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2話 テキトーな仕事

異国のハーバーシティでの生活が始まり、サーティンアベニューのカラオケ店の仕事は二日目となり、尾張出身の長身の男と一緒に働くが、この男もテキトーだった。

ワイのカラオケ店のバイトも2日目となり、この日は尾張出身のイナ君という長身で天然パーマで顔が赤く目の細いワイと同じ歳の男と一緒になった。


「よろしく。ここの仕事はテキトーでいいよ」

「え?あ、はい。よろしくお願いします」

「カモ社長が売上の大半もってっちゃうから」

「カモ社長? そうなんですか?」

「あのオヤジ、すっとぼけてるからさ。カモがネギをしょってるみたいに俺らの給料安くしてこき使い、自分は黄色のホールデン車乗り回してんだぜ。タコ社長というか、カモ社長。真面目にやらんでええ」


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「部屋はどーしてんの?」

「えっと、そろそろホームスティが終わるのでシェアハウスを探しています。イナ君は?」

「あー、バックパッカーズ暮らしだよ」

「へぇ、そうなんですね。どこのですか?」

「キングアンドクイーン駅の近く」

「たしかペプシの看板がある駅ですかね」

「そうそう、パブと安宿の多いとこよ」

「泊まっているのはジャパニーズとか多いんですか?」

「いや、俺くらいかな。ほとんどコリアンだよ」

「そうなんですね。そんなところがあるのですね」

「周りからは俺の顔はコリアンっぽいってよく言われるよ」


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イナ君からも店の仕事を教わりつつ、ところどころで雑談をした。


「ハーバーシティには何しにきたの?」

「イングリッシュを学びにきました」

「ほう、まぁジャパンとは勝手がだいぶ違うからな」

「なにかいい勉強方法とかありますか?」

「ああ、そうね。本店と違ってこっちは客少ないから、暇な時間はイングリッシュのテキストとか辞書でも読んで勉強すればいい」

「えっ、そんなことしていいんですか」

「問題なし。薄給で働かすカモ社長が悪い」


店がガラガラでさらに話がはずんだ。

「こちらの生活ってどんな感じなんですか?」

「娯楽が少ないな。夜すぐ店が閉まるからな。パブしかやっていない。ジャパンみたいに食事もでてこないし。まぁ俺は酒好きだからいいが」

「カジノとかありますよね」

「ああ。負けると思ってゲームしにいくくらいならいいが、ハマると大変なことになる。カジノよりもプールとかのほうがいいんじゃね」

「プール?」

「ああ、ビリヤードをこっちではプールと言う」

「ビリヤードなら大学時代に少しやってました」


そうしてバイトが終わり、店を閉めて帰る時間となると、


「もう電車ないですよね」

「ああ、どうやって帰るの?」

「ナイトライドバスです。バス停から家までちょっと歩きますが。イナ君は?」

「これよ、これ。じゃあな」

そう言うとテーブルの下からおもむろにキックボードを取り出し、地面を何度も蹴りながら軽やかに繁華街の方へ消えていったのだった。

あまり客のこない店だが、週末になると混み合うが、テキトーな人たちがどう乗り切っていくのか、次回あきらかに。

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