7話 ノウティボーイ
シェアハウスではプライバシーが守られず、同居人に秘密を知られてしまったりする。ワイの秘密はケイコに、ケイコの秘密は皆に、そこへもう一人の同居人が驚きの姿で帰宅した。
シェアハウスでは生活音などでプライベートを遮られることもあったりする。
ワイは隣の部屋がケイコが暮らしていた。
ある日ケイコが話しかけてきた。
「私、シンジさんの秘密知ってるよ」
「えっ⁉」
なんだ?怖いなぁ
「シンジさん部屋でよく歌を歌ってるでしょう。うふふ」
「あ、ああ。そうね」
ワイはCDプレーヤーをイヤホンで音楽を流しながら小声で歌っているのだが、気づかれていた。
ぬぉぉぉ 恥ずかしい。
ケイコにはコロンビア人の彼氏ゴメスがいて、ちょくちょく部屋に遊びにきていた。そのたびにフライパンや鍋などは使いっぱなしで長時間放置されていた。
そして夜になると二人でお楽しみ会が始まるのだった。
ケイコの喘ぎ声が大きくて何もできなくなってしまっていた。
翌朝、ゴメスが帰り、ダイニングでケイコと会うと、
「シンジさん、やっほー」
むむむ、騒音なんとかしてくれって言いたいけど言えないなぁ。
そこへ大家のクラウディアがきて、ニコニコしながら、
「ケイコ、アン、アン、アン!」
と言って庭に行ってしまった。
ある日シェアハウスにいるとケイコが慌てて声をかけてきた。
「シンジさん大変よ。マツさんが襲われたのよ!」
「えっ? 誰に?」
「それがよくわからないけど、子どもみたい」
「子ども?」「もうすぐ帰ってくるみたいよ」
「なんで子どもに?」
30分ほどすると頭に包帯をグルグル巻にされた格好でマツが家に入ってきた。
「いや〜まいった、まいった」
「マツさん大丈夫?」
「ああ、12針も縫ったが、もう大丈夫だ」
「何があったの?」
「公園の近くの公衆電話で話していたのだが、側でたむろしているガキどもと目があったら、急に襲いかかってきて、ビール瓶で殴られて、血が吹き出したんだ」
「え〜、どうして?」
「わからん。俺は彼女と電話で話してたんだが、キョロキョロと何度か奴らを見たのが気に入らなかったのかもしれん」
「たったそれだけで、ひどいわ」
「ハーバーシティでも治安悪いところがあるんだね」
「ああ、夜はどこも危険だよ。ジャパンとは違う。ちょっと休むわ」
そういうとマツは自分の部屋に入り、寝てしまった。
しばらくするとクラウディアが帰ってきた。
「マツさんが襲われたの」
「マァ、ヒドイ、ダレニ?」
「子どもです」
「コドモ⁉ノウティボーイ!!」
「瓶で殴られたそうです」
「ナンテコトデショウ、アア、カミサマ」
ショックを受けたクラウディアはそろりと部屋に戻っていってしまった。その数分後、飼い犬のキャッシュが夜空に向かって吠えだした。
シェアハウスの住人によもやの事件が起きたことで今後の雲行きが怪しくなっていくのだろうか。