毒殺。昼下がり。精神の継続。
「毒を盛るのは――、――ツテが――」
「そこまでは――いや、そうするしか――」
声を潜めているのだろうか途切れ途切れにしか聞こえないが、不穏な内容であることは疑いようがない。三角関係のもつれが原因だっただろうか。今まで聞き取れたのはその程度のくだらない内容だった。
カーティスがあのようにみっともなく酔いつぶれているのは知らないみたいだ。知っていれば二階の自室へ連れて行って介抱すると思わせ、階段から突き落とせば事足りると気づくのに。
カーティスは輝いているような人間だった。泥酔とは無縁な頑強な肉体と精神、人との関わりも自信に満ちていてトラブルとも無縁に見えていたが。
ため息をつくしかない。
馬鹿馬鹿しいと思いつつこの時間になると習慣としてここにきてしまっている。
それが何ともイライラする。
*
図書館。
アルマは嘆いている。
「課題はしないのか」
そう尋ねるとアルマの表情は険しくなる。
「そんな事している場合じゃないでしょ?」
念の為の確認だ。目つきからもただ習慣に流されているか『自覚』があるのかは大体分かるが。
「――あれから何日目?」
「僕の一方的なうぬぼれで無ければ、最後に君と有意義な会話をしてから10日分は経っているはずだ」
「ああ、やっぱり。……精神が続かない。どうしても途切れてしまう。あなたの言う通り真っ当な思考力もなく下等生物みたいにただ動いで生きているだけに」