唐変木
モニカ バージェス公爵家に養子に来た女の子。モブ令嬢。
ど田舎育ちでお金にシビア。
シエナ このゲームのヒロイン。天が二物以外も与えまくった
完璧な少女(モニカ談)
リチャード 第三王子殿下。今のところモニカの婚約者。
アリアドネ 王女殿下。王妃様の2人目の御子。
クリス 王太子殿下。王妃様の1人目の御子。王妃様との仲があまりよくない。
今日は朝から公爵夫人に昼ご飯を御呼ばれしていた。どうしたんだろう?昨日の話だろうか。もうシエナ様を王宮に上がってはいけないという話だったらどうしよう。困る。
「ああ来たわね、モニカにシエナちゃん。」
公爵夫人はいつものように優雅でやさしく微笑んでいた。
「お招きいただきありがとうございます。」
「こんにちわ、おばさま!」
うん、元気でかわいい。
「二人ともこちらに来て。」
席次はどうなるんだろう。侍女長を見ると、私は公爵夫人の目の前の席に、シエナ様は公爵夫人の隣の席に通された。ということは私のほうがシエナ様より上座なんだが。居心地の悪さと周りの視線の痛さを感じた。特に侍女長!あなたが案内したんじゃないの。
「さあご飯にしましょうか。」
「はい。」
「はーい。」
まだマナーに疎いシエナ様に、公爵夫人がつきっきりで教えている。私もここに来たばかりのころああいう風にして教えてもらった。うまくできなくてもゆっくり優しく教えてくれたから私は公爵夫人が大好きなのだ。ほほえましく見守っていると、公爵夫人と目が合った。
「モニカはもう完璧になったわね。えらいわ。」
「いいえ、公爵夫人様がやさしく教えてくださったおかげです。」
「ふふふ、ああ、そうそう。アリアドネ女王殿下からお手紙が来たのよ。」
「あらそうなんですか。わたくしも昨日のお礼のお手紙を送らないといけません。」
「お礼のお手紙?アリアドネ女王殿下からは謝罪のお手紙だったわよ。」
「謝罪、ですか?とても楽しいお茶会でしたし、シエナ様も第三王子殿下に遊んでもらってとても楽しかったようですのに。そうですよね、シエナ様。」
「昨日のこと?とっても楽しかった。また行きたい!御池に入ってザリガニ三匹も取ったんだから!」
公爵夫人は笑顔のまま一瞬動きを止めて私を見た。私はこくりと頷いた。
「昨日は楽しかったようでようございました。わたくしも第三王子殿下の遊びにはついていくので精一杯でございますので、シエナ様が一緒にきてくれて、大変、大変助かりました。」
私はインドア派なので第三王子殿下のアウトドアについていくのは結構かなりしんどい。部屋の中で本を読んでいたい。座学をしているほうがはるかにましだ。私の顔をじっと見た公爵夫人は少し笑った。
「そうなのね…。リチャード様は何かおっしゃっていた?」
「いいえ、特に何も。あ、アリアドネ様のところまでエスコートしていただきました。」
「それだけ?せっかくおめかししていったのに?」
「ええと、青いドレスは…」
似合わないと言われたとは、黙っていたほうがいいだろう。
「兄上の貴色なので、着てこないほうがいいと言われました。」
「あら、なんでかしら。あの日はアリアドネ女王殿下に招かれたのに。リチャード様の婚約者として王宮に上がったわけではないから何を着てもいいはずよ。」
心なしか公爵夫人の言葉尻が怒っている。
「ふう、大方、青っぽいワンピースに頭に来たんでしょうね。モニカが気にすることではないわ。狭量なリチャード様が悪いのよ。そんなんでモニカを幸せにしてくれるのから。」
何とも言えずにあいまいに笑うことしかできなかった。聞く人が聞いたら不敬罪で捕まるのではないかと冷や汗を流す。
「わ、私は平気ですし、あ、次回からもシエナ様が一緒に来てくれたら心強いです。」
「婚約者とのお茶会なのになんで別の女の子を連れて行くのよ。」
