表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  作者: いづる
3/3

外へ

 肩甲骨に重さを感じながら羽を思いきり広げて、はばたいてみる。最初の頃に比べ、自然に羽ばたきができるようになっていた。外に出たい衝動が沸き起こる。


ガッ、ガツン

(うっ、ううーん)

ガッ、ガッ、カッン


何かがぶつかる音?!がして目が覚めた。


(また、あの夢だ)と思ったと同時に、まだ音がしている所を探し出す。


その音は窓からだった。


何かが、窓にぶつかっている?


外から誰かが、窓をめがけてものを投げている?!


(何とかしなきゃ。どうしたら、いいの? )咄嗟にカバンの中を引っ掻きまわす。それはあった。

それから高さがある窓の下方に、少し重さがあるパイプベッドを、ズルズルと少しずつ引きずるようにして動かした。


◆◆◇◇◇◆◆◇◇◇


 三階建ての洒落た造りの家の周りに、同期の斎藤 良一と、先輩の中原 里美がいた。


玄関先に近づきチャイムを鳴らし待つが、出てくる様子もない。

たまたま電話に出た愛莉の様子を不審に思った里美が、良一を誘い健人の家まで訪ねて来ていた。


「絶対、変よ。相変わらず携帯にも出ないし。あのシュレッダー事件で辞めてから、すぐに松田 健人からの結婚発表があったものね。だけど、あの内気な娘に迫られてまいったよって言っていたけど‥どう考えてもおかしい」


「絶対ありえないだろう。追いかけまわしてたのはあいつの方じゃないか?」


3年間見ているだけの片思いをずっーと二人は愛莉から嫌になるほど聞かされていた。


二人はひっそりと建った大きな家の周りを、ゆっくりと歩き周り始める。

「あそこの窓、立て付けじゃない?」里美の声で2階にある窓を見上げた二人は、立て付けの窓に違和感を覚えた。


良一がおもむろに石を投げはじめた。

しかし、何の応答もない。


「 やっぱり、先輩の考えすぎじゃない?泣いてたのは、結婚後のマリッジブルーかもしれないし。実家に帰っているかも」と喋りながら帰りかけた時。


「良一。ま、窓」と興奮気味の里美が指さした方向を見ると、先程までなかった文字がみえていた。


《HELP》小さな窓いっぱいに書かれた赤い文字。

二人は顔を見合わせた。


◆◇◇◇


そこからは急展開にことが進んでいった。駆けつけた警察官によって、林野 愛莉は保護された。

鍵がかけられた部屋に監禁されていたのだ。

頑丈な扉を開けたものが見たものは、羽を広げた一羽の大きな鳥だったと数人の警察官は口を揃えて言う。

一瞬の出来事だった。

その後保護された時は憔悴が激しかったが、両肩を支えてもらいかろうじて頼りなく階段を降りてきた。


玄関先で良一と里美の顔をみた瞬間、愛莉は安心したのか死んだように二人の方へと倒れ込んできた。


その同時刻 、通報を受けた近くの警察官によって松田 健人は直ちに監禁罪で捕まった。今までの仮面は脆くも崩れ去っていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