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昼前。結果。

 昼前。

 応接室に立ち寄る。

 清掃の途中なのか窓際に数は少ないが豪華な調度品と、瓶やクリスタルの器、ガラス細工などが無造作に並べられている。その結果を知っているとまるで何かの作為や悪意すら感じられる。

 透明なその物体により光はそれぞれ歪み拡散し、時には過剰なほどに集中している。

 鬱陶しい雲。霧の立ち込める暗い天気。しかし一時だけ晴れ間が射す。その僅かな時間での出来事だ。

 ボヤ騒ぎ。

 不用心と断ずるのは簡単だが、容易に予期できるものでもない。

 ただその結果がもたらすものは、少なくともこの建物の中では最も格式と威厳のある空間の損壊だ。

 それを嫌い、頭がまともに動く限りはここに立ち寄り大雑把に片づけに来る。


「どうかしたのか?」

 応接室の花を交換しに来たルイスに、

「無用な混沌は災厄の火種になる」

 とだけ返す。

 これだけでそれ以上口出ししてこない事は知っている。


 念の為カーテンを引いていつ強まるか分からない太陽光を遮る。本来であればそれだけで用が足りるだろう。

 しかしそれだけでは何者かがカーテンを開けてしまい、不幸な結果を回避できない事も知っている。


          *


 自室に戻ろうとする頃にはしっかり日が暮れている。

 いつものように自室の扉の少し前の床、異音の出る部分を避けて通る。傷んでいるのだろう。

 真鍮製のノブを回して自室に入る。

 二つ隣の部屋に入ろうとはしない。


 初めてその騒ぎを耳にした時。恐らく初めての『今日』だろう。

 ただならぬ様子を感じて二つ隣の部屋をノックし血を流している女性を目にするも、入室も、事情確認も女性の治療も部屋の主である上級生に拒否された。


 騒ぎが起きるのも、入室拒否をされたのも朝だった。

 この時間に女性がそこにいるとは思いにくい。

 とっくに逃げ出しているのか、それともまだ閉じ込められているのか、それとも死んでいるのか

 いずれもあり得るとは考えている。

 すでに結果は出てしまっているだろう。


          *

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