公爵夫人に呆れてように言われて、初めて気が付いた。しかしだ、二人きりだと毛虫を連れてこられたりするし、無茶な遊びをしたがるし、レオン様は見て見ぬふりするし、ロイ様は入り口付近で遠いし…
「だめですか…。」
本気で落ち込む。シエナ様がいればきっと、第三王子殿下はシエナ様と遊んでくれて私のことは放っておいてくれる。その間にロイ様をいろいろけし掛けたかったのに。
「私も行きたい!お兄ちゃんたちと遊ぶの!」
「も~公爵様と相談してみるから。モニカが二人きりが嫌ならしょうがないわね。これはリチャード様の落ち度だわ。そうね、期限を決めましょう。」
ペナルティも必要だわ、と一人ごちる公爵夫人は眉間を抑えている。
私は申し訳ありませんと謝ることしかできなかった。
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「お兄様はまだご結婚されないの?」
アリアドネ王女殿下はけだるげに王宮の最奥、後宮の中庭にいた。王妃の宮の子供たちが気軽に集まれる場所だった。
「レスト帝国の王女様がアタックなさっているって聞いているわ。ラペットも気が気じゃないでしょうね。婚約者が煮え切らないんですから。」
ピリピリしているのは気のせいじゃない。
「レスト王国の王女殿下を受け入れなかったらきっと次はお前をくれと言ってくるぞ、あそこは。」
「そんなの言わせておけばよろしいのよ。私はお嫁に行ってもかまいませんわ。国のためですもの。」
いつも快闊なアリアドネ殿下は、増してキレキレだ。ここが兄弟しかいないという気安さからだろう。目の前の金髪碧眼の柔和なクリス王太子殿下に適当に手を振った。
「そんなこと可愛い妹にさせないよ。私が婿入りしたらこの国は頼んだよリチャード。」
「なんでそこで俺に来るんですか。めんどくさい。そういうことを言ってくるのは母上だけで十分だって何度言ったらわかるんです?そんなのディーン兄上に言ってくださいよ。あの人は喜んで婿に行きますよ、なんたってレスト王国の王太子殿下は体が弱く、王女殿下の婿が後継ぎだってもっぱらのうわさでしょう。王太子になりたくて仕方ないディーン兄上は食いつくでしょう。側妃様は納得しないでしょうが。」
本当に心底面倒くさそうに言うリチャード殿下は女性もののドレスの最新カタログから目を離さずに言い放った。
「ふ~ん、僕はレスト王国の王太子殿下が体が弱いってビックニュース知らなかったな。どうしてそう思ったのかな?」
クリス王太子殿下は努めて優しく態度の悪い弟に聞いた。
「城下に遊びに行った時に…、あ、ちゃんと許可は取っていったんですよ!母上に!で、商会に行って他国の王宮で下したものを聞いたときに。最近のトレンドとかつくそつまんない物の後に教えてくれました。結構多めの珍しい薬草。しかも高い。あそこの両陛下はあんまり健康に気を使ったりしないのに急に手に入れだすなんて怪し過ぎたので、とうとうあの爺がくたばるのかと思ったら姿が見えないのは王太子のほうだったってだけです。」
「なるほどねぇ。その時期が僕に求婚してきた時期と被ってるってことね。」
「ほかにもあるけど大まかにいうとそんな感じです。あの、お姉さま、こういうイヤリングとか入れるやつを送ったらモニカは喜んでくれますか?」
テーブルの上に今まで持っていたカタログを広げた。そこには可愛らしいジュエリーボックスが様々並んでている。アリアドネ殿下はそれを一瞥するとつまらなそうにスプーンをいじりだした。
