新商品
このリーグに、DH制を導入するか否か。
そんな話題を最近、よく耳にするようになった。
で、「投手の打席を見たいから、DH制の導入には反対!」という意見を結構聞く。
「こういったファンの声は、無視できないと思います!」
ある会社の会議室では、若い男性社員が語気を強める。
今は会議の真っ最中だ。新商品を考える会議。
若い男性社員はさらに熱弁をふるう。
「これほど需要があるんです。絶対に売れますって。『投手の打席だけを集めた写真集』!」
上司は慎重に考える。『投手の打席だけを集めた写真集』なんて、本当に売れるのか?
実際の試合では、投手が打席に立つ場面なんて、九分の一にも満たない。しかし、この写真集の場合は、投手の打席が百パーセントになる。いくらなんでも、マニアックすぎるのでは・・・・・・。
「ちょっといいですか」
他の社員が真面目な顔をして手を挙げる。
この写真集への反対意見でも言ってくれるのかと思いきや、
「一緒にDVDも出しましょう。『投手の打席だけを集めた映像集』」
上司は目が点になった。写真集にせよ、DVDにせよ、投手の打席だけに特化した商品なんて、売れるかどうかは未知数だ。
しかし、部下たちはノリノリだし、えーと、写真集やDVDだと、損益分岐点は、このくらいになるだろうから・・・・・・。
上司は少し考えてから、新商品の製作を許可することにした。
「ただし、その写真集やDVDの外側には、こんな感じの文章を入れること」
赤字にならないための対策をしておく。
一か月後、これらの新商品が店頭に並んだ。
写真集やDVDの目立つ部分には、次の文章が載っている。
この写真集(DVD)の販売実数は、世間に向けて大々的に公表します。
だから、買ってね。
DH制の導入には反対! 投手の打席を見たいファンは、こんなにいるんです!
次回は「戦国時代」のお話です。




