昼食。昼下がり。協力者。
昼食の時間。
状況としては仕方がないが、飽き飽きしながらも全く同じパンとチーズ、ビーンズに味の薄いローストチキンの昼食を摂る。
昼食後中庭に出る。元々の目的は気分転換だったろうか。今は全くその目的は果たせなくなっている。
「おや?」
校長の声がする。
声の方向では校長が自らハシゴと台を重ねて二階の窓の修理をしている。赤茶色のレンガの壁に手を這わせてバランスを取る姿は不安定にしか見えない。
あいさつをし、社交辞令レベルの雑談を交わす。
「校長先生自ら大変ですね」
「人手も予算もないものでね。それにほら、きれいになった上に安全になる。喜ばしいではないか」
中身のないどうでもいい会話だが、豊かな髭を蓄えながら子供の様な屈託のない校長に合わせ、質の低い笑顔を作る。
なぜ繰り返す日常の中でこのような無意味とも言えるやり取りをしに行くのか?
そうしなければ校長が絶命する事故が起きるからだ。
ここであいさつをしなければ、会話を交わさなければ、校長の手を一時的に止めなければ――、この後の事故が防げない。
ただしそのどれが本当に必要なのかは解明できていない。
関心を持たず漫然と繰り返すだけでは何も積み上がらないのだ。
*
昼下がり。
睡眠不足の様に頭がぼんやりとしていて集中できない。
ああ、気を抜くとこうだ。いつの間にか普段のルーティンを何も考えずにこなすだけになってしまう。
今も意識を保ち、明確な意思を持って行動しようとはしている。しかし大した目的があって向かっているのではなく、ただ習慣のまま図書室に足を向けていた。
無為な繰り返しをしているのは分かっている。けれどそこから抜け出す方策は一向に見つからない。
脱出の努力は一通り試したが。それをしているのは僕だけではない。
今の時間でも薄暗い図書室。そこに一応の「協力者」はいる。確率は高くないがそこにいるアルマは僕と同じ様にこのおかしくなった『今日』の解決策を探している。
だが――。