「特に大事なものや、お気に入りを入れるんならいいんじゃない?ただね、公爵夫人とか王女とかだと、そういう細々した物は倉庫がいるレベルなのよ。リチャードとの結婚式につけてほしいネックレス指輪等々宝石一式を、揃いのジュエリーボックスに入れてそれごとプレゼントするのがいいわ。管理しやすいから。それまでに送った腕輪ーコとかを入れてね、と言うんならある程度の大きさにしてね、使いやすいから。多分モニカは使いやすくないと使わずにしまっとくタイプだわ。」
「結婚式…。」
そう言って固まった弟を可愛らしく見守っていたクリス王太子殿下はくすくす笑う。
「こんなに優秀で頭のいい弟も婚約者への贈り物に悩んでいるって、世のご令嬢に知ってもらいたいよ。ラペットの不機嫌の原因がわからない僕の気持ちも…。」
「お兄様はさっさとプロポーズすればよろしいの。気持ちが通じ合って何年です?あまり待たせないでください、女性を。」
「謝りたいのにプロポーズしたら余計断られるのでは?原因がわからないのに謝られたっていい気持ちにはならないでしょ?」
「お兄様はちゃんと乙女心をわかっていますので心配しておりません。世の中の唐変木よりはだいぶましです。後は踏ん切りですってば」
「ホント?信じるからねアリアドネ!」
「ええ、信じてくださいまし。問題はこの唐変木ですわ。その話がしたくて二人を呼んだんです。」
アリアドネ殿下は目の前の弟、リチャード殿下にビシリと指を向けた。
「なんで、公爵家からこんな手紙が来るんでしょうね、要約すると、これからはモニカと二人きりで合わせることは一時やめてシエナ嬢も混ぜて三人でお会いしましょう、って内容でしたよ。また、王宮に行くだけでは様子が見られないので半分は公爵邸にいらしてくださいですって。」
「モニカの家に行っていいの?」
嬉しそうなリチャード殿下とは対照的に一気にお通夜のようになってしまった上二人は、はあ、とため息をついた。
とうとう来たか。公爵閣下の堪忍袋の緒が、切れてしまった。小さいころから確実に成長していると思っているのだが、なぜかモニカに関しては子供のころのまま育ってしまった。仲のいい女友達、婚約者、そういう認識は少しづつ芽生えてはいるし、本人だってモニカを大切にしたいんだろうが、如何せんクソガキムーブが抜けないし、結婚式のことを考えて照れるくらいにはモニカのことが気に入っているのにそれが一切相手に伝わっていない。
「なんで社交辞令の裏の言葉は読み違えたことないのに、この手紙の裏は読めないのかな?僕が読んであげるよ。
うちの可愛い娘が、もうリチャード様との婚約に自信がないって言ってるから、今度養女にする予定のシエナと三人でお茶でもしたらいいんじゃない?こっちは婚約者をシエナに変えてもいいんだよ。後継者問題さえ何とかなればいいんだから。それに王宮だと私たちの目が届かないので公爵邸でのお茶会を増やしましょう、なに、娘がいじめられていないか監視するだけだから。邪魔なんてしないよ。ただ私たちが毎回同席して様子を見るだけさ。
って感じだね。公爵辛辣ぅ!」
クリス王太子殿下がやさしい声色で語った内容のせいで、途中から色をなくしたリチャード殿下はテーブルに突っ伏した。
「私から補足すると、公爵夫人からシエナ嬢を養女にという話は公爵は考えていないんじゃないかとは書いていたわ。」
「それは本当ですか?」
「でもね、モニカはそうなってもいいって言っていたわ。シエナ嬢を養女にしてもいいし、婚約解消してもいいって。公爵が好きにしてって感じよ。」
「解っ…、でも公爵は養女にする気はないんですよね。じゃあ大丈夫ですよね。」
「さあ、どうかしら。モニカとシエナ嬢とどちらがあなたと相性がよさそうが見極めるんじゃない?」
「もう婚約して2年もたつのにいまさら相性とか…。」
「婚約なんて解消すればいいのよ。まああなたにシエナ嬢がなついているって書いてあるからね、そういうのも見るんじゃないの。」
「なつかれても困ります。」
