無い時にどれも試したものばかりだ。二人で協力して解決しようとした事もあるが何も成果は得られていない。
疑問も持たずただただ習慣と惰性に従い、知性のない動物と変わらなくなっている学園の人間達。もし専門の知識があればどうしてそうなっているのか脳を解剖して調べる手があるのではと、アイデアを呟く。
「そんな事できるわけないでしょ」
「どうせまた『今日』になって解剖前に戻る」
「そういう問題では――、それに解剖か何かがきっかけになって『明日』が来たら!」
それはまずいことになるか。
アルマは厳しい目つきをしている。
アルマから目をそらし、天井を見上げる。梁のすぐ脇にある鳥にも天使にも見える染みは以前と変わらないままだ。そこに変化がないのは不思議とは感じない。
それから脱出や解決方法ではなく、こうなってしまった原因を探るのがいいのではという話になった。期待は持てそうにないが。
何らかの呪い、悪魔の仕業、集団幻覚や近くに住むという少し頭のいかれた科学者の実験結果など、疑うのはいくらでもできるが根拠も何も見当たらない。
「一番『自覚』があるのは君だけど、何か心当たりはないの?」