「でもモニカはシエナ嬢のことを大事に思っているわ。あなたが冷たくすると印象は悪いだろうし。」
「どうしたらいいんです?」
「これから心入れ替えて、婚約者にちゃんと大事にしている気持ちを伝えるのよ。言わなくて伝わると思ってるの?それは甘えよ。許してくれると思っているの?それ、大抵遅いわよ。反省は早ければ早いほどいいのよ。」
「なんだろう、僕にも流れ弾が…。」
胸を抑えたクリス王太子殿下は顔色悪くうつむいた。背中からカツンカツンとヒールの音がやってきた。三人は一気に背筋と居住まいを正した。
「リチャード!公爵家からの生意気な連絡見た?お母さん腹が立ってもぅ!」
「お母様公爵家のこのについてはもう少し声を抑えてくださいまし。」
アリアドネ殿下が硬い表情でたしなめたのはこの国の王妃陛下だ。リチャードに抱き着いているが、リチャードはもがいて必死に抵抗していた。
「放して下さい。私は公爵家に行くのは何ら問題ありません。」
「なんで問題ないの、もぅ、やっぱり公爵家じゃリチャードをあげるにはもったいないのよ!ねえ、今からでも婿入りできる王家探すからそっちに行きましょうよ。」
「母上、リチャードを外の王家にやるのは損失が大きすぎます。」
「はあ~あなたは黙ってなさいよクリス、じゃあ国内であなたの治世になった時のためにリチャードを飼い殺しにする気なのね?あのネチネチ公爵の下で!だったらあなたが公爵家の跡取りになりなさいよ。そのモニカ、でしたっけ?遠縁の娘と結婚すれば?あなたよりリチャードが優秀だからって、嫉妬しないで!絶対王位にはリチャードが付くべきだったの!」
「はあ、嫉妬していませんし、私がモニカ嬢と結婚したら、リチャードがかわいそうでしょう。」
「ちょっと母上、モニカは私の婚約者ですって!」
「そうだ。最近もう一人養女が来たって話じゃない。その子にしなさいよ。公爵の姪でしょ!それなら何とかお母さん頑張るから!」
「頑張らなくて結構です。」
かなりの塩対応に引き下がらない母上に三人は黙って嵐が過ぎ去るのを待っていた。昔からそうなのだ。なぜかクリス王太子殿下には塩対応で、アリアドネ殿下が生まれたときはそれはもうかわいがった。そして次男のリチャード殿下がお生まれになって王妃陛下はフィーバー状態だった。身体的な特徴として、クリス王太子殿下は国王陛下譲りの美しい青色の瞳で、下二人が王妃陛下譲りの緑色の瞳というくらいだった。母親の愛の偏りは、しかしその弟妹たちによってしっかりと埋められ、周りの人たちの助力もあってクリス王太子殿下はこれまた奇跡のようにまっすぐ優しい青年に育った。アリアドネ殿下もリチャード殿下もこの優しい兄が好きだった。こんな母でも見捨てずにいるのが本当に奇跡だ。
「何かあったら何でも言ってね、リチャード!」
そういって嵐のように去っていた。これはもう災害だ。三人はいなくなった母を見送り、テーブルの上にはあー、と突っ伏した。
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公爵家の敷地内にそこそこの大きさの別館がある。庭でつながったそれは、公爵領本領の屋敷を模して造られたものだ。この別館は養女としてやって来た私が落ち着くという理由でいつもいたため、今は私の屋敷となっている。本当のところは、養女に来た当初は本邸で、公爵夫婦とともに住んでいたのだが、あまりの緊張に夜眠れなくなってしまい、昼間突然倒れる事態になり、それを重く見た公爵閣下が別館で療養させたのだ。公爵夫婦と離れたことにより、落ち着きを取り戻した私はようやっと別館なら眠れるようになり、それが今のまま続いていた。
正直本邸の侍女長初め、侍従長にもよく思われていない。当然だと思う。その時のごたごたで公爵夫人まで体調を崩してしまったのだ。遠縁の娘のせいで!しかも王都本邸の大きな別館までもらってしまった。本当に申し訳ないと思う。しかしその時公爵夫人が夜通し看病してくださって、私はより一層お二人に仕えよう、と誓いを新たにした。
私は春雨の降る回廊を、本を持って歩いていた。領地経営について学ぶことは多かった。大公領のことはまだまだ勉強中で、毎年夏から冬まで領地に行き公爵様から少しづつ教えてもらっているところだ。お手伝い、まではできていないと思うが解ることは着実に増えて来た。
そういえば第三王子殿下とシエナ様がご結婚した場合、私はどうしよう。公爵領のついては経営方針まで知ってしまっているし、田舎に返してハイ終了、とするかと言われればしないと思う。公爵様のことだから末席でお仕事のお手伝いなどさせてくれるかもしれない。公爵夫人のお手伝いとかだったら最高だ。そうやってお金を稼いで、暮らせたら…そうなると侍女長と侍従長に邪険に扱われそう。そこそこお金が溜まったらやっぱり田舎に帰ろう。
そんなことをとりとめなく考えていたら後ろから声がかけられた。この声は…やっぱり侍女長。
「こちらのお手紙が来ておりました。」
本邸で仕事をしているはずの侍女長が何で別館に?と思いながら礼を言って受け取った。印字は王宮だ。差出人は書いていなかったので急ぎだと悪いな、と、一番近くの書斎に駆け込んだ。後ろから侍女長がついてきている気配がするが、気にせずに封を開ける。
差出人は王妃陛下。
王妃陛下と言えば今まで二、三しか会ったことがない。あまりよく思われていないのは感じていたがこれは…。
次回のお茶会の時に会いたい。
ふむ、手紙の出し方的に私にのみ伝えてきたようだ。しかも後ろで待機している侍女長は、これは王妃陛下派と考えていいだろう。
「侍女長、少し待っていただけますか、今お返事を書きます。」
「口を開いている間があったら、返事を書いたらいかがですか。」
「はい。」
持っている中で一番上等な封筒とインクで、慎重に言葉を選んで書き上げた。でもきっと了承の返事しか期待されていないのだろう。何の用なんだろう、怖い。出来上がった手紙に封蝋を押し、侍女長を見上げた。
「封筒の補充をお願いします。後手紙も。」
「かしこまりました。」
扉の外に出てふうとため息をついた。王宮行くの嫌だな。しかし今度から公爵家と交互に行くことになった。つまり半分は本邸で無茶な遊びはしない、と思われるのだ。よかった何とかなりそう。どっちにしろ夏から冬にかけては公爵領の本領邸に行くのだ。そうしたら今度は新年のあいさつまで会うことはない。王妃陛下にも、第三王子殿下にも。窓を見ると雨に加えて日も落ちて、薄暗い本邸にぼんやりと灯りが付き出した。あそこには公爵夫婦とシエナ様がいる。今になってもまだ思う。別館に来てよかった。毎日あのキラキラの方たちと一緒にお食事とか考えただけで緊張する。それに今はシエナ様もいる。それこそ絵画のような光景に違いない。そういえば夏の本領邸はシエナ様はどうするんだろう。一緒に来るのだろうか。そうなったらヴァケーションを一緒に!?楽しみで仕方ない。
また本を抱えなおし、図書館へと歩き出した。勉強の続きをしなくては。ふいに第三王子殿下の顔が思い浮かんだ。あの人はああ見えて勉強はできるんだよな。原作でも常に学年トップだった。もし将来公爵閣下の元で働くとき、次期公爵である彼もいるかもしれない。これは、もっと気合を入れて勉強しなければ。勉強の成績くらい良くなかったらそれこそ公爵閣下に呆れられてしまうかもしれない。今はまだ子供だからそんなことはないと思うが、当初の後継者の嫁という目論見から外れた私のことを捨てないかと言われればわからない。やはり勉強だ。社交界も苦手だがやるしかない。捨てられないために。